波長
久々にジムへ。
そしたら久々なやつに出会った。
挨拶もないのに、妙に距離が近い。
俺が2階に行けば、2階に来る。
嫌だから1階に降りた。そしたら、また1階に。
これは何だ? つけ回しか?
またまた嫌だから2階へ。さすがに今回は来ないだろう。
と思ったら、3階で休憩してた。やるな。
いや、やるなじゃない。何なんだこれは。
まるで意識せずに俺を追いかけているかのような動き。
偶然か? いや、偶然にしては動きが良すぎる。
ボルダリングでそのスムーズさを発揮してほしい。
試しにフェイントを入れてみた。
1階に降りるフリをして、また2階に戻る。
1階に降りる。よし、まいた。
と思ったら、また戻ってきた。
もうこれはアートだ。
「不自然な追従」という名のパフォーマンスアート。
展示期間は不明。だが、俺はもう見たくない。
結局、俺は登るのをやめた。
登るより、この謎の追跡劇に神経を使いすぎた。
絶好調とは程遠い。
ジムを出ると、夜風が気持ちいい。
ふと、考える。あの動き、意図的だったのか?
それとも、ただ波長が合いすぎただけなのか?
まぁ、どっちでもいい。
次はもっと登ろう。
そして、奴をまかなくてもいいように、
別の時間に行こう。
