花火大会でウハウハしようとしたら、経済の仕組みを叩き込まれた話
最近出費が激しい。
上がり続ける物価
楽しみを考える間もなく消え去ったボーナス
痒いお尻
世はまさに三重苦時代である。
所謂、頭痛の痛みで頭が痛いというやつだ。
お金が無いものは、どうしようもない。
痒み止めを買う資金を調達すべく、この夏、私は立ち上がった。
財布をひっくり返しても、そこから出てくるのは虚無だけ。口座残高は、まるでダイビングの減圧症のように急降下している。
だが、背に腹は代えられない。そして何より、今は背ではなく尻に深刻な緊急事態が発生しているのだ。このままでは、夜も眠れず、椅子に座ることも許されず、人類の尊厳が音を立てて崩れ去っていく。
タイミーで募集などあろうはずもないド田舎。
さて、どうしたものか。
クラウドワークス?
アフィリエイト?
そんな悠長な言ってられん。
オシリアが売り切れてしまうではないか。
夏と言えば……リゾートバイトである。
嗚呼、なんて甘美な、嬉し恥ずかし夏の思い出つくっちゃう?
と、いうわけで実家の近所で開催される花火大会。
その通り道の絶妙な位置に配置されし実家で一儲けしてやろうと思い立ったのだ。
商売の基本のキ【販売】だ。
めんどくさいのは嫌なので、商品は飲み物のみとした。
200本ほど仕入れ、キンキンに冷やすための大量の氷も準備OK。
万全の体制で迎え撃つ
さすが夏、16時を過ぎようというのに、一向に温度を下げる気配を見せない。まばらに、イベントへ向かう人々が、準備を進める私の前を通り過ぎていく
まばらだった人々が、徐々に集団を形成しはじめる。
そろそろ売りはじめようかな〜、
刹那、私は重大な判断ミスをしていたことに気がついてしまう。
( ゚д゚)ハッ!
すぐ近くに自動販売機があるのだ
呼び込みもせず、完全ステルスを貫いてきた意外な伏兵に人々は吸い込まれていく。
ピッ!ガシャーン!
ピッ!ガシャーン!
虚しい音が私の鼓膜を刺激し続けた。
自販機150円に対して、私200円
……勝てるわけがない。
経済の仕組み、マーケティングの基本、自分の愚かさが、じわじわと汗ばむ尻の感覚とともに全身を駆け巡る。
過ぎ去って行く人々が全員、私に薄ら笑いを向けているようだ。
温度を下げ続けるドリンク、取られないドリンク
空が暗くなりはじめ、人の流れが途切れなくなった頃、
私に勝機が舞い降りた。
大佐、敵兵の弾切れを確認いたしました!
補充の見込みもありません!
(*`・ω・)ゞ
戦況は一変した。
先ほどまで私を嘲笑っていた人々が、今度はこちらへと群がり始めた。
チャリン、チャリン、チャリン
缶に溜まっていく小銭
ヒュ〜〜〜…………………………
ど〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん
花火がはじまると人通りは再び、まばらになった。
遠くで上がる花火を目掛け皆、足早に駆けていく。
ポツポツと売れはするものの、依然として大量の在庫を抱えている。
上がり続けていた花火がピタリと止む。
終了したのだ。
しばらくの静寂の後、
耳をつんざくような喧騒とともに、帰り道を急ぐ数え切れないほどの人間が、一斉に目の前を通り過ぎていく。
私の心臓は、この夏一番の激しいビートを刻んでいた。
(Beat Drop:重低音の効いたストリート・ビートが鳴り響く)
(Yo... Listen)
アスファルト照らす 終わりの気配
冷えた缶ジュース 握る手の汗
ペラペラの財布じゃ 買えねぇぜオシリア
だが退路はねぇ ここが俺の戦場 (Battlefield)
(Check it!)
上がった物価に 削られたボーナス
寝ても覚めても 襲うこのトーナス (お尻の痛み)
世は三重苦 頭痛が痛いレベル
生き残るため 俺は這い上がるぜ Ground Level
自販機が死んで 訪れたChance
逃すわけねぇだろ このLast Dance
チャリンと鳴る小銭 響くぜ Rhythm
見せつけてやるのさ 俺の商売(ビジネス)主義!
(Drop the beat!)
行くぜ 復路のWave!
渇いた喉に ぶち込め Liquid!
売切(SOLD OUT)の文字が 俺に告げる Victory
尻の平和は……俺が勝ち取る!
Yeah!
めっちゃ売れた
ᐠ( ᐛ )ᐟヤッタアアアアアアアアアアアア

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