見出し画像

旅を終えて、本とごはんと静かな時間

コメント欄で皆さまが教えてくださった、デジタルデトックス。

数日間ですが、実際にやってみました。

終わってみれば、なかなか有意義な旅だったと思います。

とはいえ、最初から穏やかに過ごせたわけではありません。

スマホを置いて電車に乗った時は、思っていた以上に焦燥感がありました。

何となく落ち着かない。

何かを確認したいような気がする。

でも、確認するものがありません。

最初の半日くらいは、もやもやして、持ってきた文庫本を読む気にもなれませんでした。

ただ、暇です。

とにかく暇でした。

仕方がないので、しぶしぶ文庫本を開きました。

しばらく読んでいると、不思議なくらい本の世界に入り込んでいました。

電車の中の雑音が気にならなくなるほど、物語に没頭していました。

最近、本を読んでいて、ここまで入り込んだ記憶はありません。

スマホがないからなのか。

他に刺激が少なかったからなのか。

理由は分かりません。

ただ、この感覚はかなり印象に残っています。


もう一つ、自分でも意外だったことがあります。

食事です。

普段は、

「お腹が空いたな」

と思って食べることが多いです。

でも今回は、途中から少し感覚が変わりました。

「何か食べたいな」

と思うようになりました。

単に外から入ってくる刺激が減って、別の刺激を欲しがっただけなのかもしれません。

そこは分かりません。

ただ、食べてみると、

おいしい。

そして、

幸せだな。

と思いました。

別に豪勢なものを食べたわけではありません。

外では、うどんやそば。

身内の家では、スーパーで普通に売っている味噌や漬物。

揚げ物や刺身。

普段でも食べるようなものばかりです。

それなのに、いつもより食事そのものを楽しんでいる自分がいました。

何気なく毎日繰り返している「食べる」という行為に、こんなふうに幸せを感じるのも面白いものだなと思いました。


身内の家に着くと、母方の叔父や叔母など、集まれる人が集まって飲み会が始まりました。

叔父は最初、何となくテンションが低めでした。

もともと聡明な人なので、最初は真面目な話をしながら、少しずつ冗談も混ぜて話していました。

そのうち叔父も笑うようになり、楽しんでいたように思います。

私はもともと、あまりお酒を飲みません。

なので、ある程度話したところで、こそっと抜け出しました。

自分が寝るために用意してもらった離れの部屋へ戻り、コーヒーを淹れました。

そして、また小説を開きました。

静かな部屋。

コーヒー。

文庫本。

それだけです。

本の世界に入り込みながらコーヒーを飲む、穏やかな時間でした。

しばらくすると自然に眠くなり、その日は久しぶりに穏やかに眠れました。

翌朝は、味噌汁の匂いで目が覚めました。

配膳を少し手伝いながら、叔父や叔母と何でもない話をして、ご飯を食べる。

食事が終われば、それぞれ好きなように過ごします。

私は周辺を散歩したり、コーヒーを飲みながら本を読んだりしていました。

何か特別なことをしたわけではありません。

ただ、静かに時間が流れていました。


途中、父方の墓参りにも行きました。

お寺のお坊さんは相変わらず気さくな人で、会えば普通に冗談を言い合います。

二人で笑っていたら、奥さんから、

「あんたたち、仲いいね」

と少し呆れたように言われました。

そんな時間も楽しいものです。

その後、父方の先祖の墓を掃除しました。

正直に言えば、私は父とはかなり仲が悪いです。

だから父方の先祖の墓となると、思うところがないわけではありません。

でも、

死者は何も語りません。

だから私も、そこで特別な意味を探すことはしませんでした。

ただ敬意を払って、無心で墓を掃除しました。

掃除を終えて墓を眺め、

「綺麗になったなぁ」

と思いました。

それだけです。

線香をあげて、少しぬるくなった麦茶を飲みながら本堂へ戻りました。

すると、お坊さんから、

「足を崩してもいいから、のんびりしていけばいい」

と言われました。

線香をあげたあと、そのまま本堂でぼーっとしていました。

線香の香りがしていました。

何かを考えようともせず、ただ座っていました。

悟ったわけでもありません。

何かが解決したわけでもありません。

ただ、何も考えずに過ごせる時間でした。

最後にお茶を入れていただき、それを飲んでから帰りました。


今回、デジタルデトックスをしてみて、いくつか印象に残ったことがあります。

本の世界に深く入り込めたこと。

よく眠れたこと。

その間、不思議と仕事の不安を忘れていたこと。

そして、一番印象に残ったのは食事でした。

食べたいと思って食べる。

おいしいと思う。

そして、幸せだと思う。

今回は、朝も昼も夜も、ご飯がおいしく感じました。

特別な料理ではありません。

いつもなら何気なく食べているようなものです。

それでも、その時間を幸せだと思えました。

本を読む。

コーヒーを飲む。

ご飯を食べる。

眠くなったら眠る。

人と何でもない話をする。

何気ない毎日の中にも、幸せを感じられる時間はあるんだなと思いました。

穏やかな時間と、静かな時間。

今回の旅では、それだけで十分でした。

そんなことを考えながら、久しぶりにnoteを書いています。

いつもスキやマガジン追加をしてくださり、ありがとうございます。
とても励みになっています。
仕事のことや、日々感じたことを少しずつ書いていますので、気が向いたらフォローしていただけるとうれしいです。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集