バンブーフラワー 第3話
「あら良いかごね。使わせてもらうわね」
ぱっと見ならそこまで粗は気にならない。おしゃれなかごに見える。初めて作ったわりにはうまくいったのではと自分でも思う。こうなると、実際プロの技が気になる。ネットで見てもわからない。実際に手にとって見てみたいな。竹細工の製品を売ってる店は案外近くにあった。昔からあるお店のようだ。翌週、そのお店に向かうことにした。
1週間たち休日、自転車を走らせ店に。大きな看板、古びた家屋が歴史を物語っている。店の中へ。中には多数の竹の製品が置かれていた。
「いらっしゃい」
店の奥で竹細工をしているおじいさんがこちらに声をかける。かなりの速度で竹を編み込んでいく、手練れの人だな。終わったと思ったら今度は長い竹を取り出し均等に割っていく。とにかく早くて正確。竹細工で食べていこうとするならこのぐらいの技量は必要ってことかな。おっと、あまりジロジロ見るのはよくない、商品の方を見るとしよう。ネットでも見たけど実際に手に触れて眺めるのは別格の楽しさがある。お、これは火吹き棒。そうか、これも竹製品だっけ。バーベキューするときあると便利そうだ。今度作ってみようかな。火吹き棒を置き、移動。ここ一帯はかごか。うーんすごい、1本1本が同じ幅。やっぱりそうだよね、編み込むとき幅が違うとずれちゃうからね。隙間なく編み込んだかごを作るならひごの幅を合わせないと。特にこの米とぎざるは隙間なくびっしりと編まれている。見た目も手触りも良い。4000円とお高めではあるな。
「嬢ちゃん、同業者かい?」
「いえ、最近竹が手に入るようになって趣味でやってるだけです」
「はは、そうか。鋭い目つきで品物を見てたからてっきり」
確かに真剣に見てたな。竹ひごの幅まで気にする客はなかなかいないかも。
「こんにちは~、入ります。あ、お客さん、ゆっくりしていってください」
「おう、こいつを頼んまあ、ナコ」
入り口から女の子が店に入ってきた。私と同い年くらいかな。作業場に入り竹を組み始める。すごい速さで編み込んでいく。
「この子は2年前にバイトで雇ってね。いやぁ良い腕だよ。将来的には竹細工職人として頑張ってもらいたいね」
「まだまだですよ」
「実際は儲からねえ商売だから普通の仕事をしたほうが良いんだけどな。まあまだ人生長えんだ。じっくり考えるといい」
お米の研ぎザルは高いが手間を考えるとそれでもそんなに儲かってはなさそうだ。しかもプラスチック等で安いものが大量に出回っている。雑に使っても強いしかびたりしないしね。なかなか竹という選択肢は今の時代少ないかも。今使っている竹製品は思いつくところで、せいろそばのすだれ、巻す、うちわ、みみかきくらいか。昔よりは竹製品を手に触る機会は減ったろうな。バイトして竹以外の製品を買うというのが現実的か。
「私は職人目指しているんで!」
「おう、頑張れ!」
それでも竹細工職人を目指すと豪語する女の子。でもいいもなー、楽しそうに情熱を持って仕事ができるって。数年前の父さんなんて死んだ魚のような目をしていた。私は将来どんな仕事につくのかな。
