「バンコクの日曜、雨。やっぱり私たちはMKに向かってしまう。」
乾季のはずのバンコク。それなのに、日曜の夕暮れ時はあいにくの雨で した。
「今日の夕飯、MKにしない?」
夫のその一言で、半年ぶりのタイスキが決まったのはいいけれど、外は しとしとと降り続く雨。歩いてすぐの距離さえ億劫に感じてしまうのは、 この街の熱気のせいでしょうか。
おまけに今日は選挙の日。18時を過ぎないとアルコールが解禁されません。「雨が止むのを待つか、それともビールが飲める時間を待つか」。結局、 両方の理由をつけて、私たちは少し遅い時間に家を出ることにしました。

進化するハイテクと、まだ少し不器用なロボット
お店に着くと、まだ早い時間にも関わらず、店内は家族連れの熱気で溢れていました。タイの人たちにとって、MKはやっぱり「団らん」の象徴。
ふとテーブルを見ると、注文用のタブレットが置かれています。けれど、 最終的なオーダーを取りに来てくれるのは、まだ人間のウェイターさん。
「いつか、このやり取りも全部コンピューターに代わってしまうのかな」
そんなことをぼんやり考えていると、料理を運ぶロボットが威勢よくやってきました。
でも、棚からお皿を取り出すのは、やっぱりウェイターさんの仕事。
しかもそのロボット、あろうことかウェイターさんにコツンと衝突して
しまって…。
「完璧じゃないんだね」と思わず苦笑い。効率化の波はすぐそこまで来て いるけれど、この少し不器用な「人間味」が残っている今のバンコクが、 私は嫌いじゃありません。
秘伝のタレに起きた「異変」?
さて、肝心のお鍋です。
今回、一番のヒットは「エビのすり身団子」でした。ふわっと香るごま油の風味が絶妙で、お箸が止まりません。
けれど、食べ進めるうちに、ある「違和感」に気づきました。
MKの魂とも言える、あのオリジナルのタレ。なんだか、いつもよりパンチが足りない気がするのです。
「ねえ、今日のタレ、薄くない?」
夫に聞くと、「やっぱり?僕もそう思ってた」と即答。
パクチーが苦手な私は、いつも「パクチー抜き」のタレに、タイならではの
刻み唐辛子をこれでもかと投入して自分流にカスタマイズするのが定番 です。でも、どれだけ足しても、あの深みがやってこない。
たまたま今日だけなのか、それとも時代に合わせて味を変えたのか。
馴染みの味が変わってしまうのは、少しだけ寂しいものです。

邪道と言われても、私は「しゃぶしゃぶ派」
気を取り直して、お肉をいただきます。
タイスキといえば具材をドサッと入れるのが一般的ですが、私はあえて 「しゃぶしゃぶ風」にして食べるのが好き。
食べたい時に、食べたい分だけ。
さっと熱を通したお肉は驚くほど柔らかく、お肉専用のポン酢にくぐらせると、さらにさっぱりといただけます。
そして、お鍋の締め。
みなさんは「ごはん派」ですか? それとも「麺派」ですか?
我が家は断然、麺。旨味が凝縮されたスープをたっぷり吸った麺を啜る 瞬間は、まさに至福のひとときです。
もし試したことがない方がいたら、ぜひ次は「麺」で締めてみてください。

締めくくりの、甘い誘惑
そして、私にとってMKの本当の締めは、お鍋ではありません。
それは、ホカホカの「ごまあんまん」。
実はバンコク、日本のような「あんまん」が食べられるお店が意外と少ないです。どうしても、ごま系が主流。
でも、この濃厚な黒ごまの風味が、お鍋の後の胃袋に優しく染み渡ります。
(ちなみに、ティンタイフォン(鼎泰豊)のごまあんまんも私の大好物。 ごまあん好きの方は、ぜひ食べ比べてみてほしい!)

【エッセイの結び】
お店を出ると、あんなに激しかった雨はすっかり上がっていました。
少しだけひんやりとした夜風が、お鍋で火照った体に心地よく吹き抜け ます。
ハイテクなロボットが導入されたり、慣れ親しんだタレの味がふと変わったように感じたり。
バンコクという街も、MKというお店も、少しずつ姿を変えていくのかも しれません。
それでも、日曜日の夜に家族でお鍋を囲み、「美味しいね」「今日のタレはちょっと薄いかな?」なんて言い合える時間は、何物にも代えがたいもの です。
次は、タレの味がいつもの「パンチの効いたあの味」に戻っていることを 願って。
また半年経たないうちに、私は看板をくぐってしまう気がします。
みなさんの「お鍋のこだわり」や「MKでの定番」も、ぜひコメントで教えてくださいね。
#バンコク #タイ料理#海外生活#タイスキ#MK#食べ歩きエッセイ
