#69 タダでもらえるとしても、同時に失うものもあると気付いた話

■おさがりとプレゼントに助けられてきた


娘が生まれたとき、出産祝いをたくさん戴いた。
その後も、イベント毎のプレゼントをもらったり、
何もなくても「おさがり」という形で、
色々なものをもらった。

子育てに必要な全てのものを
自力で揃えるのは無理があるので、
そういった心遣いには感謝するばかりだ。


たくさんたくさん助けてもらっておいて
こんな事を言うのも失礼だけど、
中にはもらっても嬉しくない場合もある。
端的に言えば「いらないもの」だ。

いらない理由にはいくつかあると思う。
まずは、シンプルに、
「好きじゃない」とか「使わない」とか。
あとは「もう十分にある」とか。


それと もう一つ。
ある時、おさがりをあげると言われた際に
思いがけず感じたことがあって…。

それは「自分で買いたい」だった。

言い換えれば「自分が選んであげたい」かな。

タダでもらえるのは助かるし、嬉しい。
大前提として とても感謝しているけど、
もらうことで「失っていたもの」の存在に
そのとき初めて気が付いた。



■失っていたのは、選ぶ楽しみ


服や靴、かばん、おもちゃ、文房具…

自分が選んだものを、喜んでくれて、
我が子が嬉しそうに使ってくれるのは、
親にとってこの上ない幸せ。

手にした瞬間の喜びだけでなく、
いつか使わなくなってしまうその日まで
ずーっと続く 幸せな物語として残るものだ。

ただそれも、子どもが幼い頃限定のイベント。
成長すれば 親が選ぶ服など着なくなるし、
喜ばなくなっていくだろう。

だから「選ぶ楽しみ」は、まさに今だけの、
“期間限定・特典付きイベント”だと思う。





例えばファーストシューズのような
「初めて」のものは チャンスも一度きりだし、
ひとつふたつあれば事足りるものであれば、
もらってしまうと もう買う必要がなくなる。

もらうという行為は、知らないうちに、
自分で選び・買う機会(楽しみ)を手放すことでもあった。


もちろん、納得してもらう分には構わない。
例えば、選ぶのが面倒だとか、
なんでもいいとか、何個あってもいいとか、
選ぶことの価値が高くないケースも多々あるさ。



タダで譲ってもらえるとしても
それによって「失うもの」のもあると気付いてからは、
何が大切かを考えるようになった。
自分できちんと納得して選択するのは、
自分のために大切なことだ。

もちろん、反対に「あげる立場」のときにも、
相手から「奪わない」ように気をつけたいと思う。


■善意の押し付け


災害などの被災地へ送られる支援物資について、
誰かに聞いた話がある。

全国各地から集まる大量の支援物資の中には、
汚れていて使えないものだったり、
もらっても困るものだったりも 沢山あるらしい。

支援のはずが、役に立たず、
むしろ処分に困らせるケースもあるのだとか。

中には、テイの良い処分先として
要らないものを送る人もいるとかいないとか…
(真偽は分からないけれど。)




悪意のあるケースは別としても、
これって「おさがり」とよく似てるなぁと思った。

だって、あげる側には
「もう要らないからもらって欲しい。助かる」
という気持ちも、少なからずあるのだから。

家に余っていて、どうせ使わないし、
誰かの役に立つのなら…
というのも、善意のひとつの形かもしれないが、
善意100%ではなく、
お互いに得だよね?という 打算的な側面がある。

贈答や寄付も、人と人とのやりとり。
間にモノを介在させた
ある種の「契約」なんだなぁと、考えさせられる。

なら尚更、
お互いが納得して交わされるものでありたい。


■自分で選べないのなら、タダでも損する


あげる側にも都合があるように、
もらう側にも価値観がある。
何に重きを置くのかは、人それぞれだ。


そして結局、
「いる・いらない」を決めるのは、もらう側。
いくら高級でも、まだ使えるとしても、
いらないと言われれば「不要なもの」なのだよ。

だから、もらう側に選択権があるべきだと思う。
もらう権利も、断る権利も等しく。


でも、断りにくい相手というのはいるもので…。
感謝はしつつ でも断るというのは心苦しく、
そういった交渉は とても難易度が高い。

プレゼントやおさがりは、
基本的には善意だから、余計に難しい。



せめて自分にできることは、
自分があげる側になったときに
相手の立場や気持ちを考えること…に尽きるかな。

相手は「価格」よりも、もっと別のところに
「価値」を感じているかもしれない
のに、
あげる側がメリット(価格)しか見ていないと、
「遠慮しないでいいよ!」とガンガン押しちゃう。

まさか自分の善意が、
相手から何かを奪っているなんて思いもしない。


知らないうちに奪ってた…なんてことがないように、
もらう側の気持ちにも配慮しなくては。と思う。

あげる側にも「善意のマナー」が求められる。

大切にしたいのは、
相手が断れる余地をしっかりと残し、
絶対に押し付けないこと。
相手が大切にしているものを 自分も大切にする。
そのために、想像力を働かせること。

自分で言っておきながらだけど、
贈り物というのは
あげるのも もらうのも 難儀なものだなぁ…。




想像しても分からないなら、訊くのが一番。
プレゼント=サプライズみたいな
その場の一瞬の喜ばせ演出よりも、
やっぱり「使えるもの」がいいなと思うのは、
僕も歳をとったということかな(笑)





おわり。

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