韓国アートウィーク2025(Frieze/KIAF)に行ってきた。国家戦略として現代アートに託されたものについて考える。
こんにちは。m0namieeeeeeと申します。
基本はただのアートオタクですが、趣味を仕事にした結果、アートコンサルタントを名乗っております。
簡単に自分の背景についてお話しすると、以下のような感じです。
大学の学部と大学院修士で美学・美術史を専攻。学芸員になりたかったが色々あり、「ないな」となった
在学中はプライマリーやデザイン系のギャラリー、団体展系の受付・監視バイト
オークション会社に就職し、オークショニア(壇上でハンマー振り回して進行する人)になる
アート系のプラットフォーム会社に転職してアートスペシャリストとなる。インストール〜企画〜論文・記事寄稿〜ドラマ監修(謎)まで。その後肩書が変わってアートコンサルタントになる。
とまあ、アート周りの色々を垣根なく見てきたつもり、というアラサーの視点からソウルのアートウィーク2025を見てみて、ひしひしと思うところがあったので、全体をレポートしつつ、国家戦略として現代アートに託されたものについて考えてみようと思います。
初note、気合を入れすぎて全部で1万6500字超え、読むとしても35分はかかる超大作になってしまったので、サクッと読みたい人は「1.韓国アートウィークとは?」と「7.マスターマインドは誰だ?」と「9.おわりに」を読んでください。それなら7分で読めます。
いろんなデータソースを引っ張りながら書くのに2日かかった大作なので、500円買い切りとさせてください。後悔はさせないはず・・・?

1. 韓国アートウィークとは?
毎年9月の1週目に開催される、アートのお祭てんこ盛りウィークです。
下記にあるFrieze SeoulとKIAFが同時開催になるほか、国立の美術館は入場無料、ついでにデザインやファッションのイベントもぶつけちゃえ、という文化コンテンツの濁流に飲み込まれる時期です。
Frieze Seoulについて
2022年にFriezeという国際的なブランドのアートフェアが韓国に来たのが始まりで、今年で4年目になります。
Friezeはロンドン発のアート系雑誌・ウェブメディアで、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスでアートフェアも主催しています。そのブランドがアジアに初上陸!ということで韓国政府が誘致を頑張ったらしいです。会場はCOEXという東京ビックサイトみたいなところ。
KIAFについて
で、韓国がこの誘致のタイミングで気合を入れたのが、既に国内にあったKIAF(Korea International Art Fair)もCOEXで同時開催に振り切ったこと。KIAFは日本でいうところのアートフェア東京と同じようなもの。
上階と下階で2つのフェアが同時開催なんて、香港のArt BaselとArt Centralみたいじゃん!と叫んだことを思い出します。
ちょうどその頃は香港の政情不安で、「次のアジアのアートハブになるのはどこだ?」を人々が囁き合っていた時期でした。

ちなみにFriezeの運営チーム、コロナ禍直後に日本にもリサーチに来ていましたが華麗にスルーされてしまいました。とほほ。
(代わりに日本にはTokyo Gendaiという国際派フェアが来ています。)
まあ、文化系の省庁の予算を2024年で見るだけでも、韓国は6兆9,796億ウォン(約7,800億円)で現代アートも射程に入っているのに対し、日本の文化庁の予算は1,062億円で主に文化財保護方面に使われています。韓国は日本と比較すると人口半分なのに文化予算7.3倍とは驚くべきところです(2024年の韓国の人口は5,181万人、日本の人口は1億2,380万2,000人)。
そりゃそうだ、気合が違う。
同時開催系イベント(ソウル・ファッションウィーク、ソウルメディアシティビエンナーレ、光州デザインビエンナーレ等)

ちなみに同時期にはソウル・ファッションウィーク、ソウルメディアシティビエンナーレ、光州デザインビエンナーレほかイベントが目白押し。ご興味がある方はKorea Art Festivalのページを見てみてください。
たぶん、全部回ろうとすると2週間あっても足りない疑惑です。私はFriezeとKIAF関連のアートイベントだけを目的に2泊3日で行きましたが、普通にあと2日は必要だったな、と後悔してます。常に歩きっぱなしなので、加齢とともに膝が年々ガクガクです。去年も1泊2日で行って大後悔してたのに学びませんね、自分。
いやしかし、この時期は文化で圧倒しにかかってますね、この国。
さて、自分が見た範囲だけにはなりますが、具体的にどんな感じだったのかを見ていきましょう。
2. Frieze Seoul 2025レポート

今年のFrieze Seoulは30カ国以上から120を超えるギャラリーが出展。中でも日本からの出展が最も多く、23ギャラリーが参加しています。開催国韓国は2番目に多い13ギャラリー、次いでアメリカの9ギャラリー、香港・中国・フランス・ドイツが3ギャラリーずつと並びます。

日本のギャラリーが多いため意識的に配置しているのか(?)、会場内動線上の要所である出入口やDホールへの動線、Focus Asia箇所に日本のギャラリーが集中していました。
Focus Asia



Focus Asiaという企画セクションに関しては10ギャラリー中、3つが日本。特に角地のPARCEL、CON_、sangheeutはストリートと機械というテーマが揃い、日韓共演の、絶妙な共鳴でした。
国を超えた共闘・共有?


他、共鳴という意味では入口入ってすぐのところにあるTaro Nasuと向かいのEsther Schipperの競演は興味深かったです。
お互いに、ほぼ同じアーティストを扱っているということもあり、点対象のような構成に。


韓国の若手ギャラリーの次世代感

アートフェアでギャラリストたちが普通使っている机や椅子は、ジャンヌレだのフィンユールだの、いわゆる有名ビンテージのもので、それをさりげなく使ってる私たち、ええやろ、感があるのだが、韓国のP21は作家が強烈な机と椅子を作る、で対応していました。こんなん面白すぎる。撮らずにはいられない。

シリンダー(Cylinder)は壁にQRコードを貼り、全作品のプライスをリアルタイムで見せてくれるという太っ腹っぷり。大体のアートフェアは値段はどこにも買いておらず、聞き出すのにはギャラリストとコミュニケーションを始めねばならないのですが、億劫に思う時も、あります。
これについてはArtsyが出している「Art Market Trends 2025」レポートでも言及されていますが、コレクターの69%が価格の透明性の欠如により購入をためらったことがあるというデータが出ています。それに対応していると見ました。実際にスキャンしてみて、いいなと思った作品が思ったよりお手頃で、本気で迷いました。こういう次世代の試みは素晴らしいと思います!
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