「このままでいいのかな」が消えなかった|私が看護師以外のキャリアを選んだ理由
はじめに
看護師として働いていて、今すぐ大きな不満があるわけではない。でも、「このままでいいのかな」という感覚が、ずっと消えない。私はそんな方に、このnoteを読んでほしいと思っています。
「病棟以外の選択肢も、少し考えてみたい」。ふとそう思うことはあっても、看護師は実際に行動に移すまでのハードルがとても高い。
看護師は素敵な仕事。でも私は大学3年生で、「看護師にならない」という決断をした。周囲のほぼ全員に反対されました。それでも、その決断で後悔したことは一度もありません。
私も何年も迷った普通の看護学生でした。特別な情報も、人脈もなかった。だからこそ、この経験は一部の人だけの話ではないと思っている。だからこそ、「看護師の外」を選択した私の「なぜその決断をしたのか」を共有します。今まさに迷っている方のヒントになれば嬉しいです。
私の自己紹介
みのり|看護師キャリア相談室
看護学部卒業後に一般企業へ就職
大学で正看護師資格を取得
元リクルート社でキャリア支援を経験

私はなぜ、看護師にならない選択をしたのか
私が看護師とは別のキャリアを選んだ理由。
それは、看護実習を通し、医療現場の現実を感じる中で、「このまま働き続けられない”かもしれない”未来のリスクを感じたから」だった。
1.「安全な人生」を手に入れるため、看護の道を選択
もともと、人生単位の選択に対してすごく慎重な私。当時の私は、「女性でも自立して生きられる資格が欲しい」と強く思っていた。
「将来子供を産んで、もし結婚生活がうまくいかなかったとしても最低限、一人で生きられるように。」そんな現実的な理由から進路選択で看護学科を選んだ。当時はそんなありきたりな理由で看護の道を志した。
2.「今すぐ看護師を辞めたいわけじゃなかった」
大学の授業で看護観に触れ、更に実習で複数の病棟や施設を回った。体力や精神疲労は思ったより大きい。でも、「おかげで助かったよ」と患者さんが安心した表情で言ってくれる。回復の過程に付き添えて、「良くなって私も嬉しいな」と心が温かくなる。そんな看護師という仕事は、「直接人に支援ができる素敵な仕事」だと感じた。充実感もあった。
一方、病棟では、言葉にできない違和感を感じた。
1分先のやることに常に追われている先輩看護師たち。常に心身の余裕がなさそうな職場
「それ、前も言ったよね?」。新人看護師への指導は常にピリピリ、感情的な伝え方
業務以外の会話は、なぜか噂話や愚痴中心。励ましや建設的な改善の会話になりづらい場
「何か、居心地が悪いかもな」。日々少しずつ違和感が顔をだす。でもアルバイト以外で働く経験がなかった私は、その度に「仕事には我慢が必要。こんなものだよね」と言い聞かせた。
友人も同じ感覚だった。だからお互いに、「大変なのは当たり前。とにかく頑張ろうね!」と励まし合い、私は違和感に蓋をした。
今なら分かる。この頃、「未来」や「違和感」を深く考える暇はほとんどなかった。私も含め皆が大変で、”目の前のこと”を乗り切ることで精一杯だったから。
3.でも、「このままでいいのかな」が消えなかった
1年間続いた実習。実習の残りはまだ半分あるけど、ひとまずやり切った達成感でいっぱい。春休みで忙しさがひと段落した。「このまま最後まで、走り切るぞ」。また前向きな気持ちになれた。
春休みは遊びの予定でとても充実していた。でもなぜか、帰宅して一人になると勝手に涙が出てくる。メンタルは強い自覚はあったから、「なんだこれ。情緒不安定だ…」と驚いた。だから、涙が出るほど悲しくなった理由を1週間、考えた。その末に私が気づいたのは、実習を経て、「私は、本当に看護師になりたいのか」という疑念が強まっていたことだった。
4.周囲からはかなり止められた
このまま過ごすと、正式に病棟看護師として働く未来が自動的にくる。「多分だけど、そうなったら仕事に忙殺されて、しんどくても他を考えられなくなる…」。少し焦った。
インターネットで、「看護師 一般企業」、「看護学生から一般企業」と調べてみる。検索結果は、"医療知識を活かせる仕事""こんなメリットがある""企業看護師の選択肢"など、大手人材会社サイトのふんわりとした無難な情報しか出てこない。
「ああ、どうしよう」。インターネット上のサイトは現実味のある情報が全く載ってない。実現可能性も、デメリットやリスクも、具体的な方法も書いてない。だから私は、転職エージェントに勇気を出して問い合わせた。キャリアアドバイザーからは、「条件的に応募できる企業はある。ひとまず履歴書を作りましょう」と言われた。「看護学生から就職が成功した前例があるか」を聞くと、「私は担当したことない。でも応募しないと結果は分からない。行動が大事ですよ」と言われた。半日迷った。だけどそんな状態で、進む決断なんてできなかった。
不安だった私は、他の人からの信用できる助言を欲しがっていた。「看護師以外の仕事を考えたいかも」、周りの人に相談してみた。結果は100%反対の意見。友人からは「資格がもったいない。高給取りだし安定してる。そもそも他の仕事って保健師か助産師しか無理じゃない?」。親からは「向き不向きは、やってみないと分からない。とりあえず3年働いてみれば?」。大学の教授達(看護業界出身)からは言わずもがな、"非国民"みたいな反応が返ってきた。「こんなことを考える私がおかしいし、悪いんだ」と思った。
正解がどうしても見つからない。だから迷いに迷った上、休学してイギリスに語学留学をすることにした。突飛なようだけど、明確な理由が2つあった。1つ目の理由は、社会的なブランクを空けずに、「私は何がしたいか」を考え直すための時間稼ぎをしたかったから。2つ目は「人生の方向性を変えるには、環境、人間関係、時間配分の3つを一気に変えることが大事」という格言を参考にして。実際には、この時も未来への不安でいっぱいだった。
結果的にそれは正解だった。海外へ行き、環境を新たにすると驚くほどゼロベースで考え直せた。「やっぱりあの環境は私にとっては少しおかしい。多分、最初は頑張れても働き続けられない。あとで後悔する」という結論に至った。
5.正直、めちゃくちゃ怖かった
「看護師として就職する道は、一度やめよう。現実的に、看護師以外の道へ進むために動こう。」
そう決めたものの、正直、不安しかなかった。ここに至るまで約2年。何度も考え、迷って出した結論だった。でも、それでも「看護師の外」で働く姿は全く想像できない。周りにも前例はほとんどなく、何が正解なのかも分からなかった。
頭の中では、毎日のように同じことを考えていた。
看護学生が一般企業なんて、本当に採用されるのかな。
就職活動のやり方も分からない。書類選考で全部落ちるかもしれない。
もし入社できても、一般学部出身の同期についていけるんだろうか。
「やっぱり看護師になっておけばよかった」と後悔したらどうしよう。
一方で、もう一人の自分は、こんなことも考えていた。
でも、このまま看護師になったら、本当に後悔しないのかな。
今ならまだ挑戦できる。でも5年後、同じ決断ができる自信はない。
結局、どちらを選んでも怖かった。だから毎日、少しずつ情報を集めては迷い、また調べて、また考える。その繰り返しだった。
6.でも、“このまま残るリスク”も大きいと思った
ある日、「看護師の先輩方は特に、いつも大変そうです」とぽつっと担当看護師に伝えたことがあった。返答は、「どこも人手不足だから仕方ない。こんなものだよ」。
看護師は、とても素敵な仕事。一方、「この"仕方がない"が続いてしまう空気と構造」の中で働き、「我慢が当たり前の自分」になった先。私は将来、「働く楽しさ」が見出せなくなりそうな予感が強くあった。「目先の安定」や「挑戦する不安」より、そんな自分の未来の方が怖かった。
人は、「仕方がない」「自分では変えられない」構造に長くいると、その思い込みに縛られ、いつか動けなくなる。
基本的に、大きな職種変更のようなキャリアチェンジが可能なのは20代まで
大学を出てこのまま看護師になると、こんな不可逆的なリスクがあると感じた。だから私は、大学3年生で看護師にならないことを完全に決めた。
病棟で辛かった教訓を活かして、就活企業は下の3つを条件にした。
人を大切にできる構造がある
風通しがよく自由闊達な社風
人材採用と教育が上手い
結果、人材・広告業界の大手企業、リクルート社に入社した。
実際に、企業に行った結果
1.実際に企業へ行って変わったこと
結論。企業で働いてみると、看護の世界で感じた違和感はほぼなくなった。
実は、入社直前まで「企業でも違和感だらけだったらどうしよう。努力の意味がなくなる」と結構不安だった。でも実際は、環境、待遇の双方で恵まれた環境だった。私にとって企業で特に良いと感じたポイント3つを挙げる。
⑴「悪い意味で感情的になる人」がいない。社員同士の尊重が常にある。
実はこれが、「病棟から進路変更して心からよかったな」と一番感じたこと。
病棟はどこか、他者を評価したり、評価される場面が多い。医療現場は「間違え=大きなリスク」だから、減点方式の文化になる。だから、「怒られないか」や「間違えないか」というセンサーが常に働く。そして、知らぬまに疲弊し続ける。
企業は違った。第一に、「仲間と成長すること。尊重しあうこと」が当たり前に良しとされている。理由は、それが企業にとって合理的なあり方だから。
⑵昇給額が高い
「給与が上がりづらい」。看護師は3年目あたりでそう感じ始めることが多い。一方、私が入社した会社の基本給が幸い高かったのもあるが、新卒2年目から年間50〜100万円は昇給した。
具体的に私の年収は、新卒1年目で550万、2年目で650万、3年目で700万になった。その後も、多くの社員は30歳前後で1000万円に到達する。
私はお金が全てという価値観では一切ないけど、努力をし実績を出した分の評価と対価として、給与(=生活の余裕)として還元されるのはすごく嬉しかった。
⑶将来の働き方の選択肢が広がる
多くの看護師は、「この働き方を、この先も続けられるのかな」という漠然とした不安を抱えているように感じる。
一方、企業では経験を積むほど、将来の働き方の選択肢が広がる。例えば、
営業として経験を積めば、マーケティングやカスタマーサクセスなど「別職種へ挑戦する道」ができる
結婚や出産などライフステージが変わった時、リモートワークや時短勤務など「働き方を変えやすい環境」が手に入る
実際に経験して分かった。今の仕事を続けるしかない、のではなく、状況に応じて選べるという安心感はとてつもなく大きい。私はずっと、「安心は国家資格でしか得られない」と思っていた。でも実際に企業で働いてみると、本当の安心は、資格そのものではなく、選べる状態にあるのだと気づいた。
2.ただ、企業転職が全員に正解だとは思わない
でも、企業を経験したからこそ分かる。看護師からの企業転職は、成功も失敗もある。
「隣の芝生は青い。看護も企業も大変なのは一緒。」「企業行ったけど、結局ほとんど看護に戻るよ」。これは、半分真実。半分は嘘。
看護師の企業転職が成功するか否かは、「人固有の向き不向き」と、「"良い"企業に入社したか」の2つで決まる。
⑴企業転職に向かない看護師がいる
下の2つに当てはまる方は、企業転職が正解でないケースが多いと感じる。
ー1.「環境や待遇の良し悪し」や「将来の選択肢の多さ」より、「目の前の人を直接立て直す充実感」をかなり大事にしたい方
この価値観が、強くかつ揺らがない看護師が一定数いる。具体的に、下の2つを満たす場合、企業よりも看護師の方が合うと感じる。
呼吸苦が落ち着く、ADLが戻る、点滴や処置がうまくいく、などの リアルタイムの変化や、今ここで状態を改善したことに強いやりがいを感じる
「待遇や環境をよくすること」や「自分の可能性を模索すること」よりも、「即時の他者の変化を感じること」を強く重視したい
特に、後者にYesと即答できる方。この場合は、企業に行かずとも現職の働き方を調整したり、看護師として別の施設(訪問看護、施設、クリニック)を選択する方がフィットするケースが多い。
ー2.現職で疲れすぎて、未来を冷静に考えられる"状態"でない方
夜勤や長期的な心身の疲労で、とにかく早く今の職場を辞めたいと感じている状態。この時は、「今つらいこと」は分かっても、「自分が未来に何を求めるのか」を冷静に考えることが難しい。
そのまま転職すると、今の職場から逃げることが目的になり、自分に合う環境を十分に整理できない。結果、転職先でも同じような違和感が残るケースがある。
⑵"良い"企業に入社したか
看護師から企業へ転職する場合、企業なら決してどこでもいいわけではない。「企業転職したけどつまらなかった」「病棟よりもずっと大変だった」という看護師の声を時々見かけるけど、これは多くが良くない企業に入社したケースだと感じる。
私が思う"良い企業"とは、長く働きやすい企業のこと。有名企業や年収が高い企業という意味ではなく、
人事評価制度が機能している
給与水準が一定以上ある
社員同士を尊重する文化がある
この3つを満たしている企業だ。こうした企業は人気なので入社難易度は高いが、対策次第で十分挑戦できる。企業口コミサイトの評価も参考になるのでおすすめ。例えばOpenWorkの総合評価が比較的高い企業は、一つの判断材料になる。
一方で、このような条件を満たさない企業に入ると、「企業転職したけど病棟の方が良かった」と感じるケースも少なくない。だから、企業転職では職種だけでなく、企業選びそのものが重要だ。
看護師がキャリアを考える上で大事なこと
1.大事なのは、「病院か企業か」ではなく 「自分が長く続けられる働き方」を考えること
現職に違和感がある時こそ、転職前提で考えてはいけない。多くの看護師がずっとどこか働き方に納得できない原因は、自分のことを整理しないまま動いてしまうから。だから、自分が何が好きで、何が嫌なのかを言語化したり、条件の優先順位づけをするなどの、丁寧な整理が必須だと思う。
仕事そのものが辛いのか。環境が合っていないのか。それとも、今の自分の状態なのか。この切り分けをせずに転職すると、場所を変えても転職後に違和感がほぼ確実に残る。
2.転職を考え始めたとき大事なこと
就職活動に慣れていない多くの看護師は、「求人 → 職種 → 価値観」で考える。だから何が自分が本当に納得できる選択肢か分からなくなる。
正しい順番は、「価値観 → 職種 → 求人」です。
仕事について「自分が仕事で満たしたいもの」「絶対に譲れない条件」を言語化する
「向いている仕事」を考える(訪問看護、ホスピス、クリニック、カスタマーサクセス、キャリア支援など)
市場を知る(転職難易度と方法、年収、働き方、将来性、転勤との相性など)
求人確認・選考対策(書類作成と面接練習) ※企業の場合、病棟就職よりかなり丁寧に対策する必要がある
ただ実際、病棟からの企業転職は、判断材料となるリアルな情報が極端に少ない。SNSやインターネット上には断片的な情報しかなく、転職エージェントも、看護師→企業転職の支援経験がないか少ないケースがほとんど。その結果、多くの看護師が十分な情報を持たないまま進路を決めてしまっている。
私も長く迷った。だから今度は、同じように迷っている人が、一人で抱え込まなくていいように支援したい
私は長年、「看護師をやり続ける道でいいのかな」という問いが消えなかった。インターネットや知人から情報や助言を集めても、情報が多すぎて何を信じればいいのか分からない。答えにたどり着くまでのヒントすらなかなか見つけられず、一人で迷い続けていた。
だから今は、当時の私と同じように悩む看護師が、もっと広くキャリアを考えられる機会を持てるよう、キャリア整理の支援をしています。
私自身が、
看護学生として医療現場を見てきたこと
看護学部から一般企業へのキャリア選択を経験したこと
リクルートで多くのキャリア支援に携わってきたこと
この3つの視点を持っているからこそ、看護師ならではの悩みと、企業転職の現実の両方を踏まえて、一緒に整理できると考えています。
私が大切にしているのは、転職ありきで話を進めることではありません。
まずは、「何に違和感を感じているのか」「本当はどんな働き方を望んでいるのか」を整理すること。その結果、転職しない方がいいという結論になるなら、私はその選択も全力で応援します。
もし一人では整理が難しいと感じたら、気軽に相談してください。オンライン面談・LINE相談ともに無料です。「情報だけ知りたい」「企業転職できる可能性だけ聞いてみたい」といった相談も歓迎しています。
まずは、「モヤモヤ」の正体を一緒に言葉にするところから始めてみませんか?
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