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美的感性に乏しいサラリーマン、日本伝統工芸展に挑む

私は、平日はサラリーマンとして働き、週末はガラス工芸に取り組んでいる。
吹きガラスと切子の技法で作品を制作するとともに、神戸の工房で切子教室を開いている。

ガラス工芸をしていると伝えると、「美術のセンスがあるんですね」「感性が豊かなんですね」と言われることがある。
でも、違う。
私は美的感性に乏しい。

子どもの頃から、図工や美術で手を動かすことは好きだった。
しかし、絵や立体造形のスキルは平凡で、制作物も無難なものばかり。
この分野に才能を感じたことはなく、美大やクリエイティブ系の学校への進学を考えたこともなかった。

美術館へ行き、有名な絵画を目の前にすると、「教科書で見た本物だ」という感激はある。
しかし、その絵から何かを感じたり、自分なりの解釈が浮かんだりすることは、ほとんどない。

工芸を始めて、日本伝統工芸展の受賞者インタビューや作品解説を読むようになった。
多くの方が「自然から着想を得た」と語っている。
山や川、木々、天候や四季の移ろい。
そこから作品を生み出していく。
日本の工芸には、こうした王道がある。

私も、感性を磨かねばと思った。

工房近くの六甲山へ、定期的に登るようにした。
四季の移ろいを体感すれば、作品につながる何かを掴めるのではないか。
そう考えた。

しかし、目の前に美しい景色が広がっていても、「これを作品で表現したい」という発想は湧いてこない。

何度も登るうちに体力がつき、気が付けば「今日は何分で登れただろう」と考えている。
景色よりも、制作。
早く工房へ戻りたい。
結局、私の思考は、そちらへ向かってしまう。

これが、私の現実だ。
自虐でも、謙遜でもない。
「美的感性に乏しいサラリーマン」。
自分を的確に表した言葉だ。

そんな私が、日本伝統工芸展を目指している。
無謀な挑戦だとは思っていない。

カギは「サラリーマンという立場を活かした制作」にあると考えている。

どういうことか、次回から少しずつ書いていきたい。

美的感性に乏しくても、切子しようぜ。

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