Photo by
garakutax
毎週ショートショートnote|キャトルイルミネーション
僕は人の話がわからない。もしわかったとしても、正確に理解できていないのだと思う。
妻がパート先の話をしてくれるが、その言葉は僕の頭の少し上を上滑りしながら部屋の中に吸い込まれてしまう。
結婚した当時は、彼女のことを理解したくて、話の途中でも口を挟んで確認した。そうすると彼女は少し不機嫌になって、「そこは掘り下げなくていいよ」と言うのだった。
僕は彼女の話が理解できないまま、二人の間に子どもができて、子どもは僕の身長を超えた。
妻は昔よりも更にわからない話をするようになった。
もしかしたら、目に見えるものなら共有できるのかもしれないと思い、イルミネーションが見えるカフェで食事をした。
だが、結局わからなかった。
でも彼女は満足そうだった。
元々、人間の雛形は完全なのだが、生まれる直前にエイリアンに能力を抉り取られて、人は産まれてくる。例えば僕は聞く力で、彼女は伝える力。
イルミネーションの光のひとつひとつがお互いを補うように点滅するのを見て、僕はそんな事を妄想した。
429文字
↓お題の『キャトルミューティレーション』は牛の内臓が不自然に抉り取られたりするアレのことです
毎週ショートショートnoteに参加しています
