イギリスの食事は不味い
世界中で語られるこの定説に、スコットランド留学を経験した私は静かに首を振ります。実は、イギリスの朝食「フル・イングリッシュ・ブレックファースト」こそ、世界で最も贅沢で、トキメキに満ちた一皿なのです。
その理由は、手間を惜しまない調理と、大英帝国の歴史が育んだ「飲み物」の質の高さにあります。日本の旅館の朝食がそうであるように、イギリスの朝食もまた、一日の活力を生み出す文化的な象徴なのです。
皿の上には、カリカリのベーコン、ふっくらした目玉焼き、旨みが凝縮された焼きトマトにビーンズ、香ばしいマッシュルーム、そして肉厚なソーセージ。これらを、外はカリカリ、中はしっとりと焼かれた厚切りトーストに乗せ、たっぷりのバターと共に頬張る瞬間は至福の一言に尽きます。
さらに特筆すべきは、飲み物のクオリティです。東インド会社の歴史を背負う紅茶が深いのは言わずもがなですが、アフリカに多くの拠点を持っていた背景から、実はコーヒーの香りも格別。フランスのクロワッサン、イタリアのエスプレッソといった「軽食」に近い近隣諸国の朝食とは一線を画す、圧倒的なボリュームと満足感がそこにはあります。
もしあなたが「イギリスは食事が不味い」と敬遠しているなら、ぜひ一度、本場の朝食を味わってみてください。私がお勧めするのはB&Bやホテルのレストランです。紅茶だけでなく、香り高いコーヒーを添えて。その一口が、あなたのイギリス観を鮮やかに塗り替えてくれるはずです。
冒頭の写真はコロナ前2019年2月にフランスに行ったついでにスコットランド、エジンバラの友人に会いに行った際にシェラトンホテルで頂いた朝食を撮影した物です。
やっぱり、コーヒーが美味しかった。
