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デフレでも緊縮でもない日本経済 ~ポピュリズム経済論にご注意を~

まず結論から言いましょう。日本政府は何十年にもわたって緊縮どころか超積極財政を続けてきました。にもかかわらず「日本は緊縮財政だ!」と騒ぐ人がいますが、それは現実とは正反対です。

政府の支出は常に収入を大きく上回り、慢性的な財政赤字が積み重なっています​​。例えば、バブル崩壊後の1990年代、日本の財政赤字は雪だるま式に膨らみ、1999年度には対GDP比で7.4%もの赤字に達しました​。以降も赤字体質は改まらず、2011年度にはGDP比約10%(約48兆円)の財政赤字にまで拡大しています​。これが「緊縮」でしょうか?数字を見る限り、日本の財政はむしろ底の抜けた財布状態です。

日本の政府債務残高(国と地方の長期債務)は、1990年代以降ひたすら増え続け、2012年度末には対GDP比239%に達しています​。これはギリシャなど財政危機に陥った国々をはるかに凌ぐ水準で、世界最悪クラスです​。債務がこれほど膨れ上がった背景には、「収入以上に使いまくる」という超積極姿勢があったからに他なりません。実際、過去30年ほどを振り返れば、日本は景気後退や危機のたびに繰り返し巨額の財政出動を行ってきました​。そうでない時ですら財政出動を繰り返してきています。

その結果、一時的に気持ちだけ赤字縮小を試みても、景気対策という名の大盤振る舞いで帳消しにしてきたのです​。緊縮財政が続かずに景気対策という名のバラマキ政策による歳出拡大を繰り返した結果が、今の借金まみれの日本です。

具体的な歴史を見ても、「緊縮」が長く続いた試しはありません。例えば、1997年、橋本内閣が財政構造改革で一時は歳出削減に取り組みました。しかし同年末には再び財政赤字を拡大。翌1998年に就任した小渕首相は自嘲気味に「世界一の借金王」と名乗ったほどです​。

2001年~2006年の小泉内閣では「聖域なき改革」で歳出抑制を図り、赤字は若干の減少傾向を見せました。しかしその後2008年のリーマン・ショックと2011年の東日本大震災という大危機に見舞われ、大規模な景気対策・復興費用であっという間に赤字は拡大。せっかくの改善も水の泡となりました​

2012年以降の第二次安倍内閣では、積極財政に次ぐ積極財政で、借金頼み予算を編成し、赤字は急拡大しました​。その状況を下支えするために、副作用が強すぎるがゆえにタブーとされていることにまで手を出してしまいました。

こうした歴史を知れば、「日本がずっと緊縮財政だ」などという主張が如何にデタラメかわかるでしょう。数字の上では常にアクセル全開で財布の紐を緩めてきたのが実態なのです。

実はとっくにデフレは終わっていた

次に「デフレ論」についてです。しつこく「日本はデフレから脱却していない!だから財政出動を!」と唱える人がいますが、これまた現実を直視していません。確かに1990年代後半から2000年代初頭にかけて、日本は物価が下がり続けるデフレに悩まされました。しかし、そのデフレは終わっています。

2013年以降、消費増税の影響を除いても物価は概ね横這い〜緩やかな上昇傾向で推移しています。事実、日本経済は少なくとも10年以上前に「デフレではない状況」になっており、その後デフレに逆戻りするリスクも低水準に留まっています​。

直近の動向を見れば一目瞭然です。2022年以降、日本の物価上昇率は明らかにプラス圏で推移しました。2024年1月時点で、日銀の重視する生鮮食品を除くCPIが前年比+2.0%となり、22か月連続で2%以上を記録しています​。これはれっきとしたインフレであり、「デフレ」どころではありません。日銀の植田和男総裁も2024年2月の国会答弁で「デフレではなくインフレの状態にある」と明言しています​。要するに、足元で日本は完全にデフレを脱却し、むしろ緩やかなインフレ局面に入っているのです。

にもかかわらず、「デフレだからもっと財政出動を」「デフレから脱却できていない」と主張する向きがあります。しかしこれは時間が止まった議論と言わざるを得ません。デフレを口実に色々して人気取りをしたい政府自身、デフレ脱却の公式宣言こそ慎重に保留していますが、その定義するところの「物価が持続的に下落する状況」から既に脱しており、再びそうした状況に戻る可能性も低いのです。デフレ論者はいつまで過去の亡霊と戦っているのでしょうか?

「緊縮だデフレだ」と叫ぶ人々へ

ここまで見てきたように、日本政府は全然緊縮などしておらず、デフレもとっくに終わっているのが事実です。【事実確認終了】……となれば、本来この手の議論は終局しているはずですよね。しかし現実には、いまだに「緊縮財政がー!」「デフレだからー!」と叫び続ける人々が一定数存在します。彼らはいったい何を見ているのでしょうか?データでも現実でもなく、どうやら自分たちの都合のいい幻を見ているようです。

彼らの主張を聞いていると、「緊縮財政」とは名ばかりで実態は世界有数の放漫財政である日本で、更にもっともっと財政からお金を引き出したいだけに思えてきます。彼らは正直に「もっとばら撒け!」と主張してはいかがでしょう? 下手に「緊縮をやめろ」「デフレから脱却せよ」なんて的外れなスローガンを掲げるより、よほど率直で健全な議論になります。少なくとも「緊縮財政」という存在しないものと戦う茶番劇を見せられるより、「俺たちは税金にたかりたいんだ!」と開き直ってもらった方が清々しいのです。

それを無視して「日本は緊縮だ」「デフレだ」と喚かれると、もはやギャグにしか聞こえません。砂漠でオアシスに浸かりながら「喉が渇いた!」と叫ぶようなものです。あるいは体重200kgの人が「オレは餓死寸前だ、もっと食わせろ」と言っているようなものかもしれません。

要するに、「緊縮だデフレだ」と騒ぐ人々は現実の数字を直視していないのです。それどころか、自らの要求(もっと財政から利益を得たい)を満たすために、都合の良いストーリーをでっち上げているように見えます。彼らにとって不都合な真実、つまり、何十年も積極財政だったことや、もはやデフレではないことは、きっと見えないのでしょう。

最後に一言。日本の財政は長らくアクセルべた踏みでやってきました。エンジン(国庫)はとっくに白煙を上げて悲鳴を上げています。それを見てもなお「もっと踏め!スピードが足りない!まだスロットル絞ってるだろ!」と叫ぶ人がいたら、皆さんはどう思いますか?そう、「この人、スピード狂というより現実見えてないな…」ですよね。財政でも同じことです。いい加減、虚構の緊縮・デフレ論は卒業して、事実に基づいた建設的な会話に移りましょう。さもないと、本当に日本という車は崖に突っ込んでしまいますよ?​

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