銀行は、あなたの決算書を「点数」にしている
銀行は、あなたの決算書を「点数」にしている
セミナー「伝わる決算書のつくり方」の連載です。
前回の3つの原理原則
(黒字・CFプラス・資産>負債)を、
銀行は感覚で見ているわけではありません。
機械的に点数化しています。
これを、債務者格付けといいます。
あなたの決算書
→ 格付けシートで点数化
→ ランク決定
→ 融資の可否・金利・金額・期間
この流れです。
そもそも、なぜこんな仕組みがあるのか。
きっかけは、バブルです。
あの時代、銀行は
「土地さえあれば貸す」で、
各行バラバラの判断で貸し込みました。
結果は、不良債権の山。
「勘と担保」では危ない。
客観的・標準的に測る仕組みが要る。
そうして1999年に導入されたのが、
債務者格付けです。
つまり格付けは、
投資家を締め付けるための道具ではなく、
銀行が自分を律するために作った仕組みなんです。
敵ではありません。
銀行が公平に貸すための、共通言語です。
では、シートの中身を見てみましょう。
評価軸は、おおむねこの4つです。
・収益性(経常利益率など)
・安全性(自己資本比率)
・返済能力(債務償還年数・ICR)
・成長性(売上・利益の趨勢)
これらを点数化して、
「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」…
とランクに落とし込む。
正常先であることは絶対条件です。

ここからが本題。
自分の点数の「相場観」はありますか?
不動産賃貸業の実データ
(中小企業庁系の経営自己診断システム)から、
主要3指標の水準を挙げます。
自己資本比率
業界中央値:11.38%
上位30%:29.17%
注意点がひとつ。
銀行は物件を時価評価してこの数字を見ます。
簿価のままではありません。

債務償還年数(有利子負債 ÷ 償却前営業利益)
業界中央値:13.3年
上位30%:7.6年
一般の事業会社の目安は「10年以内」ですが、
不動産賃貸業は長期資産の商売なので、
20年以内が実務的な目線です。
取得直後に長く出るのは、当然。

ICR(営業利益 ÷ 支払利息)
業界中央値:2.0倍
上位30%:4.9倍
1倍未満:危険水域
利息を、利益で何倍カバーできているか。
金利上昇局面で、真っ先に劣化する指標です。
(この話は、次々回に1本まるごと書きます)

自分の決算書で、この3つを計算してみてください。
中央値より上か、下か。
上位30%まで、どれくらいか。
それだけで、
銀行の中でのあなたの立ち位置が、
だいたい見えてきます。
ただ。
ここまで読んで、
こう感じた方がいるはずです。
「格付けが大事なのは分かった。
……でも正直、ピンとこない」
その感覚、まったく正しいです。
理由があります。
次回、その理由の話。
不動産の融資には、2つの世界があるという話です。
