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新惑星投資詐欺|ショートショート

「次のニュースは、『新惑星投資詐欺』についてです。AIによるフェイク動画を用いた手口で、新惑星の土地の価格が今後上がる、などと言って金銭を騙し取る詐欺が横行しています」

横長のスクリーンからこのニュースが流れてきた時、「ブフっ」と俺の乾いた笑い声が部屋の壁に吸い込まれていった。

「そんなの、誰が引っかかるんだよ、なあ」
誰もいないのに、つい、隣を向いて話しかけてしまう。
ただの、癖だ。


とにかく、今日は商談だ。これが決まれば50億の売り上げのうちの半分が入ってくる。一番いい背広を着て、俺は家を出た。

ドアを開けた途端、汗が噴き出た。この夏は特に暑い…というのを、毎年繰り返している。ポケットからバーバリーのハンカチを取り出して、汗を拭う。

マンションを出ると、スーツを来た若い男が汗だくでこちらに近寄ってきた。顔を赤くしているが、口角をあげている。俺は知っている。これは、営業をかけてくる顔だ。俺がその場から歩き去ろうとすると、同じ歩幅でついてくる。

「最近、本当暑いですね」
「話しかけないでくれ、俺は急いでるんだ」
俺が早足になっても、男はついてくる。そして、ゆるい笑みを浮かべた。

「この惑星、もう住めなくなるってご存知ですか?」

その言葉に、俺は「ハッ」と笑ってしまった。
「お前、新惑星投資詐欺か?知ってるぞ」
すると、男は目を輝かせた。
「ご存知でしたら話が早い。この惑星は5年以内に人が住めなくなります。もう、新惑星への移住は始まってるんです。この新惑星は環境が豊かでしてね。惑星中から転居してくることが決まってます。どうです?今後値上がりしかしないこの土地、一口乗りませんか?」

俺は笑いを堪えることができなかった。
「お前、本物だよ。正真正銘、本物の詐欺師だな」
「お褒めにあずかり光栄です。どうです、プロモーション動画もありますので…」
「ハっ、見てやろうじゃねえか、どんな手口を使ってくるんだ?」

詐欺とわかっている詐欺を見るものほど面白いものはない。俺は男に連れられ、近くのカフェに入っていった。
注文を終えた後、男がタブレットを取り出して、動画を再生し始める。

「新惑星ANNへようこそ…緑と水源に恵まれた奇跡の惑星、どこにいても一年中気候に恵まれています…食料も豊富、重力も安定しており…」

いかにもAIで作られたような女の声と、嘘っぽい宇宙と自然の映像、こんなの信じる奴の方が馬鹿だ。まあ、話のネタにはなるだろう…

「すでに人々は新惑星ANNの先行移住を決めており…」というアナウンスとともに、宇宙船に乗り込む人々の姿が見えた。

その人々の顔が映し出された時、俺は目を疑った。
思わずタブレットを両手で掴む。
「おい、これ…どうやって止める…?」
「そこの一時停止ボタンで止められますが…」
俺は、動画を停止し、人々の顔を拡大した。

やっぱりだ。
「美彩…なのか?」
「…お知り合いですか?」
「知り合いも何も…俺の…元妻だ」

美彩は横を向いて、俺の知らない男に笑顔を見せて肩にもたれかかり、宇宙船に乗り込もうとしていた。俺は、顔が熱くなった。

「なあ…俺は、金だけはある。最大、どれくらい買えるんだ?」

男は、頬を掻いて上を見上げた。
「そうーですねえ…まあ、ご予算によりますが。今なら新惑星丸ごと、ご購入も可能です」

(了)

田原にかさんの「 #毎週ショートショート」(お題: #惑星総転居)に、久々に参加しました。
文字数が1300文字になってしまいました。読んでいただきありがとうございます。

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引き続き、よろしくお願いします。


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亜麻布みゆ📕言の葉みゆフィーユ チップのご検討、ありがとうございます。 3歳児を育てつつ、スキマ時間に創作を続けています。 いただいたチップは、家事の時短や創作時間の確保に使わせていただき、より楽しい文章をお届けする力に変えていきます。応援が本当に励みになります。