アラカシとシラカシの見分け方|特徴の違いとどんぐりが実らない原因
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「あの木、カシの木だと思うんだけど、種類が分からない」——そう感じたことはありませんか?
公園や神社、街路樹としてよく見かける常緑の高木、アラカシ(粗樫)とシラカシ(白樫)。どちらもブナ科コナラ属に分類される日本原産の植物で、見た目が非常によく似ているため、ベテランの園芸家でも混同してしまうことがあります。
この記事では、アラカシとシラカシを正確に見分けるためのポイントを「葉・幹・どんぐり」の3つの観点から丁寧に解説します。さらに、「どんぐりができない」「なかなか実らない」と悩む方に向けて、その原因と対処法もくわしく紹介します。
🌳 アラカシとシラカシ、そもそも何が違う?

両者の最大の共通点は、常緑樹であること。つまり、冬でも葉を落とさず、一年中緑の葉をつけています。生垣や防風林、公園の植栽として広く利用されているのも、この特性があるからです。
ただし、よく観察すると葉・幹・どんぐりのすべてに明確な違いがあります。順番に見ていきましょう。
🍃 葉の違いと見分け方
葉の形
アラカシとシラカシの葉は、どちらも楕円形ですが、シラカシの葉はアラカシより細長いという特徴があります。葉を並べて比べると、横幅の違いが比較的わかりやすいです。
鋸歯(きょし)の形状
葉の縁をよく見ると、葉の中央から先端にかけて(上半部のみ)ギザギザとした「鋸歯」があります。これは両種に共通しています。
ただし、そのギザギザの形が異なります。
アラカシ:鋸歯が大きく粗い(粗鋸歯)
シラカシ:鋸歯が細かく鋭く尖っている(鋭鋸歯)
実際に葉の縁をそっと指でなぞってみると、シラカシの方がチクチクと鋭い刺激を感じます。この「触り心地の違い」が、フィールドでの識別に役立つポイントです。
葉の裏面
アラカシ:葉の裏面に細かい毛が密生しており、白っぽく見える
シラカシ:葉の裏面に毛がなく、緑色のまま
葉を裏返すだけでもかなりの確度で識別できます。
<補足:新葉と成葉の違いに注意>
アラカシもシラカシも、展開したばかりの新葉(春先の若い葉)は成葉と色や質感が異なります。新葉は薄く淡い緑色や赤みがかった色をしていることがあり、鋸歯も目立ちにくい場合があります。見分けるときは、十分に成熟した成葉(緑が濃く硬い葉)を選ぶと正確です。
🪵 幹の違いと見分け方
シラカシ:幹の樹皮に白っぽい縦筋が入っているのが特徴です。これが「シラカシ(白樫)」という名前の由来とも言われています。
アラカシ:樹皮に目立つ縦筋はなく、全体的に灰褐色で比較的滑らかです。
<補足:樹皮は樹齢で変化する>
若い木と老木では樹皮の質感が大きく変わります。アラカシの老木は縦に裂けてゴツゴツした印象になるため、縦筋があるように見えることもあります。樹皮だけで判断するのは難しい場合もあるため、葉の特徴と組み合わせて確認するのがおすすめです。
🌰 どんぐりの違いと見分け方
アラカシとシラカシのどんぐりは、どちらも「殻斗(かくと)」と呼ばれる帽子状の構造を持っています。殻斗は「ぼうし」とも呼ばれ、多数のうろこ状の苞片(ほうへん)が重なってできています。
大きさと殻斗の深さ
アラカシ:どんぐり自体がシラカシより大きめで、殻斗がどんぐりの半分近くまで深く包み込む
シラカシ:どんぐりはやや小さめで、殻斗は浅め
先端の形
どんぐりの先端(尖った部分)を比べると、
シラカシ:先端がやや長く、付け根付近にくびれ(段差)がある
アラカシ:先端の段差が目立ちにくい
<補足:どんぐりの熟す時期>
アラカシとシラカシのどんぐりは、春(4〜5月ごろ)に花が咲いた「その年の秋(10〜11月ごろ)」に熟します。コナラやミズナラなどと同じ「1年で実る」グループに属しているため、春に受粉した雌花が夏を経て急速に大きくなり、秋には立派などんぐりになります。どんぐりを観察するなら、秋から初冬にかけて足元にも目を向けてみましょう。
🌱 どんぐりができない・実らない原因
「うちのカシの木、全然どんぐりができない」という声はよく聞かれます。アラカシとシラカシは、どちらも雌雄同株・雌雄異花の植物です。つまり、1本の木に雄花と雌花の両方が咲き、雄花の花粉が雌花に受粉することで、はじめてどんぐりが実ります。
原因①:株が若すぎる(開花・結実年齢に達していない)
アラカシ・シラカシは十分に成長した株であれば毎年どんぐりをつけますが、苗木や若い木はまず葉や幹の成長を優先するため、花が咲かない、あるいは雄花しか咲かない時期が続くことがあります。一般的に、苗木を植えてから開花・結実までには数年〜10年以上かかる場合もあります。
原因②:雌花が咲いていない、または気づかない
雄花:新しい枝の下部から垂れ下がるように咲く、黄緑色の穂状の花。目立つため比較的気づきやすい。
雌花:新しい枝の上部に小さく咲く。非常に目立ちにくく、見落としがち。
どんぐりになるのは雌花だけです。「花が咲いているのにどんぐりができない」と感じる場合、実は雄花しか咲いていない可能性があります。雌花が咲いているかどうか、春の展葉期に新枝の先端をじっくり観察してみましょう。
原因③:栄養成長が優先されている
剪定を繰り返していたり、肥料(特に窒素分)が多すぎたりする場合、樹木は「生殖成長(花や実をつけること)」よりも「栄養成長(葉や枝を茂らせること)」を優先してしまいます。その結果、花や実がつきにくくなることがあります。
原因④:受粉の機会が少ない
花粉は風によって運ばれる風媒花です。周囲に同種の木が少ない環境では、受粉の機会が減り、どんぐりの実りが悪くなることがあります。庭木として1本だけ植えている場合は、この点も念頭に置いておくと良いでしょう。
原因⑤:隔年結実(かくねんけつじつ)
樹木の多くは、どんぐりが豊作の年(表年)の翌年は少量しか実らない(裏年)という隔年結実の傾向があります。これは木が大量の実を作ることで消耗し、翌年は回復に充てるためと考えられています。「去年はたくさん実ったのに今年はほとんどない」という場合、この隔年結実が原因かもしれません。
✨ どんぐりを増やすためにできること
過剰な剪定を避ける:花芽がつく新枝を切り落とさないよう、剪定の時期と量に注意する
窒素過多を避ける:肥料は植え付け初期以外は控えめに。リン酸・カリを含む肥料が開花・結実を促しやすい
日当たりを確保する:カシの木は比較的日陰にも耐えますが、日当たりが良い方が花付き・実付きが良くなる傾向があります
複数本植える:受粉の確率を上げるために、同種または近縁種を近くに植える方法も効果的です
📝 まとめ
アラカシとシラカシは非常によく似た樹木ですが、葉の鋸歯の形と裏面の毛の有無、幹の縦筋、どんぐりの大きさと形状など、複数のポイントを組み合わせることで確実に見分けられます。
どんぐりができない原因も、株の若さ・雌花の不在・栄養成長の優先・受粉機会の少なさ・隔年結実など、さまざまな要因が考えられます。木の状態をよく観察しながら、原因を一つひとつ確認してみてください。
カシの木は生命力が強く、適切な環境さえ整えれば毎年美しいどんぐりを実らせてくれます。ぜひ、この記事を参考にカシの木との付き合い方を楽しんでみてください。
アラカシ 苗木 5号
シラカシ 樹高0.4m前後 10.5cmポット
この記事は、『ラブリープランツ(https://lovely-plants.com)』で公開中のオリジナル記事を、より読みやすく再構成し、さらに有益な情報を加えた改良版です。元のオリジナル記事も、是非合わせてご覧ください。
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