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​【退職の前に】「心が折れそう…今すぐ辞めたい」と限界な人が、会社に縛られずに生きる知恵

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こんにちは

日々の激しいストレスや過密な業務、あるいは職場の人間関係に悩み、心と体の限界を迎えて「もう何も考えられない」「すべてを投げ出してしまいたい」と感じていませんか? 病院を受診し、うつ病や適応障害などのメンタル疾患の診断名がついたとき、目の前が真っ暗になるような衝撃を受けた方もいらっしゃるかもしれません。

そんなとき、多くの人が真っ先に頭に浮かべるのが「会社を辞める(退職する)」という選択肢です。

「自分が辞めれば、この苦しみから解放される」

「会社に迷惑をかけて申し訳ないから、身を引くべきだ」

そう考えてしまうお気持ちは、痛いほどよく分かります。しかし、同じように苦しんだ経験があり、そして何よりあなたのこれからの人生を大切に思う一人として、強くお伝えしたいことがあります。

「メンタル疾患が分かった直後に、安易に退職を決めることだけは、どうか一歩踏みとどまって待ってください」

今回は、なぜ体調が悪いときに重要な決断をしてはいけないのか、そして会社のルール(休職規定)だけに縛られず、あなたの権利を守りながら「判断を留保する(先送りにする)」ための具体的な方法について、組織心理学と労働法の視点から詳しくお話しします。


1. 心理学から見る:「心のエネルギーが切れたとき」の脳と判断力

なぜ、体調が悪いときに退職を決めてはいけないのでしょうか。それは、メンタル不調に陥っているときの私たちの「脳」と「心理状態」に大きな理由があります。

「認知の歪み」と過度な一般化

メンタルヘルスが低下した状態のとき、人の思考パターンに特有の「認知の歪み(ネガティブな思考の癖)」が表れることが知られています。

エネルギーが枯渇している脳は、物事をすべて「白か黒か」「全か無か」で捉えがちになります。つまり、「休職して様子を見る」というグレーゾーンの選択肢が見えなくなり、「このままボロボロになって働き続けるか、それとも今すぐ辞めるか」の二者択一に追い込まれてしまうのです。

正常な判断力を奪う「抑うつ状態」

うつ状態や強い不安状態にあるとき、人間の脳の前頭葉(論理的な思考や決断を司る部分)の働きは著しく低下します。この状態で下す決断は、長期的なキャリアの展望に基づいたものではなく、「今ある目の前の苦痛から、一秒でも早く逃げ出したい」という本能的な自己防衛反応にすぎません。

人間は、激しい痛みを伴う状況から逃れるためなら、自分にとって長期的に不利益になる契約であっても結んでしまう傾向があります。後から振り返ったときに「どうしてあの時、あんな極端な決断をしてしまったのだろう」と後悔するケースが非常に多いのは、このためです。

人生における重要な決断(退職、離婚、大きな買い物など)は、「心と体が健康なとき、あるいは回復してエネルギーが戻ってきたとき」に行うのが鉄則です。今は判断力が低下していることを自覚し、「今は決めない」という決断をしてください。

2. 筆者自身の経験から:復職ではなく「転職」を選んできたけれど、それでも「即退職」を勧めない理由

ここで、少し私自身の個人的なキャリアの話をさせてください。

実は私自身、過去にメンタルヘルスを崩した際、元の職場へ「復職」するという道を選びませんでした。会社を一度退職し、十分な静養期間を挟んだ後、全く別の環境へと「転職」する形でキャリアを再スタートさせています。

結果として、その選択によって今の自分があり、環境を変えたことで救われた部分も多くあります。ですから、私は「何が何でも今の会社にしがみつき、元の職場に復職することだけが正解だ」とは微塵も思っていません。最終的に退職や転職を選ぶことは、立派な解決策の一つです。

しかし、それでもなお、「メンタル疾患が分かったその瞬間に、勢いで辞めてはいけない」と確信しています。

私が退職・転職という道を選んで体調を回復できたのは、「退職届を出す前に、しっかりと労働法に基づいた権利(傷病手当金や休職制度)を活用し、生活の基盤と心身の安全を確保した上で、冷静に次のステップを考えたから」です。

もし私が、体調が最も悪かった最悪のタイミングで、すべての権利を放棄して「明日から辞めます」とだけ言い残して衝動的に退職していたら、その後の生活費への不安やキャリアの空白期間に対する焦燥感で、メンタルはさらに悪化し、破綻していたでしょう。

復職を選ぶにせよ、転職を選ぶにせよ、まずは「会社に籍を置いたまま、守られた環境で休む」というステップを挟むことが、結果としてその後の人生の選択肢を広げることになるのです。

3. 労働法の知恵:会社の「休職規定」だけに縛られる必要はない

病院で診断書をもらい、会社に「休職したい」と申し出たとき、会社の就業規則を見て絶望してしまう人がいます。

「うちの会社は、勤続年数が短いから休職期間が1ヶ月しかない…」

「休職期間が満了したら自動退職になると書いてある。もう終わりだ…」

ここで知っておいていただきたいのは、「会社の就業規則(社内ルール)が、世の中のすべての絶対的な法律ではない」ということです。

就業規則よりも「労働基準法」や「民法」が優先される

日本の労働法体系では、会社の就業規則よりも、国が定める法律(労働基準法や民法など)のほうが強い効力を持ちます。

例えば、就業規則に「メンタル不調による休職は認めない」とか「体調不良で休むなら即解雇」といった極端な規定があったとしても、それは法律上、「公序良俗に反する」「解雇権の濫用」として無効になる可能性が非常に高いのです。

また、就業規則に書かれている休職期間が短すぎたり、手続きが不条理であったりする場合でも、労働者には「安全配慮義務違反」を根拠に、会社に対して適切な配慮や期間の延長を求める交渉の余地が残されています。

社内のルールだけを見て「猶予がないから、迷惑をかける前に辞めよう」と自己完結してしまうのは、あまりにももったいないことです。まずは「会社の規定がどうあれ、法律によって自分の身を守る手段は残されている」という事実を頭の片隅に置いておいてください。

4. もう一つの選択肢:「労災申請」を視野に入れる

もし、あなたのメンタルヘルス不調の原因が、職場の過重労働(長時間残業)や、上司からのパワーハラスメント(パワハラ)、悪質な嫌がらせであるならば、「労災(労働災害)申請」を強く視野に入れるべきです。

多くの人が、「メンタル疾患で労災なんて認められないだろう」「会社と揉めたくないから」と、申請自体を諦めてしまいます。しかし、労災申請には、あなたの心と生活を守る強力なメリットが存在します。

◎労災申請を視野に入れるべき強いメリット

解雇・退職の制限
労働基準法第19条により、労災による療養のために休業する期間、およびその後30日間は、会社は労働者を解雇することが原則としてできません。これにより、会社の休職規定で「○ヶ月で自動退職」とあっても、その適用を食い止める盾になります。 

経済的な手厚い補償
労災が認定されると、「療養補償給付」によって医療費が全額無料(自己負担なし)になります。さらに、仕事を休んでいる期間の給与補償として「休業補償給付」が支給され、健康保険の傷病手当金(約6割強)よりも手厚い約8割の金額が補償されます。 

会社に対する責任の明確化
労災申請を行うこと自体が、会社に対して「私は職場の環境によって病気になった」という明確な意思表示になります。会社側も、労働基準監督署の調査が入るため、無茶な退職強要や不当な扱いをしにくくなります。 |

申請は「会社を通さなくても」自分でできる

「労災を申請したいと会社に言ったら拒否された」という話をよく聞きますが、心配いりません。労災の申請書には「事業主記入欄」がありますが、会社が協力を拒んだ場合は、その欄を空欄のまま、あるいは「会社が証明を拒否した」旨の理由書を添えて、あなた自身が直接、労働基準監督署(労基署)に提出することができます。

労災が実際に認定されるまでには時間がかかりますし、ハードルが低いわけではありません。しかし、「最悪の場合、労災申請という手段を使って会社と戦うこともできる」「法律が自分を守ってくれる」という選択肢を持っているだけで、会社に対する心理的な恐怖感は一気に和らぎます。


5. 最優先すべきは「判断留保(ペンディング)」という選択肢

心が限界を迎えているあなたに、今一番実践してほしい具体的なアクション。それは、退職届を書くことでも、無理に笑顔を作って出社することでもありません。

「すべての重要な決定を『保留(ペンディング)』にする」ということです。

具体的な「判断留保」のステップ

 1. まずは医師の診断書を確保する

   心療内科や精神科を受診し、「○ヶ月の療養を要する」という診断書を書いてもらいます。これが、あなたの最大の盾になります。

 2. 会社には「休みます」という事実だけを伝える

   診断書を会社に提出し、「医師の指示に従い、まずは治療と休養に専念します。今後のことについては、体調が回復した段階で改めてご相談させてください」とだけ伝えます。ここで「辞めるかもしれません」といった余計な含みを持たせる必要は一切ありません。

 3. 連絡の窓口を制限する

   休職中、会社からひんぱんに電話がかかってくると心が休まりません。「体調の波があるため、会社からの連絡はメール(または郵送)のみでお願いします」とあらかじめ伝えておきましょう。

 4. 経済的なセーフティネットを手配する

   労災申請の手続きを進めるか、あるいは通常の健康保険から支給される「傷病手当金」の手続きを行います。傷病手当金であれば、退職せずに休職している期間中、最長で通算1年6ヶ月の間、給与の約3分の2が支給されます。これにより、「無収入になる」という最大の恐怖から逃れることができます。

「何もしない時間」を自分に許す

生活費の目処が立ち、会社との連絡も最低限に抑えられたら、あとは徹底的に「何もしない」時間を過ごしてください。

最初の数週間〜数ヶ月は、会社に対する罪悪感や、将来への焦りが波のように押し寄せてくると思います。しかし、それは脳がエネルギーを回復しようと必死に戦っている証拠です。

朝起きられなくてもいい。一日中布団の中にいてもいい。テレビを見る気力が起きなくてもいい。

「今は、人生の決断を先送りにする贅沢な時間なんだ」と、自分に言い聞かせてあげてください。

結び:あなたの人生の主導権を、焦りで手放さないで

メンタル疾患という診断を受けたとき、まるで自分のこれまでのキャリアや人生がすべて否定されたような気持ちになるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。あなたはただ、長すぎる時間を理不尽な環境で耐え続け、心の風邪をこじらせてしまっただけです。

今のあなたにとって、会社を辞めるか続けるか、復職するか転職するかという問題は、「今すぐ解かなければならないクイズ」ではありません。

労働法は、弱い立場にある労働者を守るために作られています。心理学は、人間が健やかに働くための心のメカニズムを解き明かしています。これらの知恵と法律をフルに活用して、まずは会社に籍を置いたまま、守られた安全な場所で泥のように眠ってください。

安易に退職届を出して、自ら進んで無防備な状態(無職・無収入)になる必要はありません。

会社に迷惑がかかるかも、なんて今は考えなくていいのです。会社の心配は会社がすることであり、あなたの仕事ではありません。

心が回復し、美味しいものを「美味しい」と感じられるようになり、朝の光を「心地よい」と思えるようになったとき、初めて机に向かって「これからのこと」を考え始めればいい。そのときには、今とは全く違う、明るく広い選択肢があなたの目の前に広がっているはずです。

まずは今日、決断を「保留」にすることから始めましょう。あなたは一人ではありません。



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えんがわくま@うつ病・適応障害経験者。いまは転職ぬくぬく よろしければ、わたくし「えんがわくま」に餌を恵んでくださいませ いただいたチップは冬を越すための貴重なエネルギー源にさせていただきます