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世界でいちばん貧しい大統領からきみへ

世界でいちばんお金持ちの大統領が某国で就任して以来、話題が絶えません。その一方で、かつて世界で一番貧しい大統領と呼ばれた南米ウルグアイのホセ・ムヒカさんが2日前(2025/5/14)にお亡くなりになったとことをニュースで知りました。

数年前にあるミニマリストの方の紹介で、ムヒカ前大統領を知って、その生き方にとても興味を持ったことがきっかけでした。第一印象は「とても優しそうなおじいちゃん」という感じ。そこから映画や書籍をいくつか読ませていただいたのですが、「世界でいちばん貧しい大統領からきみへ」という一冊がとても読みやすかったです。

この本には、ムヒカさんが大切にしている言葉が、温かいイラストとともに綴られています。特に私の心に刺さったのは、「きみが何かを買うとき、お金で買っているんじゃない」「そのお金を得るために費やした時間で、買っているんだよ」という言葉です。
そして、「過ぎた時間とは、きみの人生だ」「過ぎ去ったら取り返しができない」「だから、大切にしないといけないんだよ、人生という時間を」とも書かれています。

この言葉を読んだとき、私はハッとしました。私たちは普段、物を買うときに値段ばかり見て、それが自分の人生の「時間」で買っているのだということを意識できていなかったように思うのです。お金のために一生懸命働く時間は、まさしく自分の人生そのものなのに、その大切な時間を使って手に入れた物や経験を、本当に大切にできているだろうか?と考えてしまいました。

現代を生きる私たちは、お金や時間にいつも追われているように感じることがあります。もっとたくさん稼がなければ、もっとたくさんの物を買わなければ、もっと色々なことを経験しなければ、と焦ってしまうこともあります。でも、それは本当に自分が望む幸せなのだろうか?と立ち止まって考えている自分もいました。この本は、そんな「お金のために働きすぎている」「自分の人生このままで良いのかな」「幸せって何だろう?」といった悩みを持っている人に、ぜひ読んでみてほしいと感じました。

ムヒカさんは、「発展は幸せの邪魔をしてはならない」と言います。そして、「人類は発展するために地球に来たのではない。幸せになるためにやってきたのだ」とも語っているのです。この言葉は、私の中にある「頑張って働いて、たくさんお金を稼いで、良い生活をすることが幸せなんだ」という固定観念をガラガラと崩してくれました

この本を読んでから、私は「本当にそれは、自分の人生という時間を使うほど欲しいものかな?」とよく考えるようになりました。以前ならすぐに買っていた物を、一度立ち止まって考えてみるようになったのです。それは、ムヒカさんの言う「お金ではなく時間で物を買っている」という言葉が、深く自分の中に根付いたからだと思います。

この小さな変化が、私の生活に思わぬ良い結果をもたらしてくれました。衝動買いや、流行りだからといった理由で物を買うことが減り、部屋がスッキリしただけではありません。無駄な買い物が減ったことで、お金を使うスピードが遅くなり、結果としてお金のために働く時間を少し減らすことができるかもしれない、という希望が見えてきました。そして、浮いた時間で、自分が本当にやりたいと思っていたことや、大切な人との時間を過ごすことができるようになりました。これこそが、ムヒカさんが説く「人生のための自由な時間」であり、「個人の自由」なのだと感じています。自分の人生の時間を「何のために使うのか」を自分で選べるようになったとき、心がとても軽くなったのです。

ムヒカさんは、「貧しい人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、もっともっと、いくらあっても満足しない人である」という賢人の言葉を紹介しています。私は、お金や物はたくさんなくても、自分の人生の時間を自分で選び、大切な人との時間を過ごせる今、以前よりもずっと心が満たされていると感じています。

この本は、分厚い専門書ではなく、72ページの絵本のような体裁です。難しい言葉はほとんど使われておらず、ムヒカ前大統領の深いメッセージが、温かい絵と優しい言葉で語りかけられるように心に染み込んできます。まるで、ウルグアイから自分だけに向けられた手紙のような、そんな感覚を覚える本でした。

人生で本当に大切なことは何か。お金や物よりも、もっともっと価値のあるものがあるのではないか。そんな問いを自分自身に投げかけるきっかけをくれたのが、この本です。

もし、日々の忙しさの中で、自分が本当に大切にしたいことを見失いそうになっているなら。もし、もっと自由に、もっと自分らしく生きたいと願っているなら。「世界でいちばん貧しい大統領からきみへ」を、ぜひ手に取ってみてほしいな、と私は思います。
ムヒカさん、ありがとうございました。

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