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種麹はどうやって作られるの?

第14話

~小さな胞子が生まれる120時間のものがたり~



はじめに

前回のお話では、日本の発酵文化を陰で支える「種麹屋さん」をご紹介しました。

でも、多くの方はこんな疑問を持たれたのではないでしょうか。

「種麹って、どうやって作るの?」

実は、種麹は蒸したお米に麹菌を育てるだけではありません。

私たち麹屋が作る麹とは、目的も育て方も少し違います。

今回は、その知られざる世界をご紹介します。


麹屋の麹と種麹は目的が違う

私たち麹屋が作る麹は、

味噌や甘酒、塩麹などになる「食べるための麹」です。

一方、種麹屋さんが作る麹は、

全国の麹屋さんや酒蔵、味噌屋さんへ届ける

**「麹菌の種」**を作ることが目的です。

つまり、

私たちは麹を育てる職人。

種麹屋さんは、

麹菌を増やす職人なのです。


小さな胞子を育てる仕事

種麹づくりは、

蒸したお米に麹菌を育てるところまでは同じです。

しかし、その後が違います。

私たち麹屋は、

麹菌がお米の中へしっかり入り、

酵素が最も多く作られた頃に出麹します。

ところが、

種麹屋さんはさらに育て続けます。

すると、

麹菌は白い菌糸から、

やがて黄緑色の細かな粉を作り始めます。

この粉こそが、

**胞子(ほうし)**です。

この胞子が、

次の麹づくりの命になります。


約120時間かけて育てる

一般的な麹は約48時間。

しかし、

種麹づくりは約120時間。

約5日間という長い時間をかけ、

麹菌を最後まで育てます。

その間、

温度や湿度を細かく管理しながら、

胞子が元気に育つ環境を整えていきます。

一つひとつの工程に、

長年受け継がれてきた職人の技があります。


何百年も続く選抜

胞子ができたら終わりではありません。

その中から、

元気で良い菌だけを選びます。

さらに次の世代へ。

また良い菌を選びます。

この繰り返しが、

何百年も続いてきました。

だから今でも、

味噌も、

醤油も、

日本酒も、

安定した品質で作ることができるのです。



種麹を撒く様子

小さな粉の中に未来がある

袋に入った種麹を見ると、

ほんの少しの粉にしか見えません。

でも、

その中には何億もの胞子が眠っています。

その小さな命が、

お米に広がり、

麹になり、

味噌になり、

醤油になり、

甘酒になり、

日本中の食卓へ届けられていくのです。

私は今でも種麹を手にすると、

「ここから発酵が始まるんだ」

と、少し背筋が伸びる思いになります。


おわりに

種麹屋さんは、

小さな胞子を育てています。

でも本当に育てているのは、

日本の発酵文化そのものなのかもしれません。

何百年も受け継がれてきた菌は、

今日も全国の麹屋さんへ届けられ、

新しい味噌や醤油、日本酒へと姿を変えています。

そんな見えないバトンを、

私たちも受け取りながら麹づくりを続けています。


花ちゃんのひとこと 🌸

「わぁ!種麹って、小さな粉じゃなくて、未来の発酵がいっぱい詰まった宝物だったんだね!」


次回予告

第15話

「菌にも性格がある」

~同じ麹菌なのに、どうして味が変わるの?~

長白菌、雪こまち、酒造り用の菌…。

実は麹菌にも、それぞれ得意な仕事があるのです。

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