「雨ガエル」―風まかせ文芸部 雨 参加作品
カレンダーが 6月に変わっても
空は 眩しい牙をむいたまま
恵みの雨は 遠い南の街で
帰る場所を 忘れている
乾いてゆく体
失われていく力
子ガエルは 母のお腹の下で
小さな命の ため息をもらす
「かあさん、雨の国はどこにあるの?」
答える代わりに 母さんカエルの
まあるい目から 涙がポツリと落ちる
「お月様に 頼んでみましょう
私たちの 最後の歌を」
母さんが吹く 銀色の音(ね)は
黄金(こがね)の稲穂の 波を泳ぎ
まだ見ぬ雨雲の 耳へと届く
雲の隙間から覗く カステラ色の月
青い笑顔が 灰色雲を呼び寄せる
宙(そら)にひろがる 大きなあめ袋
ポツリ、ポツリ。
それは街を、カエルたちを、
すべてを赦(ゆる)すように降り注ぐ
母さんの涙を 恵みのしずくが洗い流し
蘇った田んぼの底から
鳴りやまぬ 合唱が
空へと 突き抜けていった
iさんの企画「風任せ文芸部 雨」に参加させていただきました。
企画の詳細は 以下の通りです。iさん どうぞよろしくお願いいたします。
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