Episode 004|触れて、滲む静寂—深くなる想像
触れ合うたびに、
自分でも知らなかった欲望が、
ゆっくり輪郭を持ちはじめる。
少し明るすぎる照明の下、
あなたの前に座りながら、
言葉の端に揺れる微かな表情を追ってしまう。
その眼差しが、
これまで誰の肌をなぞってきたのか。
その唇が、
どんな温度で「好き」を伝えてきたのか。
あなたの声を聞きながら、
深いワインのように、想像が身体の奥へ
沈んでいく。
月灯りの差し込むベッドの上で、
さっき沈んだものが、
触れられるたびに熱を帯びて浮かび上がる。
私を撫でる指先も、
私を包む唇も、
重なる体温も、
全部、どこかで誰かを覚えてきたものだと、
思ってしまう。
あなたの肩越しに見える月灯りが、
少しだけ遠い。
ほどけないように、
あなたを抱きしめる腕に、
わずかに力を込める。
——離れないようにじゃなくて。
逃がさないように。

