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京都の嵐山に舞い降りた奇跡!!伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ!?展@福田美術館


こんにちは、はくれぽ!です。
今回は京都は嵐山にある福田美術館の開館5周年記念も兼ねた、伊藤若冲の展覧会のレポートです。

エントランスにて。この美術館の展覧会は
毎回タイトルが胡散臭・・・いえ個性的ですね

展示構成
第1章 若冲と影響を受けた画家たち
第2章 《果蔬図巻》初公開 大典と大坂で活躍した画家たち
第3章 若冲と同時代の画家 曽我蕭白と円山応挙


若冲作品は何度か見たことはあるのですが、今回は初見の作品があるのでそれを楽しみに観にいきました。

では、気になった作品を見ていきましょう!



《果蔬図巻》 激レアさん登場


長すぎるタイトルにある「激レアな巻物」とは。

美術館のコメントでは《果蔬図巻(かそずかん)》という、世界初公開の巻物のことだそうです。

伊藤若冲《果蔬図巻(かそずかん)》1790年以前 絹本着色 縦30.5cm×横277.5cm 福田美術館蔵

この作品は、若冲の知り合いの大阪の森玄郷という人から依頼され、若冲が76歳くらいの時に描かれ、なんやかんやでヨーロッパの個人蔵となっていたところ、同館に鑑定依頼され真筆(=本当にその人自身が書いた筆跡)である判定されたそうです。

若冲といえばいつも激混みのイメージがあるのですが、場所や美術館の規模の関係もあってか、それほどではありませんでした。ただ、この作品の前は人が絶え間なく横並びに見ていく状態でした。

印象としては《菜蟲譜(さいちゅうふ)》に似た感じです。

ここで気になった野菜たちをご紹介。

ピンク色が目をひくウド。
左から3つ目の緑色の丸いのはジャックフルーツ。・・・ジャックフルーツって???
ひとつだけ”不明”とされている栗の上の白いやつ。百合根っぽく見えなくもない。
左の苔の妖怪みたいなのはオニバスの花らしい。
この辺りは配色がキレイでリズミカルな雰囲気。

若冲は《動植綵絵(どうしょくさいえ)》のような緊張感のある作品もいいけれど、こういった作品はどこか愛らしさがあっていいですね。

巻物の最後には相国寺の僧・梅荘顕常(以下、大典)(1719-1801)の直筆による跋文(ばつぶん=あとがきみたいなもの)が書かれてました。

「筆でここまで表現するなんでなかなかできへんで。もう神やん。あー若冲もここまできたんやな!この絵、大坂の玄郷のために作ったんやけど、できたと思ったら玄郷があの世に逝ってもうて、その子どもが大事に持っててくれたんやって。それでその子が会いにきたんで、こうやって詳細を書いてんねん。玄郷とは30年くらい前に知り合ったんや。」

・・・みたいな事が書かれているようで、若冲の様子や交流がわかる貴重な資料でもあります。
※文体と要約は筆者個人の解釈

この感じも《菜蟲譜》みあります。
ふむふむ(読めません)



《蕪に双鶏図》  2019年発見!もあるよ


お次は、《蕪に双鶏図》(18世紀)。

こちらの作品は2019年に新たに発見され、同館にてお披露目を兼ね、2020年3月20日-6月21日の期間に「若冲誕生 葛藤の向こう側」が開催されていました。

伊藤若冲《蕪に双鶏図》18世紀 紙本着色 軸装 福田美術館蔵

2020年辺りは外出の判断に迷う時期で、結局見ることはできなかったので今回対面できて嬉しかったです。

2019年4月にこの作品の所蔵者から、若冲のものかの鑑定の依頼があり、細部の表現や捺印などから真筆と判定されました。

若冲が30代くらいで、最初期の作品《葡萄図》《雪中雄鶏図》よりも早い時期の制作ではないかと現状では考えられているそうです。

計算され尽くされたような弧状の鶏。
なぜかこの大根の葉にミュシャを感じる。
若冲といえば病葉というイメージ。これがたまらん(癖)。
当時、展覧会に行けなかったので図録だけ取り寄せた。



《乗興舟》 若冲、仲良しの大典さんと舟に乗る


さて今回の個人的な本命はこちら、《乗興舟 (じょうきょうしゅう )》です。

伊藤若冲《乗興舟 (じょうきょうしゅう )》1767年頃 紙本木版正面摺 巻子装 福田美術館蔵

《乗興舟》は若冲と仲の良かった相国寺の禅僧である大典さんと、京都は伏見から淀川下りをした時のスケッチの様子をまとめたものです。
若冲の絵の上に大典が漢詩を書いています。

船出の場面「舟程逢霽気 春日照清波」(船出は晴れて、春のやわらかな光が清らかな波を照らしている)


まだ若冲の色彩豊かな作品しか知らなかった頃、若冲関連の本の中に木版画が掲載されているのを見て、すごく衝撃でした。その後、タイミングよく和泉市久保惣記念美術館で公開されていたのですが見に行けないまま今日に至り、ようやくの対面となりました。

展示としては《果蔬図巻》と隣合わせでしたが、こちらは割とゆっくりと全体を見ることができました。

若冲の木版画が面白いのは、その手法による表現です。彫刻した板の上に濡らした紙を置いて、凹んだ部分に紙を押し込んでから凸面に墨を置いているため、白黒が反転したように見えます。

これがあの華やかな《動植綵絵》の後に描かれたというのもギャップ萌えです。

舟 興 乗
「行々何処客待逢売酒家」ポツンとお酒を売る人が描かれている。なにかかわいい。
荷物を背負った牛を引く人かな?
大典さんのあとがき。「若冲と大阪へ行ったよ。若冲がスケッチして、それに自分の短い言葉を書いたよ。」(意訳)


全体は和泉市久保惣記念美術館のデジタルミュージアムでも見ることができます。同館によると、《乗興舟》は国内外に13本確認されているそうです。


同じ展示室内には大坂で活躍した若冲と画風が似ている鶴亭や葛蛇玉、若冲最晩年の作品も展示されていました。

木村蒹葭堂《竹石図》18世紀 木村蒹葭堂は大坂の造り酒屋さん。若い頃から漢詩や書画を嗜む。狩野派に学び、鶴亭や池大雅にも師事した人。
鶴亭浄光《葡萄図》18世紀 長崎生まれの禅僧。輪郭線のない没骨法で葉や実を描き分けている。若冲たちに影響を与えた画家。
鶴亭浄光《蕃椒図》18世紀 蕃椒は唐辛子のこと。
ガラスに向かい側に反射して見にくいですが全体像。縦長の伸びる感じやモチーフの繰り返しなど若冲と似ています。

若冲晩年の作品

伊藤若冲《群鶏図》1792年 若冲77歳の作品。逆S字のような親子鶏と地面をシュッとした線だけで描いている。本当にこういった空間の描き方が秀逸。
《鶏図押絵貼屏風》1797年 若冲82歳の作品。この年齢でこのシャープさ。絵画のようで書画のようでもある。
点描っぽい灯籠。京都国立博物館の《石灯籠図屏風》を想起させる。《石灯籠図屏風》はいつか実物を見てみたい作品のひとつ。



若冲が影響を受けた画家ってダレ?


若冲に影響を与えた画家といえば、沈南蘋や熊斐や宋紫石があげられますが、字面だけ見ると毎回誰やねん、となる人たち。若冲関連の書籍を読むと割と登場します。
こちらも今回そのメンバーの作品の実物が見れたのは嬉しかったです。

・沈南蘋(しんなんぴん) 若冲や江戸時代の画家たちに影響を与えた人物
             ↓
・熊斐(ゆうひ) 長崎で活躍した画家 沈南蘋に絵の指導を受けた直弟子
             ↓
・宋紫石(そうしせき) 熊斐と、清人画家 宋紫岩に絵を学んだ人

辻惟雄著『若冲』*によると、若冲は沈南蘋に直接の影響ではなく、熊斐や宋紫石、鶴亭などの「南蘋派」といわれる人たちから影響を受けたのではということでした。


 沈南蘋

沈南蘋《花鳥図》1731年
こうやってみると確かに若冲のルーツを感じる


熊斐

熊斐《松竹梅鶴亀図》18世紀


宋紫石

宋紫石《蓮・牡丹・菊図》(部分) 菊の輪郭を墨線 その周囲に薄い青を刷く
宋紫石《蓮・牡丹・菊図》(部分)
宋紫石《蓮・牡丹・菊図》(部分) 牡丹の没骨法 




俺たち同期!の蕭白とか応挙とか


若冲の同期?ともいえる同時代の画家たちも紹介されていました。

今回登場の同期は曽我蕭白(1730-1781)・円山応挙(1733-1795)のおふたり。
若冲が某暴れん坊将軍こと徳川吉宗・享保の改革の1716年の年生まれ1800年没、なので同時代ですね(情報過多)。

狩野派の手法を学びながらも独自の表現を作り出した、にしてはクセつよ蕭白・端正系応挙といった感じで、方向性が違うようにみえる2人です。

曽我蕭白《雲龍図》18世紀 
円山応挙《虎図》1786年 この時代に日本に虎はいなかったので猫を参考にしたとか。
顔は割と迫力があるが・・・
手。かわいすぎる。
円山応挙《龍門鯉》1784年 円山派が得意とする画題。日本画の展示室にしては光量が多く、ガラスの反射の都合で全体図はなし。

余談ですが、応挙門下の長沢芦雪の虎。このかわいさ、さすが師弟って感じですね。



個人的推し⭐︎な若冲水墨画コレクション


最後は水墨画です。
若冲は動植綵絵のような色鮮やかで美しい作品もとても好きなのですが、水墨画もユニークなものが多くそれも好きです。

伊藤若冲《菊図》18世紀 
画像ではわかりにくいですが「筋目描き」(紙の性質と墨の滲みをコントロールして描く)という技法で書かれています。遠目に見ると完全に抽象画。



伊藤若冲《霊亀図(れいきず)》18世紀 ハイ出た。絵師がちょいちょいやるかわいいやつ。
つぶらすぎる瞳。
と思って、油断すると急にすごいことになるのもお約束。



伊藤若冲《鯉魚図》18世紀 
左側の鯉は飛びあがろうとしている。
鱗にこだわる若冲氏
ヒゲがいい感じ
鱗へのこだわりがすごい。



伊藤若冲《大角豆図》18世紀
大角豆=ささげ。今回の水墨画で1番いいなと思った作品。
大角豆が右から流れているので、この左のシャシャっとしたのは地面かな?


まとめ

福田美術館の企画展は毎回タイトルがおもしろいと思うものが多かったのですが、今回はその上に長いという展覧会でした。

企画のメインは初公開の《果蔬図巻》でしたが、ずっと見たかった《蕪に双鶏図》や《乗興舟》、初期の水墨画なども見ることができて良かったです。

福田美術館は江戸から近代の京都を中心とした「たとえ美術に詳しくない方が見ても、感動を覚えるような」作品収集をコンセプトとし、そのコレクションは2000点ほど。地元にあったらランチしがてら行こうかな、と思えるような美術館だと思いました。若冲もたくさん所蔵しているし(いいなー)。

とはいえ嵯峨嵐山。めちゃくちゃ観光地のど真ん中であります。

ですが、美術館を目的として訪れる人ばかりではないので、美術館自体は混雑などもなく快適でした。場所柄、少し狭いのかな?とは思いましたが、カフェも併設されているので、もし外で休む場所がなかったらちょっと見がてら入ってみてもいいかもしれないと思うようなところでした。
※カフェは入館しないと入れません

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

外の喧騒からは無縁
カフェから見るお庭
ランチ時だったので少し並ぶ。食事メニューもほぼ売り切れで最後のパニーニをいただく。カフェはフランチャイズのお店らしいので特筆するところは特に・・・まぁフツーというか。雰囲気は良い。




【参考文献】
辻 惟雄『若冲』,講談社学術文庫,2016年4月28日,第5版




☆The topics of this English translation☆


さて今回の気になった英訳コーーーーーーナーーーーーでございます。

《果蔬図巻》Fruits and Vegetables
フルーツ アンド ベジタブル・・・まんまというか。
「蔬」という字があまり馴染みがありませんが新明解国語辞典 第7版によると「蔬菜」の「蔬は野菜の意」とありました。逆に日本人でも「蔬」の方がわからないのでは。

《乗興舟 》Happy Improvisations on a Riverboat Journey
なんだか楽しそうな雰囲気が伝わる英題。
Happy Improvisations 楽しい即興演奏(Google)/   幸せな即興(DeepL)
Riverboat Journey 川船の旅(Google)/   川船の旅(DeepL)
「乗興舟」をそのまま翻訳させるとRiding boat(Google)/   pleasure boat・fun boat(DeepL)となりました。後者の方が雰囲気あるかな?
やっぱりこういう時、漢字は一文字で意味が分かりますね。
 〈解説文内より〉
Chinese-style verses 中国風の詩(Google)/   漢詩(DeepL)
verses=詩なのでpeoemじゃダメなのかと思いましたが、Chinese poetryだと「中国の詩」になるので、ってことなんでしょうか(でもChinese poetryで両訳とも漢詩とも変換される)。

《霊亀図》Linggui(Spirit Turtle)

Lingguiは読み方でしょうか。入力するとスペルミスの指摘が出ます。
Spirit Turtle スピリット タートル・・・笑
「霊」というところの訳し方が難しそうです。
Spirit が精神とか魂などとも解釈されたり。

亀だけど耳ついちゃった。









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