【保存版】個人事業主を時間差で襲う「7つの税金」完全攻略ガイド。申告の有無から自動化の裏ワザまで
独立して個人事業主やフリーランスになると、避けて通れないのが「税金」の壁です。
会社員時代は会社が勝手に天引きしてくれていましたが、これからはすべて自分で管理しなければなりません。
さらに自分自身の税金だけでなく、従業員を雇ったり外注を多く使ったりするようになると、「他人の税金を天引きして代わりに納める」という重大な義務(源泉徴収・特別徴収)も発生します。
「そもそも自分はどの申告が必要なの?」
「いつ、何の税金を払えばいいの?」
「毎月、納付書を握りしめて銀行に行くのが面倒くさい……」
そんな疑問や悩みを解決するために、個人事業主に関わる国税・地方税のすべてと、納税を一気に自動化してラクにする方法、そして面倒な事務手続きを激減させる「納期の特例」まで、出し惜しみなくすべて無料で分かりやすくまとめました。
1. そもそも確定申告・各種申告は必要?(判断基準)
まずは、自分がどの申告義務の対象になるかどうかのボーダーラインを確認しましょう。
1.所得税の確定申告:1年間の事業の「所得(収入 - 必要経費)」が 96万円を超える場合は原則として必須です。96万円以下の場合は所得税の確定申告は不要ですが、事業収入が少しでもあるなら市区町村への「住民税の申告」は別途必要になるケースがほとんどです。
所得控除の適用を受けたい場合には、申告をする必要があります。
※申告不要となる金額については、国税庁No.1199 基礎控除を元に記載しています。最新の情報は必ず現行の法律をご自身でお確かめください。
固定資産税:自治体が税額を計算して納付書を送ってくるため、自ら申告する必要はありません。
償却資産税:事業用のパソコンや器具などを所有している場合、税金がかからない基準(免税点)未満であっても、毎年必ず「資産の申告」をする義務があります。注意点としては、青色の少額減価償却資産として経費化した場合には申告対象となることです。
源泉所得税:従業員(アルバイトや青色専従者など)に給与を支払う場合や、特定の業種のフリーランス(デザイナーやライターなど)に外注費を支払う場合、支払う側が税金を天引きして国に納める義務(源泉徴収義務)が発生します。
住民税の特別徴収:従業員(専従者含む)を雇用している場合、原則として事業主が従業員の毎月の給与から住民税を天引きし、本人に代わって各市区町村に納付する義務があります。
2. 個人事業主に関わる「7つの税金」とスケジュール
個人事業主が納めるべき税金は、国税(国に納める)と地方税(都道府県・市区町村に納める)に分かれます。忘れた頃に時間差でやってくるため、以下の表でタイムラインを頭に叩き込んでおきましょう。
[国税(3種類)]
① 所得税: 1年間の事業の利益(所得)にかかる基本の税金です。
申告・納付:翌年2月16日〜3月15日
※前年の所得が多いと、7月と11月に前払い(予定納税)が発生します。
② 消費税:2年前の売上が1,000万円超、またはインボイス登録をしている場合、課税事業者の選択をしている場合にかかります。
申告・納付:翌年3月31日まで
③ 源泉所得税:給与や特定の報酬(外注費など)から天引きした、従業員や外注先の所得税を「代わりに納める」ものです。
申告:不要(納付書またはe-Taxで直接納付)
納付:原則として支払った月の翌月10日まで
[地方税(4種類)]
④ 住民税(普通徴収・特別徴収)
自分自身の住民税(普通徴収)と、従業員の給与から天引きした住民税(特別徴収)があります。
自分自身(普通徴収):6月・8月・10月・翌年1月(年4回)
従業員分(特別徴収):原則として毎月10日まで
⑤ 個人事業税
特定の業種にかかる税金です。利益から一律290万円の控除があります。
納税:8月・11月(年2回払い)
※8月頃に都道府県から納付書が届きます。
⑥ 固定資産税
事業用の事務所や店舗、土地などを「所有している場合」にかかります(賃貸は不要です)。
申告:不要(自治体から納付書が届く)
納税:4月・7月・12月・翌年2月頃(自治体により多少前後します)
⑦ 償却資産税
固定資産税の一種で、事業用のパソコンやコピー機などが対象です。資産の評価額合計が150万円未満なら税金はかかりません。
申告:毎年1月31日まで(必須)
※1月1日時点の所有資産を申告します。
納税:6月・9月・12月・翌年2月頃(評価額150万円以上の人に通知)
3. 事務負担を激減させる!国税・地方税の「納期の特例」
従業員を雇うと、源泉所得税や住民税の特別徴収により「毎月10日」の納期に追われることになります。しかし、以下の特例を申請することで、この面倒な事務を「毎月」から「年2回」へ劇的に減らすことができます。
① 源泉所得税の「納期の特例」
給料を支払う従業員(専従者やアルバイト)が常時10人未満の個人事業主は、税務署に申請書を提出することで、毎月の納付を年2回(7月10日と1月20日)にまとめて一括納付できるようになります。
対象となる決済:給与や退職金から天引きした源泉税、および税理士や弁護士等へ支払った報酬の源泉税が対象です。(※一般的な外注デザイナーやライターへの報酬の源泉税は、特例の対象外となり翌月10日納付のままなので注意してください)
No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例
② 住民税(特別徴収)の「納期の特例」
従業員から天引きする住民税(特別徴収)についても、同様に給与支払いを受ける人が常時10人未満である場合、各市区町村に申請することで年2回(12月10日と翌年6月10日)のまとめ納付に変更可能です。
毎月各自治体の納付書を何枚も処理する手間が一気に圧縮されます。
4. 納税や管理で「圧倒的に楽できる」3つの自動化ワザ
特例を使って回数を減らしたとしても、毎回金融機関の窓口に並ぶのは時間の無駄ですし、払い忘れのリスクも高まります。以下のデジタルインフラを構築し、納税を「完全自動化」しましょう。
① 国税(所得税・消費税・源泉税)は「振替納税」か「ダイレクト納付」
振替納税(口座振替):所得税・消費税は、一度税務署へ届出書を出しておけば毎年自動引き落としになります。支払期日が通常より約1ヶ月後ろ倒し(4月下旬頃)になるため、手元の資金繰りにも有利です。
ダイレクト納付(超おすすめ):e-Taxで電子申告をした後(源泉税の場合は納付データを作成した後)、画面上のボタンを1クリックするだけで登録口座から即時引き落としが完了します。年2回にまとめた源泉税も、銀行に行く手間が完全にゼロになります。
② 地方税は「地方税お支払サイト」&「共通納税システム」で自宅から即決済
住民税、個人事業税、固定資産税、償却資産税などの地方税は、送られてくる納付書にある「eL-QR(QRコード)」をスマホで読み取るのが一番ラクです。自宅にいながらクレジットカードやスマホ決済(PayPay等)で支払えます。
さらに、従業員の住民税(特別徴収)は、地方税ポータルシステム「eLTAX(エルタックス)」の「地方税共通納税システム」を利用するのがベストです。複数の自治体にまたがる従業員分の住民税を、オフィスにいながらネットバンキング等で一括して電子納税できます。
③ 複雑な申告・給与計算は「クラウド会計ソフト」で一撃
毎年1月の「償却資産申告書」や、毎月の「従業員の給与計算、源泉税・住民税の自動算出」をゼロから手計算するのは不可能です。クラウド会計・給与ソフトを導入しておけば、ボタン一つで提出用の書類や納付データが自動生成されます。
5. まとめ:賢く仕組みを作って本業に集中しよう
個人事業主にとって、お金を守り、納税を仕組み化するインフラ作りは売上をあげることと同じくらい重要です。特に従業員を雇用すると、毎月「他人の税金を預かっている状態」になるため、資金管理の難易度が上がります。
「口座にお金があるから」と使ってしまわず、目安として「売上の2割〜3割」は納税専用口座へ機械的に隔離し、支払いは「特例」と「電子決済」を使ってすべて自動化してしまいましょう。
バックオフィス業務をスマートに自動化して、安心してご自身の本業に100%のリソースを集中させていきましょう。
■ 免責事項
本記事に掲載されている情報は、作成時点の税法(所得税法、地方税法等)および関係法令に基づいた一般的な情報提供を目的としております。内容の正確性には万全を期しておりますが、読者のみなさまの個別具体的な状況における税務判断や、法改正による変更等について保証するものではありません。実際の確定申告、各種特例の申請、税務上の判断にあたっては、必ず最寄りの税務署、市区町村役場、または税理士等の専門家にご相談いただきますようお願いいたします。本記事の情報を用いて行う一切の行為について、筆者は何ら責任を負うものではありません。
