句点追放令
さてお急ぎの方、あるいは長文読解に眠気を覚える方は☆から★までを飛ばして読むとよいが、私としてはやはり書けることは全て書くべきだと思うし、あまり短い文ばかり書いていても精進できないのでかなり長くなるが書いてしまおう、私が神の存在を感じたときは☆私がたまたま朝鮮中央放送で聞いた歌のメロディーが面白かったので部屋の中でただ独り歌っていたのが階下の住人に聞こえ、それが中学二年の男であるが、やがて育って教師になってその時の事を「十四だった時、私はマンションの一階で夜更かしをしていたのですが、その時私の上に住んでいたのが何々という一家でありますが、どうもそこから聞きなれない声がしていたので、こんな夜遅くに一体何を喋っているのかと思って耳をすませてみると、どうもハングルのようで、さらに耳をすませていると『キムジョンイル』とか『トンジ』とか聞こえてきたので後で調べてみたところ、『トンジ』とは『同志』と言うらしいのでどうもその一家の日本語がやけに流暢だったことを考えると、やっぱりその一家は北朝鮮の工作員か何かで、北朝鮮にいる『同志』にこっそり連絡でもしていたのかとひそかに思っていたわけでありますが、」などと語っていたのだが、それを聞いていた生徒の一人が家に帰ってその話を親に語るに親はその話を全然信じず、それをきっかけとしてその生徒に不審の念が生まれ、早めに家を出て一人暮らしを始めて、やがていい奥さんと結婚したのだが、その奥さんが公園で「やっぱり結婚は若いうちにするもんじゃないね、男に騙されやすいから」と亭主の愚痴をこぼしたのを聞いた別の人が「私は三十あたりで見合い結婚だったんだけど、今の夫が良いとはとても言えないから、やっぱり遅すぎてもいけないよ」と返していた会話を聞いた通りすがりの独身の男が、畜生あいつら贅沢言いやがってとそばに転がっていた空き缶を蹴ったのだが、それを見た子どもが缶蹴りを覚えてしまい、それを良く思わなかった母親がそんなに物が蹴りたいのならサッカーでもさせたらどうかしらと夫に相談したところ「そうだね、どうもうちの子は最近太ってきたようだし」と返したのでその子どもはサッカーを習うことになったのだが、どうも上達しないようで、それに気づいた子どもはサッカーを辞めたいと親に言ったところ父親は承認してくれなかったのだが、母親があと一年頑張ったらと折衷案を出したので子どもはあと一年サッカーを習うことになったのだが、その子どもはそれすらも嫌で嫌でたまらず、とうとう運動嫌いになってしまったので中学生になってからは文化部に入っていたのだが、高校二年生になって生徒会長に立候補した時にそれが仇となって落選してしまい、彼の対抗馬が当選したわけだが、その一派として会計の仕事に就いた男がひどいボンクラだったのでその年の予算が赤字になってしまい、それを嘆いた一人がその男の悪口をインターネットの掲示板に書き込み、それが大いに盛り上がっていたのを見た子どもが人間には醜い部分があると強く感じて、さらに僕はそんな人間にはなるまいと強く念じていたのだが、十七の時授業で教育実習生に質問したところその先生は答えられず、その朝牛乳をこぼしていたのでいらいらしていたその子どもはその質問をしつこく追及したところ、とうとう実習生は泣き出してしまい、その時になって幼少のころの決意を思い出した子どもはやっぱり子供は子供にすぎず言う事もころころ変わるので信用できないなあと思ったので、後で子供を持ったとき彼は子供をぜんぜん信用しない方針で育てたので、子どもの子供はやさぐれてしまい、それで学校の道徳めいた国語の授業が嫌いになり、後で学校教育の批判をある雑誌に載せたのだが、それを読んだ大学生がその文の「なあに、かえって免疫力がつく」というくだりを合コンでふいに言ってしまったところ、これが大いに受けてどっと笑いが起り、その笑いに気分を害された別の男はその店を出てしまったのだが、その帰り道で前を歩いていた少年がカツアゲにあっていたのを目撃し、その声にとうとう男は癇癪をおこして「うるせー黙れ!」と怒鳴り、カツアゲ男が「うるさいのはお前だろが」と返したところ、男が「俺の怒鳴り声は硬派な怒鳴り声なんだよ!そんなこともわからないのか!?」と焼けくそでやり返してしまったのでさらに一騒動起こってしまい、どさくさにまぎれて少年は逃げ出してしまったのだが、その少年が友達にその話をするのを聞いていたとある生徒は後に著名な作家となったのだが、その作家の書いた自伝にのっていたカツアゲ男のくだりを読んだ男はそういえば俺はおぼっちゃんではないのにカツアゲにあったことがない、いや不審者にあったことすら無いのでおかしいなと考えていたのだがその男が銭湯に行った時、仕事の疲れか酒のせいかは知らないがおけに座って体も洗わずにぼうっと浴槽の辺りを眺めていたところ、運悪くそれが裸で歩いていた女子をじろじろ眺める格好になっていたようで、女子の父親はあわてて娘を呼び寄せ、男を睨んだので、男はようやく我を取り戻し、あわてて体を洗ったのだが、後でそれを振り返ってしみじみと「不審者は私自身だったのか」とつぶやいたのを聞いた小説家はネタに詰まっていたのでこの台詞をもとに「黒い鳥」という話を書き上げたのだが、その話が童話「青い鳥」の盗作ではないかと指摘した読者と出版社のいざこざを聞いたある思想家が自主規制についてのエピソードとしてこれを取り上げ、それを読んだ学生がこれは面白いなと思ってそれを友達に紹介したところ、それを聞いた一人がその本を読んでみたいといったので学生は彼に本を貸したところ、彼はその思想家が気に入ってしまって以降その思想家の思想に染められることになったのだが、ある日の朝食の席で彼がその思想家を母親に紹介したところ母親は「そんな話はするんじゃありません」と言って全く取り合ってくれなかったので彼は登校中腹立ち紛れにそのへんの小石をどこかへ投げたところ、パリンと音がしたので何事かと音のした方を見るとどうもどこかの家の窓を割ってしまったらしいので、彼は足早にそこを立ち去ったのだが、さて後になってそれに気づいたその家の主人、やはり強化ガラスを買うべきかとひとりごち、バイクに乗ってホームセンターへ強化ガラスを買いに行った途中で十字路に差し掛かった時、何せその時はお昼ごろだったので「人がほとんど居ないのだからいいだろう」などと思った主人、スピードを上げて十字路を通り過ぎようとしたのだが、運悪くそこに左から自転車に乗った男の子が来てしまったので二人は衝突し、二人ともサドルから振り落とされてしまってここに正真正銘の交通事故が起こってしまったのだが、しばらくして主人が起き上がってみると男の子も自転車の姿も無いので駆けつけてくれた通行人に話を聞いてみるとどうもその男の子は意外にも主人より早く起き上がって、駆けつけた人に声にならぬ声で「大丈夫です」などと言って主人の連絡先も聞かずに自転車に乗ってどこかに行ってしまったらしいのだが、さてその十字路の角に小学校があったので、そこの永田という教師が「やはり、この小学校に通っている児童が、最近の凶悪犯罪で本当におびえて、苦しい思いをして、そして身の危険を感じながら今もおびえていることを考えると、私としては、最大限守ってあげたい、そう思っているわけでありますが、見てください、この交通事故、幸いにも大きな怪我は無かったようですが、この風景を保護者の方が見たら、こんなところに児童を引っ張り出されるのはかなわないと感じるのは当然ではないでしょうか」と校長に訴えたところ、校長も「永田さん、冷静に、ちょっとなってくださいね」などと言いつつ、既に保護者から二件ほど苦情が来ていたので、その十字路にはロードミラーが取り付けられることとなったのだが、その話を聞いたある新聞社員が宣伝用に自社の新聞社員を体験できるというふれこみの、十字路で起こった事件を記事にしてその十字路にロードミラーを取り付けてもらうというストーリーのゲームを作り、自社のホームページに載せてもらったのだが、さてそのゲームを見た一人の小学生、名を高橋賢児というのだが、これがきっかけで新聞記者になったのだが、二十五の時不況のために解雇され、ハローワークへ職探しに通うことになってしまったが、このハローワークで田中翔という絵描き崩れと親しくなり、さてこの後は未来の歴史に著名な通り、当時の世情不安と高橋の宣伝能力を田中がうまく使って田中は政界で劇的に名を上げ、やがて国を牛耳る独裁者となって粛清を繰り返したのだが、これによって私の姉の甥の孫の義兄のはとこの再婚相手の連れ子の曾孫の婿の妹の姑の従姉弟の息子の姪の娘の夫が粛清されてしまったので彼の嫁、つまり私の遠い親戚が私をひどく恨んでいる★という情報を手に入れたときであるが、なぜ私がこのことに神を感じたのかと言うと、この情報を手に入れた時、初めは「遠い未来になっても窓ガラスが割れたりサッカーが人気だったりしているところから考えると、世の中というものはなかなか変わらないものなのだなあ」などと思っていたのだが、よく考えてみるとなぜこのような情報を取り出せたのかがわからないし、ちょうどその時私は布団の中で眠ろうとうつらうつらしている最中だったので、これは神の仕業と考えるより説明のしようが無いからであるが、最後に私は最近これについて気になって仕方が無い疑問が生じてしまい、私だけで考えてもどうもこの疑問は解けそうに無かったので読者の皆さんに問いたい、なぜ私が朝鮮中央放送を聞いていたということを私の遠い親戚が知っているのだろうか?
2006/07/31
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