ある制度から「国は属人化を進めたいのか」としか思えなかった話【とにかく仕組み化】安藤広大著
「これはすごい本が出た」
audiobook.jpで聴いてそう思いました。
以前、著者の別の本をオーディオブックで聴きましたが、今回の本ほど良さが伝わりませんでした。
こちらを聴いて、過去の著作を聴き直しています。
内容が抽象的なため、あらゆる世界に応用ができると思います。
私がかつていた薬剤師業界、
息子たちがお世話になっている福祉業界、
子育て中でも働きやすい会社…。
今回は「薬剤師業界」について感じたことを書きます。
・薬局も仕組み化から逃れられない
私が働いていた薬局は
複数店舗があるチェーン薬局でした。
このような薬局で「その人でないとできない仕事」があるのは問題です。
なぜなら、常時同じ職員が居続けることがないからです。
結婚直前まで働いていた会社では、
他の薬局に応援に行くことがありました。
2年間で8ヶ所の薬局で働きました。
所属していた店舗はそのうち3ヶ所です。
いつもいる職員が席を外していたり、
長期休暇を取っていたりすることも珍しくありません。
一番長くいた薬局は、薬剤師が10人所属していました。
そのうちの半分以上はパート勤務です。
異動が多く、1ヶ月以上同じメンバーでいることが
ほとんどありませんでした。
私が在籍中に管理薬剤師が変わったので、
仕事のやり方まで変わりました。
こんな状態なので、誰がいても仕事ができる仕組みにしなければ薬局が回りませんでした。
・かかりつけ薬剤師制度の危うさ
かかりつけ薬剤師制度は知っていますか。
※詳細はこちらを参照。
条件がありますが、患者さんが特定の薬剤師を指定できる制度です。
以前働いていた職場で、かかりつけ薬剤師になっていた人がいました。
(私は要件を満たさなかったため未経験)
信頼できる薬剤師を見つけるのはいいことですが、
この制度は、特定の人間でないと対応できないような仕組みになっています。
(個人の電話番号で、24時間オンコール対応を求められることもあります)
本書の言葉から引用すると、
この制度は「属人化」が前提になっています。
もしその薬剤師がやめてしまったらどうなりますか。
誰がいても仕事ができる仕組みになっている薬局なら問題ありません。
しかし、特定の人間以外誰もできないとなると業務に支障をきたします。
本書では「安定した組織を作るためには、属人化を防ぐ仕組みをつくろう」と繰り返し訴えています。
それなのに、属人化を進めさせる制度になっています。
2025年3月の時点では続いていますが、
今後なくなる可能性があると考えています。
・医療業界ほど必要
大きな病院で医師不足が問題になっています。
特に救急科、外科、産科、小児科、麻酔科など
激務な科ほど顕著です。
中には診療時間を短くしたり、受け入れをやめる病院まで出てきています。
地域住民への影響が大きいです。
医師が24時間以上当直で働いているという話を聞いたことがあります。
「こんな働き方が長く続くわけがない」というのが
率直な感想です。
激務だから、若い医師が敬遠するのではないかと思いました。
「どの医師がいても、診療に影響がない仕組みになっていないのか」と考えたくらいです。
余談ですが、私や子どもたちが入院した病院では
毎日違う医師が回診に来ていました。
それでも情報が共有されていたので、特に支障を感じませんでした。
更に私が手術で入院した病院では、
診察をした医師と執刀医が
必ずしも同じとは限らないと言われました。
私の時は別でした。
・感想
人の命に関わる医療現場こそ
仕組み化の考え方が必要なのに、
国の制度は属人化に向かっているように見えました。
余談ですが、以前読んだこちらの本を思い出しました。
この記事では触れていませんが、
「薬剤師は24時間患者さんの対応をする覚悟はあるのか」と厚労省の会議で医師会の委員が迫ってきたエピソードがあります。
それに対して薬剤師会の委員は「"薬局"として対応する」と返しています。
医師が「個人で」と言っているのに対して、
薬剤師は「組織として」と返しています。
医師会は開業医が多く所属しています。
大学病院などの勤務医は少ないです。
「自分1人で対応している」と自負する人が多いと感じました。
この本を読んでからは、薬剤師会の委員に賛成です。
医師会の委員の発言は、「属人化」が前提になっているので、組織として危うさを感じました。
また薬剤師として働くかわからないけど、
自分がいなくても回るようなやり方で仕事をしようと思いました。
以上、ちえでした。
プロフィールはこちらです。
他のSNSはこちらです。
