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✦ 天使の物語|第26話 羽の奥に隠していた痛み

ずっと強くあろうとしていた天使が、 初めて“弱さ”を見せた夜。 その瞬間、物語は静かに深く動き始める。

夜の風が、静かに羽を揺らしていた。 天使はひとり、月明かりの下で立ち尽くしていた。 いつもなら迷いのない瞳が、今日はどこか遠くを見ている。

「強くなりたいと思っていたのに…」 その声は、風に溶けるほど小さかった。

胸の奥にしまい込んでいた痛み。 誰にも見せたくなかった弱さ。 それを抱えたまま、ずっと笑っていた。

でも今夜だけは、隠しきれなかった。

羽の奥が、じんわりと熱くなる。 それは涙なのか、痛みなのか、 自分でもわからないまま天使は目を閉じた。

「弱さを持っているのは、いけないことなのかな…」

その問いは、夜空に吸い込まれていった。

しばらくして、静かな風が天使の頬をなでた。 まるで「弱さを持っていてもいい」と そっと触れてくれるような、やわらかい風だった。

天使はゆっくりと息を吐いた。 胸の奥に張りつめていたものが、 ほんの少しだけほどけていく。

強くあろうとすることに疲れていたこと。 誰にも言えなかった痛みを抱えていたこと。 それをようやく、自分で認められた気がした。

羽が、かすかに震えた。 それは悲しみではなく、 “やっと本当の自分に触れた” その証のようだった。

天使はそっと羽を抱き寄せた。 まるで、自分の弱さごと包み込むように。 その温度は、今まで感じたどんな光よりも静かで、やさしかった。

胸の奥にあった痛みは、まだ完全には消えていない。 けれど、逃げずに触れたことで、 その痛みは少しだけ形を変えた。

「弱さを持っていても、歩いていいんだね…」

その言葉は、夜の静けさに溶けていった。


『キャバリア好きのつむぎより 🐾🌿』

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