すき焼きととろろ
夜ご飯はいただいたお肉でのすき焼きだった。
すき焼きに心が躍る。
長ねぎに焦げ目がついていく。長ねぎをひっくり返しながら、お酒をつぐ。
じゅううと肉を入れて、割下をそそぐ。
じゅわわわと湯気が立ち、急いでお椀の中で卵を溶いた。
肉とねぎを溶き卵の中によく沈ませてとろりとうまい、ぐびり酒を飲む。
次に、焼き豆腐、しいたけ、しらたき、えのきを投入する。
「春菊を忘れてた」と夫が言い、私は冷蔵庫から春菊を取りだした。
緑の濃い春菊を洗い、ざくりざくりと切り、鍋に入れた。具材が濃く染み込んでいき、甘辛い香りをたてる。
すき焼きはばあちゃんを思い出す。
こたつの上の深いホットプレートをみんなで囲み、おのおのがお椀の卵をかき混ぜながら待つ。
ばあちゃんは砂糖をいれたプラスチックの四角い容器を端に置き、白い砂糖をさらさら入れていた。
すき焼きを思い返すと、こたつの熱さとばあちゃんが砂糖を何度もいれる光景がうかぶ。
子どもながらに、「砂糖入れ過ぎじゃないかな」と思っていたすき焼きはなぜかとてもおいしいのだ。
すき焼きはぐつぐつと音と湯気をたてている。
次はとろろをかけて食べた。
とろろは少し冷たくすき焼きにねっとりと絡まる。おいしくて酒がすすむ。
また肉を投入しては卵をお椀に割り入れた。
すき焼きを食べると、明日からもがんばれるような気持ちがする。
制作漬けの日々の急にやってきたご褒美みたいだ。
お風呂に長く入った。居間に行くと猫たちが足元にまとわりつき転けそうになる。
黒猫が怒っていた。「ずっと待ってたよ」と夫が黒猫の言い分を言い、たくさんなでる。そういえば、定期的に何度も鳴いている声がしていた。
ソファーで寝てしまい、猫はどこかへ行っていて寝ぼけながら歩いていたら洗面所のドアで足の薬指を挟んだ。
布団に入りうつ伏せになると、黒猫が私のお尻を少しふみふみして、ふくらはぎの上でまるくなる。
