意思とともに、自らの礎を

その森に通じる道を、満月の夜しかわからないけれど
夜鳥の鳴き声に誘われて 奥へと進んで行きます
泉が広がり、水際まで来ると
そこへ姿をあらわした妖精が、手をさし伸べるのです
“ここでは悲しみは力を失います
どうか、夜が明けるまで 楽しんでいってください”
大きな月の下
泉の真ん中で 灯をまとった妖精たちが踊りつづけます
繊細で優しい動きに
観ているものはうっとりと 時を忘れるのです
響く歌声は この森の女王の声音か
高い音が出るたびに水面とわたしの心が揺らぐのです

傾きかけた月とともに 空が白みはじめると
周りから刻を告げる鶏の声が
妖精がふたたび近づいてきて、
“楽しい時間はいずれ終わりを迎えます
どうかまた、お会いできる夜に”
わたしは聞きました
“女王は、
あの美しい声のお方は どこに”
妖精は明るくなる空を見上げながら
“あなた方には、見えますまい
しかし、ここにおいでになり その加護を約束されました
どうか、この言葉にて お察しください”
“ありがとう 日々のこともここなら忘れられます”
“またお会いできる夜に
女王の意思とともに 自らの礎をこれから築かれんことを”