外は雨、プロット逃亡中
平成の曲を流しながら、
私はサスペンス小説を書こうとしていた。
書こうとしていた、はずだった。
パソコンの前に座り、
「よし、今日は事件を起こそう」と思った瞬間、
頭の中で犯人が勝手に動き出す。
「いや、私じゃない」と言い張る。
まだ誰も疑っていないのに。
被害者も勝手に生き返る。
「ちょっと待って、まだ死んでない」と抗議してくる。
プロットは裏切り、
伏線は私を置いてどこかへ走り去り、
物語は私の知らない方向へ暴走する。
殺人事件なのか、失踪なのか、
それとも全部、主人公の心の中の出来事なのか。
書いている本人が一番わからない。
私は深いため息をつき、
「むずっ」とつぶやいて、
いったん休憩に入った。
窓の外では雨が降っている。
犯人より先に、雨のほうが落ち着いている。
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございます。とても励みになります。