司法書士ママのやさしい法律教室 番外編 🌙相続学校Ⅰ‐1
🌕第Ⅰ章プロローグ 夜にひらく本
春の夜。
風がやわらかくて、カーテンがふわりとゆれました。
ママは、古い木箱のふたを開けています。
中には、少し色あせたノートが一冊。
「これね、おじいちゃんの“日記帳”なのよ。」
けんたとゆうたがのぞきこむと、
ページには、おだやかな文字で毎日のことが綴られていました。
「けんたが風邪をひいた」「ゆうたがはじめて歩いた」――
どの言葉も、やさしい目で見守るように書かれています。
けんたは、ページの端に、小さな花の絵を見つけました。
赤い色鉛筆で、チューリップのような花が描かれています。
「これ……おじいちゃんが描いたの?」
ママは、少し懐かしそうに笑いました。
「そうよ。けんたが小さかったころ、一緒に庭で描いたの。」
その言葉に、春の日の光景がよみがえります。
おじいちゃんの膝の上で一緒に笑いながら描いたこと。
笑うたびに、背中でゆれていた庭の草の音。
泣き虫のけんたを、いつもやさしく抱きしめてくれたこと。
――あのときの風まで、思い出したような気がしました。
けんたはページを見つめました。
チューリップの絵のとなりには、まだ何も描かれていない空白があります。
「……おじいちゃん、ここに何を書こうとしてたのかな。」
ゆうたがそっとのぞきこみました。
「ぼく、ちいさいころ、おじいちゃんが頭をなでてくれた気がする。
でも、ちゃんとは覚えてないんだ。」
ママは、やさしくうなずきました。
「そうね。ゆうたがまだ小さかったころ、よく抱っこしてくれたのよ。」
けんたは、静かにページをめくりました。
白い余白が、春の空みたいにやわらかく光っていました。
その夜。
部屋の明かりが消え、静けさが満ちていきました。
ゆうたの寝息が、すうすうと聞こえます。
けんたは、なかなか眠れませんでした。
胸の中に、おじいちゃんの笑顔がずっと残っていたのです。
手のひらには、あのときの温もりがまだあるような気がしました。
やがて、月の光がカーテンのすきまから差し込みました。
けんたは、そっと布団を抜け出します。
机の上には、あの“日記帳”。
その表紙が、淡い光を受けて静かに輝いていました。
けんたは息をひそめ、ノートを開きました。
ページのすみに、かすれた文字が見えます。
“この日記を見つけた子へ。
さびしい夜や、誰かに会いたくなったとき――
夜の図書館を、さがしてごらん。”
その瞬間、風がふっと吹きぬけ、
ページの間から金色の羽根がひらりと落ちました。
けんたは思わず立ち上がります。
ゆうたも目をこすって起きあがりました。
レオくんは、足もとで静かに顔を上げ、
光るページをじっと見つめています。
ふたりの頬に、やわらかな光があたりました。
気づくと、部屋の空気が変わっていました。
ここは、夜の図書館。
足もとには星の砂のような光の粒がひろがり、
空気がほのかにあたたかく香ります。
光の粒は、図書館の奥の壁へと流れていきました。
その壁が、ゆっくりと金色の線を描きながらひらいていきます。
その向こうには、見たことのない静かな世界が広がっていました。
高い天井からやわらかな光が降りそそぎ、
奥へと続く階段が、地下へゆるやかにのびています。
光の粒は、その階段を流れるように降りていきました。
けんたとゆうたは顔を見合わせました。
足もとで、レオくんが小さく首をのばします。
光の粒が甲羅に落ちて、ほのかにきらめきました。
ふたりが一歩踏み出すと、
レオくんも、静かにあとをついていきました。
階段を下りた先――
そこに、“光る木の教室”がありました。
天井は、月のかけらをはめこんだようなドーム。
金色の光が静かに流れ、
黒板は夜空の一枚をくりぬいたように深く輝いています。
教室の中央には、大きな木が立っていました。
幹は透きとおるように淡く光り、
枝は上の階を貫いて伸びています。
その葉の先に、小さな光の実がひとつだけ、
かすかに瞬いていました。
「よく来たね。」
静かな声がしました。
大きなフクロウが、黒板の前に立っています。
羽根の先で空をなぞると、
木の枝がゆっくりと目を覚ますように光りはじめました。
それぞれの枝がつながり、部屋いっぱいにひかりが広がります。
「ここは、光の木の教室じゃ。
この木は“家族の木”。
いのちは枝のように広がり、
想いは風のようにめぐっていく。
それぞれの枝には、ひとりひとりの物語があるんじゃ。」
けんたとゆうたは、光る木を見上げました。
その中に、見覚えのある名前がひとつ。
ゆうたが小さな声でつぶやきます。
「……おじいちゃんの名前、あった。」
けんたは、そっとその枝を見つめました。
そして、小さな声でつぶやきました。
「……ぼく、おじいちゃんにもう一度会いたい。」
教授は、静かに目を細めました。
「それなら、学ぶことじゃ。
家族がどうつながり、想いがどう受けつがれていくのか。
それを知れば、きっと“会える”ときがくる。」
けんたは、はっと顔を上げました。
「ほんとうに……また会えるの?」
教授の瞳に、金色の光が映ります。
「ああ、きっとじゃ。」
ゆうたが、うれしそうに笑いました。
「じゃあ、ぼくもいっしょに学ぶ!」
けんたも、力強くうなずきます。
レオくんは、ふたりの足もとで静かにまばたきしました。
その目の奥にも、光の木がゆれていました。
教授は、ゆっくりと羽根をひろげました。
「ようこそ、“相続学校”へ。
学びとは、想いをたどる旅。
きみたちの物語は、いまここから始まるのじゃ。」
天井の星がふわりと回り、
教室全体がやさしい光に包まれました。
そして夜は、静かにふけていきました。
遠くで、ページが一枚、ゆっくりめくれる音がしましたーー
🌸ママのまとめ
“相続”という言葉には、
「想いをつなぐ」「絆を受けとる」という、
やさしい意味が込められています。
この「フクロウ教授の相続学校」では、
けんたとゆうた、そしてレオくんが、
その“つながりのしくみ”を少しずつ学んでいきます🕊️
次回から始まる授業は、
最初のテーマ――「法定相続人ってだれ?」。
家族の順番から、ゆっくりと見ていきましょうね🌿
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👉 🌙相続学校Ⅰ‐2〜法定相続人ってだれ?~
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夜の図書館の奥、“光る本棚”を抜けると――
そこには、家族のつながりを学ぶ“相続学校”の教室がひらけます🌕
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📗 司法書士ママのやさしい法律教室
この世界には、もうひとつの教室もあります。
パパ・けんた・ゆうた・レオくんがママといっしょに学ぶ“家族の法律のはなし”。
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プロフィール
🌿司法書士ママ|みか
平成19年司法書士試験合格。
売買・相続などの不動産登記や会社・法人登記に15年以上たずさわっています。
家族の物語とともに、法律を“絵本のようにやさしく”お届けしていきます🍃
🐢レオくんからひとこと
「ぼくも、まいにち けんたくん・ゆうたくんと まなびちゅう🐢💚」
🏷 ハッシュタグ
#司法書士ママ #やさしい法律教室 #フクロウ教授の相続学校 #絵本で学ぶ法律 #家族のつながり #相続 #レオくん
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