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[連載小説]第七話 犬だけど何?野良犬の俺がホームレスのアイツに出会ってスミカをゲットする話⑦

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第七話 相談員さん、そして新しい城

寅造じいちゃんとソラは深々とお礼をした。俺もしっぽをブンブンと振って、別れの挨拶をした。
「源ちゃん、ありがとう。この恩は忘れねえ」
「何言ってんだ。一晩くらい。オラなんか、ずっとおばちゃんに飯食わせてもらったんだから。落ち着いたら、いつでも来いや」



そして、俺らは源じいちゃんに見送られながら雪の街に出かけた。

さっきのパンフレットの地図を頼りに歩いて行くと、向こうから元気な声が聞こえてきた。
「まあ、おやっさん…今朝は心配したのよ。雪だったでしょう。手分けして見て回ってたところなの」
「ほんと、そう。いつもの場所に行ったら、みんな『知らない』って言うし、『朝起きたら、いなかった』って言うから、どこかで行き倒れになってんじゃないかって心配していたところなのよ。元気でよかったわ」

二人組の女の人たちはニコニコしている。寅造じいちゃんと知り合いみたいだ。

「まあ、ここ、寒いからね。事務所の方に行きましょうか。今日は予定の日では無いけど、この雪でしょう。だから、手分けして、飲み物配っていたのよ。まだ、少し残ってたから…」

俺らは、その人たちについて歩いた。
ひとりが俺の方をチラッと見て、それからソラに話しかけた。

「そう言えば、あなたは見かけない顔だけど、新入りさん?」
「ああ、はい。昨日寅造じいちゃんと知り合って、色々あって着いて来ました」
「そうなの…で、ワンちゃんは、あなたの?」
俺がちょっと心配してソラを見上げていると、ソラはきっぱり、
「はい」と答えてた。
「まあ、いいわ。本当は動物対応してないけど…今日ね。あんまり人いないから、今、私たちだけなの…ナイショよ。仮設の方の建物なら、いっしょでも大丈夫だから、その子も連れてらっしゃい」
俺たちは、その事務所に入った。

「さあ、さあ座って」
一人の人が温かい缶コーヒーを奥から持って来て寅造じいちゃんとソラに渡した。
「わんちゃんも喉渇いたかしらね…何も無いけど…紙皿にお白湯入れるわネ」
寅造じいちゃんは、黙って飲んでいたけど、不意に決心した様に口を開いた。
「相談員さん…おら、考えたんですが、この前のパンフレットのお話今日は聞かせてもらおうかと思って、この青年といっしょに来たんです…」
「まあ!それはよく決心したわね!」
ソラも、かしこまった顔をして、相談員さんをじっと見ていた。
「それなら、待ってて。さっそく書類作るわね」
その人は、パソコンを開くと、カタカタと何か打ち込み出した。



俺は少ししたら、眠ってしまった。

「さあ、できた。あのね、今日、空きがあって、シャワーも予約できたわ。着替えとかもあるの。あちらに係の人いるから聴いてね」
もう一人の人は、どこかに連絡をしていた。

「…ええ、わかりました。本当に、よかったわ。タイミング良くて。シャワー浴びてから、こちら終わったら、そちらに向かうよう伝えますんで。ええ、ありがとうございます」
TELが終わると、今度はその人が、寅造じいちゃんとソラに向かって話しかけてきた。

「よく決心したわ。大丈夫だから!人間だれだって、いろんな事あんだからね…
それがね、今、知り合いのNPOに連絡入れたら、アパートも今日すぐ入れそうなのよ。しかも2部屋あるって。運がいいわね。まずは、あっちで、さっぱりしてらっしゃい。その間、書類送っとくからさ。大丈夫、大丈夫…」

寅造じいちゃんとソラは、深々と頭を下げて礼を言うと順番でシャワーを浴び、今度は、連絡してくれてあったアパートを借りる手続きの所に行くことになった。

ちょっとここら辺の流れは、俺は聞いてたけど手続きの事は、よくわからなかった。今度は、別の相談員のおじさんの車に乗せてもらう事になった。

「こっからは、車入れないから歩きね」と言われて車を降りて歩いた。
ビルとビルの奥の入り組んだ細い道を入って、二階建てのアパートに着くと、相談員のおじさんは立ち止まった。
「ここだよ。ここの隣が大家さん。じいちゃん、ばあちゃんの夫婦だ。いい人でね。犬も大丈夫って言ってくれたから。一階の101と102ちょうど、隣りどおしが空いてたから。はい鍵ね!」
部屋に入ると、その人は、窓を開けながら言った。
「あんたら、タイミング良かったよ。普通、緊急避難所行ってから、順番待ちって事多いんだけどね。ほら、コンビニの源治さんが、実は前々から予約してくれてあったんよ…それで、ちょうど空きあったから、さっき連絡したの。そしたら『犬連れた若いのいるんだけど、もう一部屋ないか』って言うから、大家さんに連絡してね。そしたら、たまたま隣りも空きあったし、大家さん聞いたら『犬もOK』で即日で準備できたってわけ。いい人だね、あの人。
部屋にNPOの人からの布団もあるし、フードバンクの人がさっき来て『雪で、わりと余ったの出た』って持ってきてくれた食べ物類、置いといたから。ゆっくりしな。明日、また、来るわ。鍋とか食器も置いといたから、今晩の分、大丈夫だろう?」

ソラは、深々とお辞儀をして言った。
「何から何まで、本当にありがとうございます」
「気にすんなって。お互いさまよ。また明日くるから。ゆっくり休みな」

オレンジの日が差し込む、その部屋に腰を下ろすと、ソラは「ふーっ」と深く息をした。
俺も、ソラのマネして、「フッー」と息をした。

ソラと俺の新しい城。

ここから新しい何かが始まる。

          第八話に続く





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