第3回『あと一歩が踏み出せないあなたへ』
「また、何もできなかった……」
昼休みのカフェで、美咲はスプーンをくるくる回しながらため息をついた。
真奈「悠斗くんのこと?」
美咲「うん。給湯室で隣になったのに、『お疲れさまです』しか言えなかった」
――昨日の出来事が脳裏に浮かぶ。
エレベーターで二人きりになったとき。
「今日、大変そうでしたね」と声をかける絶好のタイミングがあった。
それでも結局、黙ったまま降りる階で軽く会釈しただけ。
美咲「声をかければいいって分かってるのに、心臓がバクバクして何も言えなくなるんだよね」
真奈「でも、この前『その髪型似合ってますね』って悠斗くんが言ってくれたじゃん」
美咲「あれだって、ただの社交辞令かもしれないし……」
コーヒーの湯気が二人の間に漂う。
美咲はカップを見つめながら、ぽつりと本音を漏らした。
美咲「もし迷惑がられたらどうしようって思っちゃう。
でも、このまま何もできなかったら、きっと悠斗に彼女ができちゃうんだろうな……」
その言葉には、不安と焦りと、どうしようもないもどかしさが滲んでいた。
真奈「……それってさ、美咲が“嫌われたくない”って気持ちを大きくしすぎてるからじゃない?」
美咲「うん。私だって分かってるの。何もせずに後悔するのが一番嫌なのに、動けない」
頭では分かっている。
一歩を踏み出せば、状況は変わるかもしれない。
けれど、勇気が出ない。
――この「あと一歩」が踏み出せなければ、恋は始まらない。
美咲はそれを痛いほど理解していた。
だが、次にどう動けばいいのかが分からずに、ただ足踏みを続けていた。
⸻
👉 ここで立ち止まってしまう人は、美咲だけではありません。
多くの女性が同じように「話しかけられないままチャンスを逃す」壁にぶつかります。
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