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採用より先に「なぜ辞めるか」を知ることが最優先の理由

はじめに

「また採用活動を始めます」

この言葉を、経営者や人事担当者から何度聞いたかわかりません。

人が辞めた。
補充しなければならない。
求人票を出す。
面接して、採用する。
入社する。
しばらくして、また辞める。
また採用活動が始まる——。

このサイクルを毎年繰り返している会社は、少なくありません。

でも、そのサイクルをいくら回しても、根本的には何も変わりません。
なぜなら、「なぜ辞めるのか」を理解しないまま「誰を採るか」だけを考えているからです。

採用の前に、やるべきことがあります。


「採用で解決できる」という思い込み

人が辞めたとき、多くの会社が取る行動は同じです。

採用担当者を動かす。
求人票を更新する。
媒体に掲載する。
応募を待つ。

これは間違いではありません。
欠員があれば補充は必要です。

でも、この行動の前提には「入れれば解決する」という思い込みがあることに気づいてほしいのです。

人が辞めた原因が職場にあるとしたら、何人採用しても、同じ場所で同じように辞めていきます。

採用コストだけが積み上がり、現場の疲弊が深まり、「うちは人が定着しない会社」というレッテルが社内に貼られていく。
そのレッテルは、次の採用をさらに難しくします。


「なぜ辞めるか」を知らない会社の共通パターン

離職理由の把握が不十分な会社には、いくつかの共通パターンがあります。

パターン1:退職者に「本音」を聞いていない

退職者へのヒアリングを「退職届の受理」と同時に終わらせている会社は多い。「一身上の都合」で終わってしまう。
退職者が正直に話せる環境をつくらなければ、本音の離職理由は出てきません。

パターン2:離職理由を「個人の問題」として処理している

「あの人は合わなかっただけ」
「メンタルが弱かった」

こう結論づけてしまうと、組織側の課題が見えなくなります。
個人の問題と組織の課題は、分けて考える必要があります。

パターン3:在職者に「何が不満か」を聞けていない

辞めた後でなく、辞める前に聞くことが本当は大切です。
でも日常的に「今、何が不満ですか」と聞ける関係性や仕組みがない会社では、不満は内側で積み上がり、突然の退職という形で表面化します。

パターン4:管理職が問題を上に上げていない

現場で何が起きているかを、経営者・人事が知らないまま時間が過ぎていることがあります。
管理職が「報告すると自分の評価が下がる」と感じていれば、情報はストップします。


「なぜ辞めるか」を知る、3つの方法

では、どうやって離職の実態をつかむか。実践的な方法を3つ紹介します。

方法1:退職者インタビューを「仕組み」にする

退職が決まった社員に、退職後1〜2ヶ月経ってから連絡し、話を聞く機会を設ける。
退職直後は感情が残っていることがあるため、少し時間を置く方が本音を聞きやすくなります。

重要なのは、「謝罪や慰留のための面談」ではないことを伝えること。
「今後の採用・職場環境の改善のために教えてほしい」という目的を明示することで、話してもらえる確率が上がります。

外部の方に依頼することも良いです。

聞く項目の例:

  • 退職を決めたのはどんな出来事がきっかけか

  • 在職中、一番しんどかったのはどんな場面か

  • 変わってほしかったことは何か

  • 今振り返って、良かったと思うことは何か


方法2:在職者サーベイを定期的に実施する

年に1〜2回、社員全員に対して匿名アンケートを実施します。

設問は多くなくていい。

「今の仕事のやりがい」
「職場の人間関係」
「評価への納得感」
「会社の将来への安心感」

など、5〜10項目で十分です。

大切なのは、結果を経営者・管理職が真剣に受け取ること
「みんなそう思っているのか」と受け流すのではなく、
「どこで何が起きているのか」を読み解くことが目的です。

方法3:管理職との定期対話で「現場の声」を集める

管理職が現場で感じていることを、定期的に上げてもらう場を作ります。
月次の管理職ミーティングでもいい。
「今月、部下から気になる言葉を聞きましたか?」という問いを一つ入れるだけで、現場から情報が届くようになります。

管理職が「言いやすい」と感じる関係性をつくることが前提です。


離職理由がわかると、採用戦略が変わる

「なぜ辞めるか」が見えてくると、採用の入口設計が変わります。

例えば、離職理由の上位が
「仕事の裁量がなかった」
「評価が不透明だった」
という会社が、
「アットホームな職場」
「安定した環境」
を売りにした求人票を出しても、入社後すぐにミスマッチが生まれます。

逆に言えば、「うちを辞めていく人の理由」を先に把握していれば、「うちに合わない人」を無理に採ることを避けられる
採用メッセージの精度が上がり、入社後の定着率が改善します。

採用は「誰を採るか」より先に、「どんな職場を作るか」を問う活動です。


コンサルティングの現場から

ある建設業の会社(従業員30名程度)に関わったとき、
「毎年2〜3名採用しているのに社員数が増えない」
という課題がありました。

まず退職者へのヒアリングや在職者サーベイを実施しました。

出てきた声の中に、こういう言葉がありました。

「自分が何のために評価されているのかがわからなかった」
「頑張っても頑張っても、給料に反映される実感がなかった」
「仕事は好きだった。でも上司に言えないことが多くなった」

これらは「採用の問題」ではありませんでした。
評価制度と、管理職のコミュニケーションの問題でした。

この会社はその後、評価制度の見直しと、管理職の1on1研修に取り組みました。
翌年の離職率は半分以下になり、「入社して2年で辞める」という流れが止まっていきました。

採用担当者は変わらず、採用コストも変えていません。変えたのは「人が辞めない職場の土台」の部分でした。


まとめ

採用に課題を感じているとき、最初に向かう場所を間違えないでほしいのです。

求人票の見直しや採用チャネルの変更は、
「離職の原因が職場にない」という確信を持ってから始めるべきことです。

離職が続いている会社がまずやるべきことは、「なぜ辞めるのかを丁寧に聞くこと」
そこから始めることで、採用も、職場づくりも、ようやく正しい方向に動き出します。


この記事を読んで
「まず自社の離職理由をちゃんと把握するところから始めたい」
と感じた方へ。

どこから手をつければいいか、何を聞けばいいか。

その整理から一緒にすることが可能です。
「外部の人間に話すことで見えてくるもの」は、思っている以上に多いものです。

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うわぐちゆきひろ@組織・人材コンサル|地方中小企業の組織軍師 よろしければ応援よろしくお願いします!