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第1話:いつかつくりたい、編み人が心休まる場所のこと。

──なぜ私は「場所」をつくりたいと思ったのか。

編み物を続けてきたこの数十年、私は自分でも気づかないうちに、ずっと “居場所” を探していたのだと思います。

誰かがふっと肩の力を抜ける場所。
ひとりで編む時間も、誰かと笑いながら針を動かす時間も、心地よく過ごせる場所。

言葉を無理に交わさなくても、気が向けば自然と誰かとつながれる、
そんな空気のある場所。

「いつかそんな空間がつくれたら」。


実は、昔、ほんの小さな「場」をつくったことがあります。
手しごと好きな人が集まり、笑い合い、あたたかい時間が流れる空間でした。
けれど、その場所は数年で、自分の手で幕をおろすことになりました。

あのときの決断と向き合った経験は、思っていた以上に、今も私の中に残っているようです。


時代は大きく変わり、オンラインで何でもできるようになりました。
そのなかで私は、むしろ “直接会うからこそ生まれるもの” の大切さを強く感じるようになりました。

オランと旅をしながら編むことを届けるたびに思うのです。
人は、言葉よりも “気持ち” を受け取っている。
説明よりも、その人の “思い” を感じ取っている。
そして、画面越しだけでは届かないものが、やはりあるのだと。


私は、生まれ育った岡山の地で、この場所をつくれたらと願っています。
(本音を言えば、都道府県に一つはつくりたい)

地域の人と人がゆるやかにつながり、編み人も、旅人も、誰もが立ち寄れる場所。

空き家になった家屋や、役目を終えた建物に、もう一度灯りを灯す。
そう願うのは、築130年を超える実家を、いまも愛おしく思っているからかもしれません。

編み物を通して、人が集い、語らい、心を休め、またそれぞれの場所へ帰っていく。


昨年の夏、何気なくXに投稿した
「編み物が心おきなくできるカフェがつくりたい!」
という呟きに、思いがけないほど多くの反応がありました。

「うちの県にもつくってほしい」
「そんな場所を探していました」
「近くにあったら通います」
「スタッフとして働きたい」

そんな声をいただき、
「場所を求めている人は、こんなにもいるのだ」と知りました。


──いつか、編み人が心地よく過ごせる空間をつくれたら。

まだ夢の途中で、いつ実現できるかも分かりません。
けれど、この気持ちは、もう「憧れ」だけではなく、現実へ向かって歩きはじめている夢なのだと思っています。

この連載では、その想いがどのように育っていくのか、迷いや悩みも含めて書いていこうと思います。
次回は、その想いが動き出す“前夜”のお話です。

読んでくださり、ありがとうございました。

光恵


Ito to Oto to is a place I have long envisioned as a home for people who work with yarn.
A space where you can feel at ease—whether you’re quietly making stitches on your own, or sharing the joy of handwork with others.

In a time when so much happens online, I want to cherish the warmth that comes from meeting in person, and the feelings that don’t need to be explained in words. For me, a small hook and yarn—one stitch at a time—have always been a way to return to myself.

Here in Okayama, where I was born and raised, I’m taking small steps now—so that one day this place can truly take shape.

Mitsue





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