ChatGPTと作る物語ワークフロー
おはなし作りの新しい試み

超長編「Children's rhapsody - 大神天道絵巻」を完結させてからおよそ10ヶ月。話を要約すると、おおよそこんなカンジである。
宇宙は幾度となく創造と破滅を繰り返している。そこに生きる生命体もまた同じだ。 だが、その破滅においては特定の何かの意図によって起こされている。それは正しい事象ではなかったのだ。
それに気づくことができた者は、『あってはならない破滅』を阻止するために戦いを始めることになる。
ドーモ、ルミナスタジオのバーチャルビデオ屋、シャボン玉の輝鳴紅葉です。実は映像以外にもこんな感じで、おはなしを書いていたりします。
この前作を始めたのが2019年、完全に終わらせたのが2025年と、6年かけたおはなしのように見えますが……実際にこれが明確に形になるまでには恐らく25年ぐらいは掛かっていることでしょう。よくある『あまりにもスケールがデカすぎて話の収まりどころが分からなくなる』系の迷走です。
で、このChildren's rhapsodyシリーズはこれからも続く……というよりはライフワークとして映像制作とは違う範疇で書き続けることでしょう。この話で要した文字数は686,840文字。多すぎる、あまりにも多すぎる。
地の文を主人公の主観で制作したものなのと、あまりにも自分が話の内容を把握しきれない部分があったため、次の話は以下の制約をかけることにしたのです。
『大神天道絵巻』から時系列を離す
主人公は輝鳴紅葉ではない
4章構成
章は序破急の三節とエピローグで終わらせる
一節の文字数は10,000〜15,000字以内で収める
この五点を意識して文字を書き始めるものの、頭の中でプロットを考えるものの始点と終点が常にブレまくる。文字書きの人であれば何度も経験しているはずです。
そこで、今流行りのコレを利用することにしたわけです。今回はそのワークフローをご紹介しましょう。

どのようにChatGPTを使うのか
昨今のAIサービスというものは多くのスキルやスタイル、ローカルからクラウドまで多種多様に存在する。その中でもChatGPTは直近で誕生した『GPT Image 2』の品質が個人的主観で非常に高く、新しいストーリーを描く前に挿絵を作るに十分な能力を持っているのかを検証していた。
(事前準備)挿絵の画風の調教

まず初めに、画像生成を通して「Children's rhapsody」の世界を作り出せるかが重要である。そのため重要なテーマとして、リクエストした画像を作成してレビュー・解説を行うワークフローを続けていた。背景はリアルとアニメの中間、キャラクターはイラスト調の出力をいきなり出してきたChatGPTにはとても驚いた。この調子で物語世界の特異な種族「シャボン玉の夢の種族」の私生活の様子を次々リクエストしていった。

人間だろうとAIだろうと、最初は覚えている指示の前例の量が少ないせいか自身のスキルの最大限を発揮しようとする。その結果、どうしても無駄なところで精密に描きすぎてしまったり、逆に必要な部分を疎かにしてしまうことが往往にしてよくある。
そこで自身の手でレビューを行い、上手である部分と改善が必要である部分をしっかりとチャットで応答することをユーザー側である自分が強く意識して執り行った。

こういった対人でのやりとりと同じように『褒める』『改善点を示す』を繰り返すことで安定した絵柄を作成していく方式である。
都合のいいことに、ChatGPTのメモリ能力はかなり強く、高評価をマークした上で理想通りのポイントを細かく伝えることで、それを可能な限り維持しつつ次の画像を生成してくれる。これはおはなしを作成する上でとても有用だ。

絵柄を調整していく作業の意義はこれだけではない。この作業を通じて『作品世界を理解してもらう』工程にもつながった。メモリ能力が強いおかげで、何度も作成してもらっていった「シャボン玉の夢の種族」と呼ばれる少女たちの生活観をよく理解してもらった。そしてそこから大きく発展していくのが、登場人物の作成だ。
主要登場人物の生成専用資料の作成
ここでいよいよ主人公や主要登場人物が実際に描けるかを試験するわけだが、そのためにはキャラクターの特徴を明確に理解してもらう必要がある。例えば俺こと輝鳴紅葉は"体の殆どをシャボン玉のまま過ごしている"という特徴をどう上手く表現してくれるか、何も資料が無いとそれを描くのはとても難しい。Children's rhapsodyシリーズの奇抜なキャラデザインは、イラストレーターの原画なくして挿絵出力用三面図は作れないともいえる。


これまで制作を手伝ってきて頂けたイラストレーターの皆様のおかげだろう。
要するに、作中の挿絵を描くための第二プロセスとして、AIに『キャラクターを画像で覚えてもらう』工程を用いることにした。

……で、俺を覚えさせるのは確かに必要だけど、今作は輝鳴紅葉を主人公としないことを企画段階で決定している。つまり、別のキャラクターを主人公としてデザインしていくこととする。確かに俺を覚えてもらったほうが色々と便利ではあるのだがそこで主人公はどのようなデザインにするのか、どのような出自にするのか。それはこのChatCPTとの協働を始める前から決めていた。
主人公は日本人ではないことを決めていた
Children's rhapsodyはスピリチュアルやSci-Fi・コズミックを大きく絡めた話ではあるが、現実的な要素も欠かしてはならない。時代は2036年以降という設定ではあるものの、恐らくアジアでは高齢化社会問題・移民問題・産業縮退問題の三つはとんでもなく大きな問題を抱えたままなことだろう。
これまでは主力となる目標が社会問題に絡むことがないように書いてきたが、今回は経験のために可能な限りそれに触れることになるストーリーテリングを取りたかった。
で、上記の問題は日本だけではなく中国も韓国も既に起きている問題だ。政治的には対立していても、このまま進めば共倒れは避けられないのは事実である。そういったアジアの裏での結束をテーマに、主人公は中国出身とすることに決めたのだ。

陳煌亮(本当なら亮煌が正しい順になるけど音韻を重視した結果逆読みにした)。本編の合間に書いたNSFWな話で出てきた人物の再利用として、正式にキャラクターデザインし、かつ名前までつけた。この三面図は途中でChatGPTに作成をリクエストしたが、結果的に一貫性のある挿絵を作るための最大の資料となってくれた。
ストーリーテリングに関しても三人称の地の文へ挑み、できるだけ説明パートを減らす方針を固めていざ執筆……する際にも工夫を凝らしてみた。
小出しにしてレビューしてもらう
挿絵のレビューをしていた自分が、今度はレビューをしてもらう番が始まる。
まず、本作「ゾルタクスゼイアンの子供たち」を始めるにあたって、プロジェクトを作成した上で最初のチャットにこう記したのだ。

これまでは長い文章をモニターと睨み合い、場合には資料探しとして齟齬のない出来事であるかを調べながらテキストを組み上げていた。そのため作業としても、チェックとしてもかなりの時間を要するだけでなく「自身の頭で話が整理できているか」の確認も取る必要があった。
それらの殆どをChatGPTに任せることとした。つまり書いたストーリーの断片を通してGPTに国語の先生になってもらい、誤字脱字や時系列・表現のゆれのチェックだけでなく時系列や時間軸の齟齬がないか、あるいは確認のために質問をしてもらうのだ。
そうすることで、こういった確認を行なってくれるようになる。

特に固有名詞に関しては初出のときに質問をしてくる(当たり前)。こういった質問に対してどういう設定で進めるのかを回答していくと、後ほどの展開で「前こう言ったのに今言ったのズレあるけど、どっちが正しいんや」とGPTが追って質問してくる。そのため世界や物語の設定に一貫性を保ち続ける監督をしてくれるわけだ。
特に今回の主人公は中国出身であり、もちろん中国内を舞台とした章も存在する。その際にできるだけ中国語的表現を持つ固有名詞や単語をGPTで補正してもらうことも想定していた。結果的に実在する街は深圳しか出さなかったわけだが
挿絵のときはこちらがレビューし、文章の場合は逆にレビューしてもらう。AIにテキストすらも任せることも不可能ではないのだろうが、これに限っては『ここはこのように展開するのだ』という確固たるプロットが存在しているため譲ることはできない。それでも作業工程の大幅な短縮に成功しているのが実感できた。
一つの章が完成したらそのサマリーを.mdファイルで作成してもらい、次の章に繋げるための情報源としてGPT側で利用してもらう。こうして続きの章へ移行しても前章がどうだったのかを覚えていてくれる。メモリ量の圧縮と、覚えておくべき出来事を忘れないように念押ししておくのだ。

結果的に製作期間と文字数が劇的に短縮
AIに挿絵を作らせレビューし、自身の書いた文章をレビューしてもらい、互いに良いポイントを取り上げながら不明瞭になりやすい部分を整理していき完成へ持っていく。これにより構想していた通りの4章3節+1構成の物語が完成し、総テキスト数は約185,000字に収まった。他のゲームで例えるとアークナイツの重要な章1つぶんで収まった。
前作の『未来の話』でもストーリー内で1年間を描いていたが、今作で描いた1年間は製作期間もなんと3ヶ月で収まった。脳内のプロットが迷走せずに、どういう展開にするかを考えたらすぐに文字に起こしてレビューしてもらう頻度と速度が上がったために得られた成果ともいえる。
……なのだが。
公開している媒体がpixivな関係もあり、こういった真面目かつ難解な長編はあまり読まれる傾向にないのが現実だ。
それに題名も良くはない。昨今では題名だけでどんな話なのかを分からせる必要がある上に、そもそもSci-Fiにコズミック要素を盛った現代舞台という難しいジャンルなのも注目性を下げる要因になる。リアルと地続きの世界よりもファンタジー世界、つまり異世界を好む傾向にある業界のためこの物語は読まれることはかなり少ないことだろう。
それでも書く必要がある。
作中に『クリエイター』という存在が語られるのだが、これの元ネタはPC-98版『46億年物語 THE 進化論』だ。つまり創造主のことを指すのだが、ゲーム中では神のことをクリエイターと横文字にして表現した。つまりゲームのメタ的表現として『株式会社エニックス』を指している。俺はこういうところでメタ表現を使うのがめっちゃ好きだ。
そのため、『クリエイター』とは俺のことであり、作中の上位者たちは俺の書く物語がどうなるのかを観測しようと期待している。そのため、俺はこれを書くことでその宇宙の登場人物の、人生から末路まで掌握している。つまりこれは何を指すかというと、生かすも殺すも自分次第であり、物語に復讐されることだってあり得るということだ。
一度その宇宙を創ったのならば、その宇宙が陽子崩壊し無に帰すまで責任持って描いていこうという決心だ。

次の挑戦はもう決まっている
次のおはなしは、これまで人間から逸脱したもの達が主人公だったため、ついに人間を主人公にした話を作り上げていく。

「ゾルタクスゼイアンの子供たち」完結から3年後の2040年、結局EUに加盟することなく大陸の混迷を静観しつづけたノルウェーを始点とし、前作で加速し続けるEUの文明逆行、主人公の特殊部隊が自分だけを残して失踪した事件、更にEU内で起きた大量の核爆発によっておはなしが始まります。
実際の北欧の知識もEUの詳細だってミリしらな俺に次回作を描くことができるのか。頼むぞチャッピー!次回もよろしくおねがいします!!!!!!
アピールタイム
それではアピールタイム。
現在ルミナスタジオは療養を事由として活動規模を縮小し、主にTwitchでのゲーム配信ないし諸作業による配信活動を中心しております。

ナチュラルスタイルでゲームの配信をし、現状ではEscape from TarkovとForza Horizon6メインでプレイ中です。興味がありましたら是非ともこちらへお越しいただき、フォローないしサブスクなどいただけると幸いです。
