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【毎週ショートショートnote】手加減無用鍋

冨安に移住した頃の話だ。

すぐ消防団に誘われた。
馴染みたかったから嬉しかった。

訓練後は宴会。
「若いんだから宴会の準備、買付、お酌。
そう言うのは積極的にやろう。」
と言われた。

それからは宴会に全力だ。
古参にお酌をしていたら
「冨安太鼓」に入れられた。
断れる訳がない。

ある日、
庭に居たら「雑草だらけじゃ」
と言われて耕運機で耕された。
耕さない「自然農法」で畑を作りたかった。

夢だったスローライフとは程遠い生活だ。

宴会は鍋にしよう。
普段から皆、鹿肉や山菜を山程持ってくる。
最近は処理が面倒なので俺に押し付けてくる。
全部食べてもらうぞ!
ありがた迷惑の倍返しだ!

食材を全部鍋にぶち込む。
「食べて食べて!」
「今日は帰しませんよ!」
酔った先輩に流動食のごとく鍋を流し込む。
何だか楽しくなって来た。
こうなったら手加減無用だ。
あちこちで噴水のように嘔吐物が吹き出す。
その度に冨安太鼓をドドドドンと鳴らす。

亜空間と化した会場で
俺はこの土地で生きて行く覚悟を決めた。

(418文字)

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