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親になる前の自分には、分からなかったこと。

ショッピングモールへ行くと、

娘はよく私の手を引っ張る。

「パパ、こっち!」

私が向かおうとしていたのは食品売り場。

でも娘が向かうのは、おもちゃ屋さんだったり、本屋さんだったり、雑貨屋さんだったり。

「今日はそこじゃないんだけどな。」

そう思いながらついて行くことも多い。

でも、不思議なことに、

娘について行った先で、

「あ、これいいな。」

と思うものに出会うことがある。

自分一人だったら、

きっと一生入らなかったお店かもしれない。



親になる前の私は、

目的地へ早く着くことばかり考えていた。

仕事でも、

買い物でも、

旅行でも。

できるだけ効率よく。

できるだけ無駄なく。

寄り道は、時間のロスだと思っていた。

あの頃の自分は、

急ぐことは得意だった。

でも、立ち止まることは苦手だった。



今でも、その考え方が役立つ場面はある。

人事の仕事では、

限られた時間で判断し、

段取りを考え、

次の予定へ進んでいく。

効率を考えることは、大切な仕事の一つだ。

でも休日、

娘と一緒に歩いていると、

その感覚が少しずつ変わってきた。

娘は目的地なんて気にしない。

気になるものを見つけたら、

迷わずそっちへ行く。

だから散歩はなかなか進まないし、

買い物も予定通りには終わらない。



正直、

「早く行こう。」

と思う日もある。

急いで帰りたい日だってある。

全部の寄り道を楽しめているわけじゃない。

それでも、

娘について行った先で、

思いがけない景色や、

思いがけない出会いがある。

そんなことが、少しずつ増えてきた。



親になる前の私は、

人生は前へ進むことが大切なんだと思っていた。

でも今は、

寄り道にも価値があると思える。

遠回りしたから出会えた景色。

予定になかったから残った思い出。

そんなものが、

人生には意外と多いのかもしれない。



娘が教えてくれたのは、

子育ての仕方じゃなかった。

人生の歩き方だった。

今日もきっと、

「パパ、こっち!」

と手を引かれる。

親になる前の私は、

きっとその先に何があるのか、

見ようともしなかったんだろうな。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

このnoteでは、シングルファザーとしての子育てや、人事の仕事を通して感じたことを、一つひとつ言葉にしています。

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