Photo by
piccolotakamura
心の届く距離
知らない場所で
知らない誰かが
傷ついていると聞いても
胸の奥は静かなまま
風の音に紛れていくことがある
けれど
目の前の誰かの影が
ほんの少し揺れただけで
心のどこかがそっと震えて
言葉の灯りを探し始める
人の心理は
思っているよりずっと複雑で
遠い痛みには鈍く
近い温度には敏感に触れてしまう
それは冷たさじゃなく
触れられる距離にあるものを
守ろうとする
小さな優しさの形なのかもしれない
価値観も
優先順位も
積み重ねた日々も
その時々で
違う答えを差し出してくる
正しいと思った選択が
正しさを持たないこともあり
迷いながら伸ばした手が
誰かをそっと支えることもある
人はみな
揺れながら生きている
遠い痛みに無関心なわけじゃなく
近くの温もりに
より強く心が動くというだけで
その揺らぎの中で
私たちは今日も
誰かの影を見つめ
誰かの光に触れ
静かに歩いている
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