ベトナム人は本当に毎朝フォーを食べているのか?
日本の旅行番組やベトナムの特集記事では、ベトナムの食の多様性、特に国民食であるフォーの魅力が強調される際、「ベトナム人は毎朝フォーを食べに行くほど大好きで、毎日食べても飽きない」といった一般的な見解が伝えられることが多くあります。
しかし、多くのベトナム人にとって、フォーは必ずしも毎朝食べるものではなく、人によっては高価な外食という認識を持っています。本稿では、主に経済的な理由から、フォーを毎日食べることが現実的ではないことを検証しました。
経済的背景と朝食にかかる費用について
ベトナムの都市部では共働き世帯が一般的です。ここでは、家族4人(両親2人、子供2人)を想定し、朝食(Phở)の単価を 40,000 VNDとして、月間費用を計算します。(月30日間の外食と仮定)
全国平均月収(2024年GDP参照): 約 9,500,000 VND
都市部の最低給与(2024年度 地域I): 4,960,000 VND
工場勤務のブルーカラー世帯の場合
都市部の工場勤務で最低給与水準では4人家族の生活は困難なため、今回の検証では両親が共に10年前後勤務した中堅クラスのブルーカラーで、全国平均月収並みの約 9,500,000 VNDの給与を得ていると仮定します。そして税金などを引いた世帯手取り月収を17,000,000 VNDとします。
世帯手取り月収を17,000,000 VNDと仮定した場合、毎朝家族全員でフォーを食べると月間4,800,000VNDの出費となり、簡易エンゲル係数は約 28.24% です。
これは、都市部の一般的な食費の健全な予算(27%〜29%)とほぼ同等であり、朝食だけで食費予算の全てを使い果たしてしまうため、この世帯では毎朝家族でフォーを食べることは経済的に実行不可能であることがわかります。
オフィス勤務のホワイトカラー世帯の場合
都市部の30代前半ホワイトカラーの総支給額(Gross)を13,000,000~15,000,000 VND程度と見積もり、世帯手取り月収を25,000,000 VNDと仮定した場合、毎朝家族全員でフォーを食べた場合の簡易エンゲル係数は約 19.2% です。
中堅的なホワイトカラー世帯であっても、朝食だけで食費に割ける適正値の大部分を占めてしまい、中流家庭であっても毎朝のフォーの外食は経済的に難しいということがわかります。
親子連れの朝食の選択肢
それでは、ベトナム人は朝食に何を食べているのでしょうか?
ベトナムにはフォー以外にも、手軽で経済的な朝食の選択肢が豊富にあります。実際に子どもがいる家庭で好まれる朝食の例と、その単価を確認してみましょう。
1) バインミー(Bánh mì)
日本でも有名なベトナムサンドイッチです。子供はバイクの後ろに乗りながら食べられるので、時間のない朝に好まれます。子供向けには卵やソーセージを挟んだものが人気です。 価格: 20,000-25,000VND
2) おかゆ(Cháo)
柔らかく、子供にも食べやすいため、朝は親子連れがよく訪れます。スペアリブを一緒に煮込み骨から出る出汁や骨についていた肉がトロトロになっておかゆに溶けているのが特徴です。冷めづらいので表面から掬って食べるのがベトナム流です。 価格: 10,000-15,000VND
3) おこわ(Xôi)
子供向けには食べやすいベトナムハムや角煮をのせたおこわが朝食としては人気です。もち米なので腹持ちも良く、手軽に食べられるので時間の無い朝は子供連れで賑わっています。 価格: 15,000-20,000VND
4) バインクオン(Bánh cuốn)
米粉で作ったクレープ状の生地にひき肉やキクラゲなどの具を包んだ料理です。蒸すのに時間がかかるので提供が遅いというデメリットがありますが、食べやすいため子ども連れには人気のある朝食の一つです。 価格: 25,000-30,000VND
5) ホビロン(Hột vịt lộn)
羽化直前のアヒルの卵を茹でた料理です。栄養価が高く、子供向けにはまだ若くて柔らかいものが人気です。 価格:5,000VND
経済的なローテーション朝食の費用計算
フォーを含む上記6品目をローテーションし、毎日家族4人全員が外食したと仮定すると、1日あたりの平均費用は 90,000 VND、30日間の朝食費は 2,700,000 VND となります。
簡易エンゲル係数はブルーカラーのケースで15,88%、ホワイトカラーのケースでは10.8% となり、毎日フォーを食べた場合と比べ、負担を約半分近くまで抑えられ、ある程度現実的な選択肢となります。
実際の朝食事情について
しかし実際の朝食の場面では、子どもは朝は外で朝食を、両親は家で別のものを食べるという光景が頻繁に見られます。
ベトナムの都市部では、企業の始業時間が8時、学校の受け入れが6時半〜7時と早いため、朝は非常に多忙です。両親は早めに起きて自宅で朝食を済ませることが多く、調理の手間を省くために以下の選択肢が選ばれます。
昨日の残り物のご飯
日本のように朝から調理することは少なく、多くは昨日の残りご飯をそのまま、あるいはフライパンで炒めてチャーハンにするのが一般的です。
インスタントラーメン
1食 5,000 VND程度と非常に安価です。汁物を好むベトナム人の食生活に合致しており、安価な朝食として欠かせません。
2000年からの物価の上昇は、フォーは10倍近く値上がりしているのに対して、インスタントラーメンは2~3倍程度の値上がりにとどまっているため、インフレが続いていく限り、庶民の貴重な朝食として今後も需要が伸びると考えられます。
実際の節約モデルの出費
ここまでの分析に基づき、「子どもだけが外食(フォー以外の安価なメニューをローテーション)」し、「両親は外食せず、自宅でインスタントラーメンを食べる」という条件で出費を再計算してみます。
30日間の朝食費 = 50,000 VND × 30 = 1,500,000 VNDとなり、この節約モデルでの簡易エンゲル係数はブルーカラーのケースで8.82%、ホワイトカラーのケースで6%になります。
8,82%や6%という負担割合は、食費予算の非常に小さな部分に収まります。この計算結果は、ベトナムの平均的な家庭の多くが、「毎朝フォーを食べる」というイメージとは異なり、子どもの教育費や住宅費など他の支出を確保するため、賢く食費を管理しているという現実を浮き彫りにしています。
まとめ:ベトナム人の生活スタイルの一端を垣間見る
本検証では、都市部の子育て世帯の朝食にスポットライトを当てることで、ベトナム人の生活スタイルの一端を視ることができました。経済的な制約の中で、愛情と合理性をもって食費を管理する彼らの知恵が明確になりました。
ただし、この分析は、子どもがいない世代や学生、子どもが独り立ちした老夫婦、また都市部ではなく農村部のケースなど、別の生活スタイルには当てはまりません。したがって、この結果をもってベトナム人全体の生活スタイルと断言することはできません。
そしてベトナムには、フォー以外にもフーティウ、ブンボーフエ、バインカインなど、多様な種類の朝食が豊富に存在します。フォーだけではなく、ぜひ現地で、ご自身の好みを探し、奥深いベトナムの食文化を体験してみてください。
このまとめは、Googleの無料版AIアシスタント「Gemini」との対話を通じて作成しております。
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