五条不在、死神付き。
1、黒いノート
放課後の呪術高専。
虎杖悠仁、伏黒恵、釘崎野薔薇の三人は五条悟の居室へと向かっていた。
何でも用があるらしく、呼ばれたのだ。
「チッ、面倒くさいわね」と舌打ち混じりに言うのは野薔薇だ。
「いったい何なのよ、花の女子高生を呼び出すなんて」
「呼ばれたの、お前だけじゃないだろ、釘崎」と恵。
「まぁまぁ、もしかしたら夕飯奢ってくれるかもよ?焼肉とか!」とちゃっかり発言をするのは悠仁だ。
コンコン、と恵がノックすると中から「どうぞ、入って〜」と呑気な声が聞こえた。
「失礼します」と口々に言って、入室する。と。
「うわぁ?なんだコレ?檻?」声をあげたのは悠仁だ。
そう、何故か五条の居室の一角に檻が設置されていた。
最も中は空のようだが…。
「まま、説明するからさ。まずは三人とも、これに触って」
五条が三人の前に差し出したのは真っ黒なノートだ。
嫌な予感しかしない。だが抗う訳にもいかず、三人同時に触れた、その瞬間―
「えっ!?」は野薔薇。
「うぉっ!?」は悠仁。
至極冷静に
「また厄介なモン、押し付けられましたね、先生」は恵。
先程まで空だったはずの檻の中に、ノートに触れた瞬間、現れたのだ。
ギョロギョロとした目、耳まで裂けているのでは?と思われる唇、背中から真っ黒な蝙蝠を思わせる翼の生えた異形の生物が。
五条が掌を向ける。
「紹介するよ、彼はリューク。〈死神〉だよ。このノートは〈DEATHNOTE〉といってね、触れた者に彼の姿を認知させる機能がある」それから、と五条は実に軽いテンションで言った。
「このノートに名前を書かれるともれなく死にます」
「は?」と恵。
「マジか?」は野薔薇。
「スゲー、ヤベーじゃん!!」は悠仁。
五条はのんびりとした口調で続ける。
「いやぁ、この〈DEATHNOTE〉と〈リューク〉の扱いを上が揉めててね。ノートの影響を受けない僕に預かってくれ、って、押し付けられちゃってさ」
五条が椅子を一回転させる。
「ところが僕、緊急の任務が入っちゃってさ」
三人はそれぞれ顔を見合わせた。
嫌な予感、大当たり。
「二年はいま、合宿でいないだろう?」だからさ、と言う。
「悪いんだけど、僕が出張から戻ってくるまでの間、三人に〈リューク〉を見張ってて欲しいんだ。大丈夫、〈リューク〉は至極聞き分けが良くて、大人しいからさ」
これ、鍵ね。と恵の手に檻の鍵を渡す。
「〈リューク〉が食べる用の林檎はそこに買って置いてあるから、あとはまぁ、雑談でもしてあげてよ」
それじゃあ、よろしくねん。と言い置いて、五条は行ってしまった。
「あんにゃろー、帰ってきたらザギンでシースーだ!」と野薔薇。
「まだ行ったばっかりじゃん」と悠仁。
「お前ら、緊張感持て」と恵。
三人は改めて、檻の中の〈死神〉―〈リューク〉を見やった。
「そんなに見つめられると照れるぜ」と〈リューク〉が言った。
「「喋った!」」と野薔薇と悠仁。
恵は至極冷静に「なんかして欲しい事あるか?檻から出す、以外で」と聞いた。
リュークは「とりあえず、林檎くれるか?」と言った。
恵が五条が用意していったダンボールから林檎を渡す間もリュークは大人しかった。
シャクシャクと音を立て、嬉しそうに林檎を頬張るリューク。
「さて…」恵が聞いた。
「これからどうする?交代で見張るか?」
「私、嫌よ。寝なきゃ、お肌荒れちゃう」と野薔薇。
「じゃ、公平にジャンケンで決めようぜ」と悠仁。
かくて、ジャンケンの結果、一人目の見張りは悠仁に決まったのだが…。
