UstreamCheckerという配信コミュニティの歩み:2002年〜2026年
はじめに
PCやスマホの進化、そして震災などの社会情勢。それらと並走するように変化してきた配信文化の歴史を、「UstreamChecker(チェッカー)」という独自の文化圏を中心に振り返ってみたいと思います。
これは、私の記憶を頼りに、当時のデバイスや社会の動きを照らし合わせた個人的な備忘録です。
1.PeerCastと2chの時代 (2002年〜2007年)
配信サイト:PeerCast(ピアキャス)
ニコ生よりも以前にPeerCast(ピアキャス)という配信スタイルがあった。
永井先生やミノルさんもPeerCastで配信していたと思う。
PeerCastはあまり知らない。
デバイス: Windows XP発売(2001年) / Vista発売(2007年)
デバイス:Steamベータ版(2003年)
デバイス:PlayStation3発売(2006年)
回線はADSLから光へ。
社会情勢: 2ちゃんねる全盛期。
WinnyなどのP2Pソフトが社会問題に。
2.ニコニコ生放送(2007年〜2009年)
配信サイト:ニコニコ生放送(2007年〜2009年頃)
2007年、ニコニコ動画で実況プレイがブームに。
2008年、ニコニコ生放送開始される。
当時は1つの放送枠が原則30分(延長可能だが、最初は30分単位)であり、放送終了後に次の枠を確保するための「枠取り」が激しいクリック合戦になっていた。
そして視聴者も視聴者で追い出された。一般会員は視聴中であっても満員になった際に「強制追い出し(自動切断)」を食らうことが頻繁にあった。これはプレミアム会員が優先されるためである。
この不自由さから逃れるため、PeerCast(ピアキャス)や後述する新たな生配信Ustreamに流れる層が一定数いた。
デバイス:初代iPhone(2007年) / iPhone 3G(2008年)発売
まだスマホでの配信・視聴文化は未熟。PCでの視聴が主流。
日本版Twitterサービス開始(2008年)
携帯版Twitterサービス開始(2009年)
社会情勢:イラク戦争(第二次湾岸戦争:2003年~2011年)が継続中
Ustreamが戦地での家族連絡用ツールとして活用され始める。
社会情勢:リーマン・ショック(2008年)
2008年のリーマン・ショック直後は実感がなかった。2009年、2010年と進むにつれて、じわじわと日本の景気が悪くなっていくのを感じた。
そんな閉塞感の中で、チェッカーを開けば誰かが常に喋っているという環境は、どこか救いのような場所でもあった。
余談
2009年にユニさんがustreamによるデスクトップ配信を教える動画をニコニコ動画に上げている。
視聴者目線でもユニさんはよく新しいことを始めていた。
3.UstreamChecker誕生(2009年〜2010年)
配信者確認サイト:UstreamChecker
配信環境: Ustream(映像)+ LimeChat(チャット)
Revinさんが「UstreamChecker(チェッカー)」を作成。
ここに掲載されることが配信者のステータスになっていた。
当初は一次、二次の区別はなかった。Revinさんが載せたい配信者を決めていた。
配信サイトはUstreamを、チャットはLimeChatを使用していた。
Ustreamによる生配信はラグもなく、ニコニコ生放送のように追い出しもなく快適に視聴することができ、最高の環境だった。
そしてその配信者が配信開始しているかどうかを把握するUstreamCheckerは非常に画期的なサービスだった。
デバイス: iPhone 4 / Xperia(SO-01B) / IS03 発売(2010年)
スマートフォンが一般層に普及し始め、外で掲示板や配信をチェックする文化が誕生。
余談
本人あるいは有志が過去配信をあげている動画でチャットを取り込んでいる画面が映ることがあると思う。
その際「ustreamer-〇〇〇〇〇」という5桁の数字が表示されていたら、LimeChatを使用している時代の配信のはず。
4.UstreamとJustin同時配信(2010年~2011年)
配信サイト:UstreamとJustin.tv(以下Justin)
Ustreamで高画質な配信を目指しつつも、サーバーが落ちた時の避難先としてJustinのURLもチェッカーに載せておくスタイルが定番だった。
ただUstreamが徐々に著作権管理(BGMの自動ミュートなど)を厳しくし始めたため、より自由なJustinへ徐々に比重が移っていった時期でもある。
高画質だが制約の多いUstreamと、画質は落ちるが自由なJustin。配信者は両方のURLをチェッカーに載せるという独自のスタイルを模索していた。
デバイス:iPhone 4S / ARROWS Z / AQUOS PHONE 発売(2011年)
スマホアプリでの視聴が現実的に。
社会情勢:ソフトバンクがUstreamへ出資(2010年)
この時期にソフトバンクが日本法人(Ustream Asia)を設立していた。
Ustreamはソフトバンクと組んでビジネス・報道インフラとしての顔を強めていったらしい。そのため、個人配信者のグレーな楽しみ方は切り捨てられる背景があった。
社会情勢: 東日本大震災(2011.3.11)
Ustreamが報道のインフラになっていたらしい。
テレビから流れる過酷な状況の映像と、エンドレスに続くACのCM。 報道が「異常事態」を突きつけてくる中で、いつもの配信者が喋る声やチャットのざわめきは、多くの視聴者にとって孤独と不安を和らげる「避難所」の役割を果たしていた。
余談
UstreamCheckerの配信者でも 東日本大震災時に配信をしていた人が何名かいたと思う。検索して出てきたのは天宮さん。
余談
東日本大震災時にCMでよく流れていたのは「あいさつの魔法。」らしい。
15秒バージョンをよく耳にしていた。
5.UstreamとJustinの終わり(2011年〜2015年)
配信サイト: Justin から FC2 / CaveTube / Twitch など
Ustreamは徐々に、個人が自由に遊ぶ場所から『企業や公的機関が使うためのインフラ』へと姿を変えていった。著作権管理が厳格になり、BGMひとつで音声がミュートされる仕様や、激しくなる広告表示。視聴者が求めていた空気感はUstreamからは消えた。雑談利用では問題がないがゲーム配信をするには不便なサイトになっていった。
より著作権が緩やかなJustinへと移動せざるを得なくなった。
2011年Justinがゲーム部門を分離させTwitchが誕生した。
JustinなのかTwitchなのかよくわからないあやふやな時期だった。
広告がやたら増え、視聴者はまともに配信を見ることができなくなっていた。配信者によっては気にせずJustin/Twitchで配信をし続けた人もいたと思う。
2012年〜2014年頃、広告の増えたJustin/Twitchに代わる次の有望配信サイトとして、見つけられたのがFC2とCaveTubeだった。
この時期ではもうUstreamで配信する人もほとんどいなくなっていたと思う。
2014年、AmazonがTwitchを買収した。
知らないうちにJustinは消え、Twitchだけになっていた。
UstreamCheckerじゃない!とRevinさんがチャットから何度も擦られていたのを覚えている。
デバイス:iPhone 5 発売(2012年)
デバイス:Steam 日本語化の本格化(2013年)
Steamが日本語化の本格化が始まったのがこのころだったらしい。
何がきっかけでチェッカーでも流行り始めたかは覚えていない。
Don't StarveやTerrariaといったゲームが人気だったと思う。
デバイス:PlayStation4発売(2014年)
社会情勢:携帯販売台数の約75%がスマホに(2012年)
余談
Justin/Twitchで見ているとこの広告が何度も何度も流れてきた。
余談
配信サイトを決める際、なぜあそこまで大ごとになったのだろうと今になっては思う。
これはもちろんラグの問題もあるのだがほかに二つ問題があった。
ひとつは嫌儲思想が強くあった。
広告が流れるなら課金して広告が流れないようにすればいいと思うだろう。
だがそうはならない。
ニコニコ動画、ニコニコ生放送から今までの配信文化の歴史の流れで、基本的に視聴者は無料で楽しむことができた文化なのだ。
それが根っこにあるため、広告が流れる配信サイトを嫌悪する人は多かった。
もうひとつは、匿名文化を強く求める思想があった。
どういうことかわからないかもしれないが、もともとの歴史をさかのぼる。
チャットはLimeChatを使用し、Ustreamer-〇〇〇〇〇という5桁の数字を使用していた。
この5桁の数字によって匿名性が守られていた。
そのためチャットを行う際にアカウント名が表示されることを非常に嫌う人間が少なからずいたからだ。
ちなみに現在もYoutubeアカウントで「匿名」の名称でチャットを行う人間が一定数いるのはこの時の流れを汲んでいると考えられる。
チェッカーの文化圏が独自の発達を遂げた背景には、ユーザーの明確な選好性があった。PeerCast時代の自由な気風を受け継ぎつつ、ニコニコ生放送の「商業化」や「記号化」に馴染めなかった層が、嫌儲と匿名性を担保できるUstreamへと流れつき、チェッカーという集落を形成したのではないかと思う。
6.YouTubeとOpenrecそしてMildom(2016年〜2020年)
配信サイト: YouTube Live / Openrec / Twitch など
このころは配信サイトが多くあり、配信者が目的に合った配信サイトを選んでいたはず。
FC2は雑談や作業をメイン。
Cavetubeはチャットとのコミュニケーション。ラグが少ない。
Twitchは高画質。
実のところ、2013年頃からYoutubeLiveも既にサービス開始されていた。
ただしラグが1分ほどあり、チャットとのコミュニケーションを重視するチェッカーの文化とはあまりマッチしなかった。ただただ録画保存用という扱いが強かった。
2019年、Cavetubeはサービスを終了した。
事前にCavetubeがサービス終了をするということを通知されていたこともあり、新しい配信サイトを探すことになる。
次の配信サイトはOpenrecに移動するものが多かった。
そして同年。Mildomがやってきた。
どうもMildomはあらゆる配信サイトから人気配信者を高報酬で引き抜きにかかったらしいという話が聞こえてきた。配信とは趣味でやるものという前提が崩れた瞬間だった。
視聴者からすると何だかよくわからないサイトに移動する人が徐々に増えていった印象だった。
2020年、Mildomは任天堂やCygames(ウマ娘・グラブル等)との許諾契約が締結できず、これらの人気ゲームの配信が全面的に禁止された。
Mildomへ移動した配信者は苦労した人も多かったように思う。人気コンテンツが配信できないのはそれだけでつらい。
配信サイトを移動した人も、移動しなかった人もどちらも悩みが尽きない時期だった。
デバイス: スマホの大型化(iPhone Xなど)(2017年)
デバイス:Nintendo Switch発売(2017年)
デバイス:PlayStation5発売(2020年)
社会情勢: 熊本地震 (2016年)、新型コロナウイルス(2019年12月~2023年)
余談
ヒカキンさんがMildomで配信を始めるという話が出たときは印象深かった。
わたくしヒカキン、Mildom(ミルダム)生配信はじめます!😎🎉
— HIKAKIN😎ヒカキン 【YouTuber】 (@hikakin) December 10, 2020
◆初の配信日時は
12/12(土)19時~
記念すべき1回目の配信は
フォートナイトをプレイ予定🔫🎮😭
アカウントのフォローして待っててね🤓✨
▼配信ページはコチラhttps://t.co/Kr1yzQam78 pic.twitter.com/jmAiNZ5IGq
6-a:VTuberの台頭(2016年〜現在2026年)
今までは様々な配信サイトが生まれては消えを繰り返してきた。
次に起きたのは配信スタイルの変化だった。
Vtuberの誕生である。
2016年末にキズナアイが登場して以来、2018年頃からにじさんじ・ホロライブを中心にバーチャルキャラによるライブ配信が爆発的に増えた。
顔出し不要でスパチャなどの収益化がしやすいため、チェッカー界隈の「嫌儲・匿名」思想を持つ人間からは相容れない存在だった。
ただあまり気にしない人間からは、「アカウント名じゃなくキャラとして話す」という匿名性の延長として徐々に受け入れられていったように思う。
7.Twitch、Youtube(2020年〜現在2026年)
配信サイト:メイン Twitch / 録画 Youtube
2019年12月~2023年、コロナ禍で巣ごもり需要により、Twitchの日本ユーザー数が急増。
ラグの少なさと文化の定着から、チェッカー界隈もTwitchに集約。
そしてYoutubeは録画用という扱いが通例となっていった。
2022年末頃~、より自由な表現や高報酬を求める層がKickへ移動。
2024年頃、Mildomはいつの間にか消えていた。
現在2026年に至る。
デバイス: 5G開始(2020年) / PCスペックの飛躍的向上(2025年~)
デバイス:Steam Deck発売(2022年)
デバイス:Nintendo Switch2発売(2025年)
社会情勢: 新型コロナウイルス(2019年12月~2023年) / 能登半島地震(2024年)
おわり
私の記憶をもとに、「UstreamChecker(チェッカー)」の初期から現在までを紐解いてみました。
多くの配信サイトが消えていったと振り返ればわかります。
触れていない配信サイトが多々あるかと思いますが、それは私がよく知らないためです。ご容赦ください。
拙い文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
訂正・更新
2026.03.01
文章が統一されていなかったため確認し修正。
時代背景を追いかけやすくするために、社会情勢関係を修正。
デバイスを追加、修正。
2026.03.02
「4.UstreamとJustin同時配信(2010年~2011年)」
「5.UstreamとJustinの終わり(2011年〜2015年)」
の文章を修正・補足。
