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自慢することも、卑下することもない。


最近は、ゴルフ⛳を極めるため、熱心に練習している。


先日、いつもの練習場へ行くと、何度か会話を交わしたことのある男性がいた。


その男性の横で、練習を開始。


時折、お互いのスイングについて


「あーでもない、こーでもない」


と笑いながら話す。


一人でもくもくとやるより、上達も早いし、何より楽しい。



この男性とは、これまでの会話で「同い年」で元高校球児だということは知っている。


私も飛ばすほうだが、この男性はさらに飛ばす。


「さすが元野球部、よく飛びますね~」


そう言うと、


「昔よりは飛びませんけどね」


と、はにかむように答える。



練習の合間、休憩のときのこと。


「最近は、ラウンドに行きたくないんですよ」


「なんでですか?」


「暑すぎて…。暑いの苦手なんですよ」


ここ数年、夏は平気で35度を超える。


「元野球部なんですから、暑さに強いでしょう?」


「いや、昔よりはるかに暑いですよ」


「あの頃の部活って、水飲んだらダメで、ひたすら走らされましたよね」


「そうそう。根性論の世界で、今じゃ考えられませんよ」


そんな話をしながら、また打ち始める。


その流れで、最近身につけた“脱力スイング”を見てもらうことにした。


「野球やってたから分かると思うんですが、この違い分かります?」


クラブをバットに見立てて、二種類のスイングを見せる。


「どっちが速く振れて、飛ぶと思います?」


「後のほうですね」


――正解。


「この違い、分かります?」


「いや~、分からんですね。野球のときは、最初のスイングに近いです」


「左肩、少し落としてみてください」


そう伝えて打ってもらうと――


これまで270ヤード前後だった打球が、300ヤードの看板に当たった。


「いいですね~」


その後も、300ヤード近くを連発。


この年齢で、練習場のボールでこの飛距離。


正直、凄すぎる。


滝宮さんの桜(近くの神社)


再び休憩。


何気なく、昔話になる。


「野球部のとき、ポジションは?」


「三年のときはピッチャーで、3番打ってました」


「すごいですね」


「甲子園は…行けたんですか?」


「4回」


――4回?


「えっ、4回も…。すごいやないですか」


「同年代の清原や桑田とも(戦った)?」


「あの二人は別格でしたけどね」


「いや、それでも凄いですよ」



少し間があって、さらっと一言。


「ドラフト3位で、ダイエーに入りました」


……え?


「えっ、プロ野球選手やったんですか?」


「はい、十数年やりました」


「……」


「記録になるホームラン、何本か打ってますよ」


「……」


「調べたら出てきますよ」



――待てよ。



俺、さっき「野球のスイング」について講釈たれてたぞ…。


知らなかったとはいえ、これは恥ずかしい。


ずっと「元野球部」として接していた相手が、


まさかの「元プロ野球選手」



……まあ、いいか(笑)



滝宮さんの桜



同い年で、タメ口で話していた。


それでも、この人は昔のことを自慢しない。


ただ自然体で、「今」を楽しんでいる。


素晴らしい。



一方で、過去の自分と誰かを比べて、卑下する必要もない。


これまで、それぞれが頑張ってきたのだから。



自慢することもない。


卑下することもない。


ただ、それでいい。




頑張ってきた自分をもう責めない(kindle)

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