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kuma_ossan
【ショートショート】人生2周目の子役
私は今、子役をしている。
だが、実はただの子役ではない。
人生2周目の子役である。
私は前世でも俳優をしていた。
子役から活躍し、成長した後も俳優として活躍し続けた。
俳優とともに人生を全うし、そして気づくと赤ん坊になっていた。
2回目の赤ん坊の私は、すでに大人の感覚を持っていた。
ベビーベッドで寝かされている間はかなり暇。
だが、赤ん坊の感覚もあるらしく、いないいないばあは普通に面白かった。
なんの因果か、私の両親は私を子役オーディションに連れて行った。
もちろん、持ち前の演技力で合格。
ヒット作にも恵まれ、あれよあれよと売れっこ子役のポジションにまた就くこととなった。
子役は2回目だ。
大人が喜ぶ発言や行動は分かってる。
おすすめなのが、現場で宿題をすること。
「宿題してるの?えらいね〜」
と周りの大人たちからの評価も上がり、コミュニケーションも取れる。
まあ、おすすめしたところで活かせる人間は限られるだろうが…。
ただ、前世の記憶を持っている事にはデメリットもある。
それは、知り過ぎているという事だ。
端的に言えば……煙草が吸いたい。
前世の私は、有名なヘビースモーカーだった。
だが今は子ども。
もちろん煙草は吸えない。
そして、酒も飲めない。
子どもだって、飲んで忘れたい日もあるってのに。
晩酌している親の隣に座り、ツマミを貰うことしかできない。
個人的には、好きな食べ物を聞かれて「たこわさ」などと酒のツマミを答える子役はみんな人生2周目だと思っている。
前世では、成人式で泣く人間の気持ちが分からなかった。
大人になる事のどこに感動するのかと。
しかし、この人生での私は間違いなく成人式で泣くだろう。
「やっと煙草が吸える…!やっと酒が飲める…!」と。
