米軍ハウスのなぞ:その3
(建築と文化のささやかな考察 01)
第3章 米軍ハウスを作った人たち
(日本人大工によるアメリカの家づくり)
難易度:☆ ☆ ★ ★ ★
さて、前回からの続きになります。
ここから、ちょっと専門的な内容にギアチェンジします。サードギアです。
米軍ハウスは、米軍のエンジニア部門(U.S. Army Corps of Engineers)やGHQの施設部門が、アメリカ本国の標準設計図面をもとに仕様を決め、日本の技術者や建設会社が実施設計を担当する形で建てられました。そして、実際にその図面通りに家を建てたのは、日本の木造大工たちでした。そして、採用された工法は日本の伝統的な木造在来工法になりました。
米軍としては、極東の日本であってもアメリカ本国と同等の暮らしを米兵に与えたかったのですが、それを支えたのが日本の大工技術なのです。
この時点で嫌な予感がしませんか?
アメリカ人の設計ですから、メートル法ではなくフィート法で図面は作成されました。
正確にいうとフィート法をメートル法に換算した図面です。
しかし、当時の日本の大工は、メートル法ではなく、尺貫法という、日本古来の寸法を採用していました。(1971年末で尺貫法の法的使用が全面禁止)
それぞれの単位を簡単に整理すると…
● メートル法
世界標準の10進法による単位
(1メートル = 100cm)
● フィート法
アメリカで使われる12進法の単位
(1フィート = 12インチ=約30.5cm
1インチ = 2.54cm)
●尺貫法
日本で使われていた伝統的単位
(1尺 = 約30.3cm)
以上のように全く違います。「なんだよ12進法って」と、現代の我々でも思うことですが、当時の日本人大工にとっても混乱したことと思います。そして、米軍は場合によっては、フィート法を日本にゴリ押ししたと言われています。
1フィートは304.8mmであり、米軍ハウスの図面には小数点以下の数字が並んでいたこともあったようです。なんというか、敗戦国の悲しさですね。
僕の父は大工でしたので、職人がいかに短気かということを良く知っておりますが、こんな図面を見た尺貫法時代の日本人大工は、
「小数点だらけの図面って何だよ!メートル法だけでも面倒なのに、イライラするぜ!」
と言って激怒したと思いますが、普通の日本の職人は真面目なので、なんとか工事をこなしたとは思います。僕の父なら激怒のあまり、現場を投げ出して酒場に駆け込んでいたと思います。
さて、今回の投稿はここまでになります。
次回はさらに専門性が高くなります。
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