面接評価シートの作り方──「見極め項目」を点数にする
面接が終わったあと、面接官どうしで評価が割れる。
「いい人そうだった」
「うーん、私はちょっと」
結局、いちばん押しの強い人の意見で決まる。
こんな採用をしていると、あとで「こんなはずじゃなかった」が起こります。
原因は、面接が記憶"と"印象"頼みになっているからです。
以前、「構造化面接」——全候補者に同じ項目を、同じものさしで見る——という考え方の記事を書きました。
今回はその実装編。
その"ものさし"を、A4一枚の「面接評価シート」にする手順を、入門としてお伝えします。
作り方は3ステップ。
STEP1 見極め項目 → STEP2 5段階の基準 → STEP3 総合判定。
順に見ていきましょう。
※面接評価は、本人の適性・能力(仕事への関連性)で行うのが原則です。本籍・家族・思想信条など、本人に責任のない事項や職務に関係ない事項での質問・評価は避けてください(公正な採用選考)。具体的な選考基準・質問の適否は、最新の行政資料や社会保険労務士など専門家にご確認ください。
なぜ「評価シート」が要るのか
「面接官のカン」を、全部は否定しません。
長年の経験には、確かに見る目があります。
けれど、カン"だけ"だと、こんな問題が起きます。
面接官によって、結論が変わる(見ている場所がバラバラ)
候補者どうしを、横並びで比較できない(記憶は薄れ、上書きされる)
あとで振り返れない(なぜ受かった/落ちたのかが残らない)
評価シートは、この3つを解決します。
同じ項目・同じ基準で見るから、面接官の間で目線がそろい、候補者を公平に比べられ、記録に残る。
しかも、使い続けるうちに面接官自身の"見る目"も鍛えられます。
シートは、カンを捨てる道具ではありません。
カンを「言葉」と「点数」にして、共有できるようにする道具です。
STEP1 見極め項目──「本当に見たい3つ」に絞る
まず、何を見極めたいのかを決めます。
ここでの鉄則は、欲張らないこと。
あれもこれもと10項目も作ると、面接中に使いこなせません。
本当に見たい3項目に絞ります。
中小企業でよく効くのは、たとえばこの3つです。
① 価値観・カルチャーの合致(自社が大切にすることと、方向が合うか)
② 問題解決・思考の姿勢(困ったとき、どう考えて動くか)
③ コミュニケーション・協働の姿勢(人とどう関わり、チームで働けるか)
項目は、自社の実態に合わせて選んでください。
ひとつ大事なのは、「仕事に関係する項目」にすること。
本人の適性・能力に関わることを見るのであって、職務に関係ない事柄で評価するのは避けます(公正な採用選考の観点)。
そして①には、自社のバリュー(理念)を反映させると、いわゆる"カルチャーフィット"の見極めにつながります。
STEP2 5段階の基準──「点数の意味」を言葉にする
項目を決めたら、それぞれを5段階で評価できるようにします。
ここが最大のポイント。
ただ「5点満点」と書くだけでは、人によって点が変わります。
「5点はどういう状態か」を、言葉で決めておくのです。
たとえば「③コミュニケーション・協働の姿勢」なら
5点:相手の話を受け止めたうえで、自分の考えを分かりやすく伝えられる
3点:質問には答えるが、一方向。相手への配慮は限定的
1点:質問の意図とずれた返答が多く、対話が続きにくい
こうして「5・3・1がどんな状態か」を先に言葉にしておく(間の4・2はその中間)。
すると、面接官が変わっても点数のブレが小さくなります。
これが、構造化面接を"シート"にするということです。
STEP3 総合判定──「合計点」だけで決めない
各項目に点をつけたら、最後は総合判定です。
ここで単純な合計点だけで決めないのがコツです。
必須項目を決める…「①価値観だけは、3点未満なら見送り」のような"足切り"を決めておく
合計は目安に…点は判断の材料。最後は面接官で話し合って決める
点数の横に、事実をメモ…「この発言が良かった」「ここが気になった」を必ず残す。数字+事実が、あとの振り返りを助けます
点数は、決定を"代行"するものではなく、判断を"そろえ、説明できるようにする"もの。
この距離感が大切です。
運用の注意──シートは「そろえる道具」
作ったシートを活かすために、いくつか。
面接官全員が同じシートを使い、使い方をそろえる…「この場合は何点か」を事前にすり合わせる。ここを放置すると、せっかくのシートも面接官ごとにバラバラになります(評価者間のズレをそろえる話は、評価制度でも共通のテーマです)
シートは絞り込みでなく、見極めをそろえる道具…落とすための道具でなく、公平に見るための道具と捉える
カルチャーフィットは①の項目で…自社の理念を「面接の問い」に変えて見極める(この点は、今後の記事で詳しく扱います)
まとめ
面接の「なんとなく良さそう」から卒業する鍵は、見極めを"言葉"と"点数"にして共有することです。
評価シートは、カンを捨てる道具でなく、カンを共有できる形にする道具
STEP1 見極め項目…本当に見たい3つに絞る。仕事に関係する項目に。①にバリュー(理念)を
STEP2 5段階の基準…「5・3・1はどんな状態か」を先に言葉にして、ブレを減らす
STEP3 総合判定…合計点だけで決めず、必須項目・合議・「点数+事実メモ」で判断
面接官で使い方をそろえて、初めてシートは機能する
まずは、A4一枚。
見極めたい3項目を書き出すところから始めてみてください。
それだけで、採用の"再現性"が生まれます。
(注)採用選考では、本人の適性・能力に関係のない事項での質問・評価を避けるなど、公正な採用選考への配慮が求められます。選考基準・質問内容の適否は、最新の行政資料や社会保険労務士など専門家にご確認ください。本記事は一般的な考え方の入門です。
(株)豊明コンサルティング 上口幸博
地方中小企業(10〜100名規模)専門の人事・組織コンサルタント。
北陸を中心に全国対応。
採用の見極め設計から評価・定着まで、「作って終わり」にしない伴走型支援が特長。
このnoteが参考になった方へ
「面接がカン頼みになっている」
「面接官によって評価が割れる」
「自社に合う人を、言葉にして見極めたい」
そんな段階でかまいません。
見極めたい項目の言語化から、評価シートづくり・面接官の目線合わせまで、ご一緒します。
→ https://houmei-consulting.com/contact/
初回45分は無料でお話を聞きます。
オンライン・北陸3県は訪問も対応しています。
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