見出し画像

影のまなざし

舞台の端で
伸びたり縮んだりしながら
気づかれることもなく
ただ影がそこにある

糸がふるえたときも
指先の影がわずかに揺らいだときも
人形の胸の奥で
名を持たない気配が
そっと揺れたときも
最初に触れるのは
いつもこの影で
その気づきは
どこへも届かず
静かに沈んでいく

光は主役だけを追い
観客は物語の表面をなぞり
操り手は自分の支配を信じ
人形は自分の不自由を信じる

そのどれもが
ほんの一部にすぎないことを
薄い影だけが
ひっそりと知っている

操られることもなく
触れられることもなく
落ちてきた心のかけらを
そっと受け止め
ゆっくりと溶かしていく

そのかすかな温度だけが
影をこの場所につなぎとめている

寄る辺のない哀しみは
声にもならず
形にもならず
ただ影の奥で
静かに揺れ続けている





いいなと思ったら応援しよう!

音琴 ~go_chara~ 応援ありがとうございます✨頂いたチップは詩/物語創作へのカロリー(おやつ代と珈琲、環境整備)に変換しています🍰☕️よろしくお願いします🙇

この記事が参加している募集