食べるの楽しみにしていたのに⁉️
美味しそうに果汁を吸いながら赤っぽいオレンジ🍊色の大きな丸いものにシンクで齧り付いている母。
その果汁を吸う音は私のベッドまで聞こえ、美味しそうな満面の笑みも輝く。
その瞬間、私は大切に大切にとっておいた最後のブラッドオレンジが今正に、音を立てて消え去る様子を目撃している衝撃に顔が崩れた。
状況認識途中に湧いた「美味しそうでよかったね」という喜びも束の間。一瞬で顔面のパーツが剥がれ落ちるかのように下降し、自分でも自分の表情の変化が心情の変化を悟るよりも早く分かった。
私の心の声:「え!? 最後のオレンジ🍊…… さっき、二人で分けようって言った時は私(母)はいらないわよって言ってたのに…… 私、オレンジ…… 最後の一口になる心構えできてない。食べちゃうんなら、せめてさっき言ってくれれば、気持ちの整理と準備ができたのに……」
美味しそうに果汁を吸いながら、食べ続ける母。
悲しみと衝撃を全顔面のパーツの瞬時の崩壊が一目瞭然の表情で「え……!? さっきのブラッドオレンジ…?」と憂う声が漏れる。
母。
「え? アハハ。」と微笑みながら果汁を吸いながらさらに赤オレンジの球に齧りつく。
私の心の声「……え……」(もはや言葉にならない思考をキャプチャーもできない)
母「これ?」
私の心の声「うん。それ。」(声は出ていない)
母「トマトだよ」
私は理解不能な感覚から一瞬遅れ、狐が摘まれた感覚がジワジワと湧く。
スローモーションの感情移動と認識を経て、母が私がとても楽しみにしていた最後のブラッドオレンジを笑顔で平らげているのではなく、健康的にトマトを中の汁を上手く吸いながら、こぼさなずに平らげている様子を微笑ましく感じる。
健康的で何より。
それは喜びへと変わった。
そして、私のブラッドオレンジも無事で何より。
後で一緒に食べよう。
心の準備をして。
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