幻映見聞録 ~プロト・カット版~

はじめに

 この世界には、多くの映画が存在する。
 たった一年の間で日本で公開されたものだけでも1000本弱、海を越えることこそなかったが世界各国で上映されたものはさらに多く、そこから自主制作のもの、配信のみのもの、動画サイト上で公開されているもの……などと広げれば広げるほどその数は膨大になる。
 そんな中でも、上映されたにも関わらずソフト化はおろかネット上の感想すら見つけられない幻のような映画も多数存在する。確かに存在し、観客の心を動かすような作品だったのに、形として存在しないばかりになかったことにされるのはあまりにも無慈悲ではないだろうか。
 そんな数々の作品を幻の存在にしないために、そしてより多くの人に知ってもらうために、『感想』という形で形に残そうと思い、私はこうして筆を執ったのだ。





 ……というテイの架空の映画レビューである。
 
元々はTwitterにて投稿。180字制限の中ちょこちょこ書いてました。
 「こんな作品あったら観たいな……」「街中で見たアレ、これをああしてこうすれば一本出来るんじゃないかな」「この作品観てたらこういう切り口の作品あったら面白そうだな」という数々の妄想を感想文形式にしています。タイトルは既存のものでないか、内容も類似……するのは映画には往々にしてあるのでそこそこ気にしつつ、完全一致はないかなどと頭を悩ませて書いていました。
 以下、各作品レビューになります。


作品レビュー一覧

『コンセクエンス!!』

 「この作品は、二度観ることで完成する。」という言葉に偽りなし。ハローズ監督らしい緻密さとそれを気づかせない演出にただただ圧倒されました。
「人が消えていく街」という設定を逆手に取り、鑑賞後にすぐさま二度目を観に行きたくなる作品。見事でした。

『ファットマンズ・フィーバー ~1トン軍団の逆襲~』

 突如発令されたカロリー制限法案に激怒した脂を愛する者たちが、その巨体を武器に国家へ反旗を反旗を翻すアクションコメディー。 アクションの描写も素晴らしいが何より観ていてお腹が空く。私もコーラとチキンが食べたい。

『最期の晩餐』

 人生最期の食事にまつわるオムニバスストーリー。直接的な死の描写こそないが、数々のチャプターのラストから察せられる「この食事を最後にこの世を去る」という避けられぬ運命に胸が締めつけられる。 主旨説明とばかりに死ぬ最初の青年には不謹慎にも笑ってしまった。

『素、一致する男。』

 ある殺人事件の犯人を巡る捜査の中でなぜか目撃証言と一致してしまう男とその目撃者たちの騒動を描くコメディーと、一致してしまう男側の視点で描かれるミステリーの二本立ての短編作品。 撮影の技巧に魅せられた一本。前編での不可解な点も後編で納得できて良し。

『マイナーマン』

 映画愛好家の主人公が全ての作品に必ず存在するも役を与えられない男に惹かれ、彼を探すうちにある事実を知ることになるスリラー作品。愛するが故にこだわり、狂気に染まりだす様はわかるようでわかりたくないが、理解できてしまうのが怖い。

『イート・イット! アメリカ大陸食べ歩きガイド』

 ストーリー、設定、一切なし。食欲の赴くままに食べ歩くドキュメント作品。内容はほぼないがガイドムービーとしてはかなり上出来。なによりガイドブック並みに分厚いパンフレットが最高。DVD化されたらパンフ片手にじっくりと観たい。

『夜を往く』 *オールナイト上映

 少年たちが初めての夜更かしで朝日を目指し旅をするロードムービー。観ているだけで青春の淡い匂いを思い出せる素晴らしい映画でした。私も今日は帰らずこのまま朝日の見える海まで車を走らせようと思います。

『ドラゴン・インストーム!!』

 落ち目のレスラーが不思議なゲームカセットと出会い、ゲームの力を駆使してチャンピオンを目指すアクション作品。実際のプロレスラーを起用しているのでアクションの迫力は桁違い。怒涛の肉弾戦に興奮が止まらなかった。

『RGaDBD -ラガダバダ-』

 荒唐無稽な世界観に造語のオンパレード、解読書を兼ねたパンフレットを片手に観ないとまず理解が出来ない作品。劇場が絶妙に明るかったのはパンフレットを読むためだったのか、と今更ながら思った。思考の狭間を絶妙に突いてくるので面白いは面白いのだが、脳がかなり疲れるので注意。

『HELL ME 殺人鬼の苦悩』

 静寂を愛する湖畔の管理人がキャンプにやって来た学生たちに業を煮やし、始末しようと奮闘するリバースホラー作品。 管理人の視点で物語が進むので、憎悪の煮詰まる様にこちらも感情移入してしまう。その反対に学生側の描写は極めて雑、だって獲物だもん。

『ただいま、参りました。』

 身寄りの少ない方と共に墓参りをする活動をしている芸人、町田成虎のブログ及びエッセイを映画化した作品。お墓参りにまつわる様々なエピソードと遺された方々の生き方が織り成すどこか寂しさのある暖かさを感じられる内容がとても良かった。

『バックヤードボーイズ ~休憩する男たち~』

 休憩時間を無意義に過ごす男たちのゆるい日常を描いたコメディー作品。他人の他愛ない無駄話をこっそり盗み聞きしているようで楽しい。無駄話の内容が不快なものでないのも良い。

『お笑ない座談会~12人のイカれる芸人たち~』

 会話劇を主体としたミステリー作品。会話部分はリモート画面で構成されており、時代への対応もバッチリ。 本来は舞台作品にするつもりだったのか、舞台感の強い内容だった。が、映画作品としても遜色ない出来で面白かった。

『コロッケそば』

 深夜0時から三時間しか開かず、メニューもコロッケそばしかない立ち食い蕎麦屋を舞台にどこか欠けた人々を描くオムニバス形式のドラマ作品。 じんわりとした踏み込みすぎない会話が観客の想像を掻き立てて良い。映画のチケットが食券のように見えるのもオツ。

『Wipe Us!! ~どこかで誰かがケツを拭く~』

 この世に必ず存在する「誰かの尻拭いをする人」に焦点をあてたイギリス発舞台の映画化作品。 オフィスに工事現場、果てはコンビニや農地などにいる縁の下の力持ち……すらも支える人々を描くどこか考えさせる内容だった。

『Good Bye Day!! サイコーの最期』

 余命を宣告され、全てが嫌になった主人公が想い描く理想の死に場所を探して旅をする作品。 「死という避けられないものが現れた時、私たちはどうしたらいいのか。」という問いへの一つの答えになるように感じられた話でした。

『角々 TSUNOSUMI』

 「部屋の天井角は凹んでいるのか出ているのか。」という会話から立体のすべてを疑い出した男が徐々に狂っていく様を描いたサイコスリラー作品。 作中にもトリックアート要素が盛り込まれており、彼の視ている世界を体感できるのがとても良かった。

『リバババーシ』

 同じ思考を持つ者同士で挟むことで相手の思考を強制的に同調させることが出来る世界で巻き起こる大思考戦争を描いたSFアクション作品。 いつ、誰がどのタイミングで思考が変わるのかが読めず、帰りの電車で人に挟まれないか少しキョロキョロしてしまうくらいハマってしまった。

『あの頃、僕らの夢はヒーローだった。』

 各監督が思い想いのヒーローを描いたオムニバス短編集。まさに王道と呼べる作品(ジャスティス・ワン)や、社会の荒波に揉まれ捻れてしまったヒーロー(法令遵守!コンプラマン)などその内容は様々。 観賞中、純粋だったあの頃に少し戻れた気がした。

『ゾンビ学ノススメ グッドマン教授の世紀末授業』

 ハンドカメラ撮影の"実技"パートと講義ビデオのような授業パートが織り交っているゾンビ&パニックサイコ作品。 グッドマン教授が全編通してどうかしている。ニコニコしながら生徒をゾンビの群れに投げるシーンはゾッとすること確実。

『ファイブ・ゴッズ・ジャッジメント 人類査定』

 神から人類へ対する最終査定、認められなければ"何か"を剥奪されるという厳しい条件の中、選ばれた主人公は人類を人類のまま守ることが出来るのか。というSFアニメーション作品。 クセの強い神々たちが最高。でも査定されるのは勘弁かな。

『ペーパー・タワー 僕が身を投げるまで』

 一人の男が命を絶つまでを淡々と描く作品。 男が徹底的に自身を負の方面に追いやる様は観ていて堪える。共感性羞恥を抱える方は少々耐えられなくなるかもしれない。 ひたすらに暗く、重く、報われない話だった。

『Last Laugh Live』(原題)

 笑ったら死ぬという条件の下で繰り広げられる笑い殺し合いを描いたコメディースリラー作品。 劇場の静けさも相成って、笑いのツボに入ったときの破壊力が凄まじい。終始笑いっぱなしで内容が軽く飛びかけている。最高。

『ブックマンズ・パレード 八百長狂想曲』

 万年最下位のスポーツ団体を奮起し調子つかせようと八百長を画策するも、予想外の自体が連発しとんでもないことになってしまうコメディ作品。 昨今のスポーツ事情を皮肉りつつ、人情話に落ち着かせた…と思わせての二転三転。オチも最高。

『バカストロフ ~地球破滅まであと3日~』

 AIに頼りきり人類の知性が極端に低下した未来で、偶然が重なって召喚された21世紀の人間がバカによる地球破滅を防ごうと奮闘するSFコメディ作品。 キツめのブラック・ユーモアがこれでもか!!と詰め込まれた作品で非常に刺激的。

『♯MEANINGLESS!!!』

 「この映画が終わった時、"無意味"の意味を知るだろう。」という台詞から始まる作品。 劇場が明るくなった時、「今まで何だったのか」と腰を抜かして立てなかった。なんだこの体験は。 ちなみにサントラの膨大な曲数の内8割は未使用。本当になんなんだ。

『もう年末、すぐ年末。』

 年末を舞台に時の流れに振り回される男を描く喜劇映画。 「もう年末かぁ……」と思う人ほどよく刺さる内容で、笑いながらも心のどこかにチクリとくるのが秀逸。年末に観てこそ面白いし、年明けに身を引き締めるにも最適な作品かもしれない。

『グッバイ!オールヒューマンズ!!』

 既に人類の滅亡が確定した上で始まるハチャメチャコメディ作品。 人としてのサガとヤケになった末を描くのが上手すぎる。変に「今日が人類最期の日になったら……」と考えた末ではなく、本当に切羽詰まった人類の行き着く末を観た気がした。

『ネイバー “主役たち”の隣人』

 アクションや恋愛、ホラー作品などの舞台となる部屋の隣に住む人間に焦点を当てたコメディ作品。 各作品の色ならではの悩みに振り回され、対策し、時には作品に“参加”してしまう隣人たちのドタバタ劇が秀逸。数々の名作オマージュにもニヤリ。

『打算的自殺計画書』

 損得を第一に考える男が、人生に打ちひしがれた末「最も損なく得をする死」を求める姿を描く作品。 死の為に奔走する主人公の姿はとても前向きで、活気に溢れているのがテーマに反していて皮肉で滑稽。自身の人生を少し見つめ直したくなる一本。

『予告編のお時間です』

 予告編ばかりを集めた映画祭が開かれている裏で、ある一本の作品による盛大な隠蔽劇が行われているというサスペンスコメディ作品。 集められた予告作品がどれも面白そうで実際にあったら……と思うほどだった。本筋の隠蔽劇の何もかも裏目に出るドタバタ感も最高。

『BANANA FILM』

 劇中で使う小道具やキャストの大半がバナナに差し替えられているコメディ作品。 電話や料理といった小物から、エキストラやスタントマンまであらゆるものをバナナが代演する様に混乱と笑いが止まらない。この設定ならではの取り違えネタも完璧。

『ベーコン・イン・ザ・バッグ』

 第二次世界大戦時に秘密裏に行われた作戦と、それを実行した少佐によって書かれた私小説「切り分けられたベーコン」を元に描かれたヒューマンドラマ作品。 こういった戦時中を描いた作品を観るたびに、平和とは如何にしてあるべきなのかを悩まされる。

『酒にて燃ゆる昼行灯』

 昼間から酒を呑む自堕落な生活を送る主人公を中心に巻き起こる人情味あふれるコメディー作品。 だらりと情けないながらも愛らしく、でもやっぱり駄目な人々が織り成す風景は、どこか懐かしさを感じさせる。今や失われた光景かもしれない。

 以上になります。
 また何か観たら、その都度書き足しておきます。
 ではでは。