蓮のほとりで
不忍池のほとりに立つと、
蓮の葉が一面に広がっていた。
夕暮れの光が静かに薄まり、緑の輪郭がすこし深くなる。
泥の底から伸びた茎が、
水面の上でまっすぐ葉を支えている。
仏様の蓮を思わせるその姿を眺めていると、
今日の疲れがすこしだけ整う。
池の向こうで風鈴がひとつ揺れた。
屋台から漂う香ばしい匂いが、
夜風にまぎれて通り過ぎていく。
冷えたビールの気配もあったけれど、
財布の中身を思い出して、そのまま歩いた。
蓮の緑と、街のざわめき。
どちらも夕暮れの中で淡く混ざり合う。
晩ごはんのことをぼんやり考えながら、
池の端をゆっくり抜けた。
帰り道で、
風鈴の音色が涼やかだった。
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