見出し画像

退職パッケージとは?外資系の退職勧奨におけるパッケージ相場と交渉テクニック

退職パッケージという言葉を聞いたことがあるだろうか。

外資系企業で働いたことがある方であれば、聞いたことがあるかもしれない。
あるいは、退職パッケージを提示されたことがあるという方もいるはずだ。中には、退職パッケージを渡す側を経験したことがあるという方もいるだろう。

退職パッケージは、海外の企業であれば、そう珍しくはないが、日系の企業で働いてきた方にとっては、あまり聞きなれない言葉だろう。

もし、あなた外資系企業で働いているのであれば、是非、この記事を読んでいただきたい。

退職パッケージについての知識を持っているかどうかによって、結果は大きく変わる可能性があるためだ。

また、日系企業で働いている方であっても、同様の事態に遭遇することはあるはずなので、この記事の知識は役に立つだろう。

私は、これまで多くの外資系企業や日系企業の退職勧奨問題に携わってきた。

その知識や経験を是非、少しでも多くの方に共有し、活用していただければ幸いだ。


1章 そもそも退職パッケージとは何?

退職パッケージとは、労働者が退職に応じることの対価として提供される利益のことである。

このように「退職パッケージ」などというと小難しく聞こえるかもしれないが、要は「これで辞めてください」と提示される退職条件のことである。

外資系企業には、退職金という制度がないことも多いが、代わりにこのような退職パッケージが提示されることがあるのである。

これまでの勤続の功に報いる意味で提示されることもあるが、多くの場合は法的な紛争を防ぎ円満に退職してもらうために提示される。

本来、労働者は、雇用契約を締結して、労働者としての地位を有しているので、会社から辞めてくれと言われても、応じる義務は全くない。

会社は、労働者の同意が得られなければ、一方的に解雇を行うことになるが、日本においては、解雇のハードルは非常に高く設定されている。

そのため、解雇を通知するのではなく、退職パッケージを提示することで労働者に自ら退職に応じてもらおうとするのである。

退職パッケージとして提示される利益には、以下のようなものがある。
・severance pay(特別退職金)
・ガーデンリーブ(特別の有給休暇)
・有給の買い取り
・会社都合退職
・アウトプレースメントサービス(再就職支援)
・リファレンスチェックへの協力等々

2章 外資系の退職勧奨でよくパッケージの提示される流れ

外資系の退職勧奨のイメージを持っていただきやすいように、パッケージを提示される流れについて、例を示そう。

例1:ポジションクローズに伴う退職勧奨

外資系企業では、グローバルの意向により組織体制が頻繁に変更されることがある。
これに伴い、ポジションをなくしたり、あるいは数を減らしたりすることがよくある。
外資系企業ではポジションごとに従業員を採用する傾向があるので、ポジションのクローズに伴い退職を促されることが少なくない。

前兆として、まず、グローバルで組織体制を変更するとの告知などがなされ、対象者には別途個別に通達をするなどのアナウンスがされる。そして、当日~数日後にHRからミーティングを設定されることになる。
設定されたミーティングに参加してみると、「あなたのポジションが消滅するので、●月●日をもって退職してほしい。」などと言われる。
その際に、separation agreementを示され、退職パッケージの内容を説明される。
その後、3日~1週間程度の期間を設定され、それまでにサインするようになどと求められる。

例2:パフォーマンス不足による退職勧奨

外資系企業では、高額な賃金が支払われる一方で、相応の成果が求められることが多い。
かなり厳しいKPIを設定された経験を持つ方もいるだろう。

KPIの未達成が続いたり、パフォーマンスレビューで最低評価が続いたりすると、PIPが組まれる傾向にある。
PIPとは、業務改善プログラムのことである。2~3ヶ月程度の期間で目標を設定され、毎週面談でフィードバックをされることが多い。

PIPの期間満了の1週間程度前のフィードバック面談などで、このままだと目標を達成できない可能性が高いなどと言われる。
そして、「あなたの雇用を継続することはできないので、退職してはどうか」などと述べて、退職パッケージを提示するのである。

会社によっては、PIPの開始時に、PIPを選ぶか、パッケージによる退職を選ぶか、どちらにするかと提示してくることもある。

3章 外資の退職パッケージ相場

外資系の退職パッケージの相場は、賃金3か月分~18か月分程度とかなり幅がある。

勤続年数×1か月分程度を目安に提示してくる会社が多いが、上限や下限を設けている会社など様々である。

退職パッケージについては、交渉事になるため、同じ事案であっても、金額にかなり幅が生じる可能性がある。

勤続年数以外にも、解雇の法的な見通しや未払い賃金の有無、グローバルの意向、働き続ける意思の強さ、外国本社の意向・慣習、再就職の状況、貯金の有無、通常の退職金の有無、会社側の予算金額などによっても、金額は変わってくる。

同じ会社で、同じ時期に会社側の原因で退職勧奨がされた場合でも、人によってパッケージの金額に大きな差があるといったことも珍しくない

例えば、ひとまず賃金3か月分でパッケージを提示しておき、交渉した労働者にだけ6か月分が払われるといったこともある。

4章 退職パッケージの交渉テクニック

退職パッケージの交渉をするうえで、重要なテクニックは、最初に法的な見通しやリスクを十分に分析したうえで方針を立てることである。

交渉事であり、会社側も可能な限り、少ないパッケージで退職させようと様々な駆け引きを講じてくる。

会社側が何かしてくる度にブレてしまうようであれば、退職パッケージを増額することはできない。

労働者がどのような反応をするか会社側は一挙手一投足を観察している。

退職せずに働き続けるということも選択肢の1つとして真剣に見据えることがパッケージの増額に繋がることも多い。

ときには、解雇されることを過度に恐れないことも、大切である。

また、会社側が労働者のことをよく観察しているのと同じように、会社側の狙いや意図、考え方、温度感をよく観察してみるといいだろう。

例えば、会社によっては、severance payは増額できないが、ガーデンリーブは増額できるといった場合もありますし、その逆もある。

会社の人事担当者も、退職勧奨をする際には、予算やヘッドカウント、時期などのKPIを設定される。

このように適切な方針の策定と事案に応じた分析や対応がパッケージを増額するテクニックである。

5章 退職パッケージで注意しておいてほしいこと

退職パッケージを交渉する際には、注意してほしいことがいくつかある。

注意1:安易に退職合意書にサインしない

まず、何よりも注意していただきたいのは、安易に退職合意書にサインしないということである。

一度、退職合意書にサインすれば、その時点で、会社側は目的を達成する。

そのため、それ以上の交渉を行うことは困難になってしまう。

注意2:口頭でも退職の合意は成立する

退職合意書にサインしなければ、退職は成立しないと考えている労働者が多い。

しかし、口頭や態様によっても、退職の合意は成立する。

例えば、退職には応じますがサインは少し待ってくださいと発言をしたり、退職手続き書類を送ってくださいと発言したりすると、会社側から退職には納得していたではないか指摘されることがあるのである。

もし、悩んだら、「一度持ち帰らせてください」とだけ述べて、何も発言しない方がいいだろう。

注意3:パッケージ交渉にはリスクもある

退職パッケージを交渉したとしても、パッケージが増額するとは限らず、リスクもあります。

パッケージ自体撤回されることもありますし、解雇されることもあります。

事案に応じて、想定されるリスクは異なりますので、パッケージ交渉を行う前に法的な見通しを十分に検討しておくようにしましょう。

6章 退職パッケージの税金

退職パッケージについては、税金がかかることもある。

どのような利益を受けるかによっても、税金の処理は異なってくる。

severance payであれば、退職所得として処理されることが多い。退職金の支払日までに退職所得の受給に関する申告書を出す必要がある。

ガーデンリーブであれば、その期間の賃金は給与所得として処理されることになる。

退職所得の方が税務上有利なことが多いので、severance payの方が手元に残るお金が多い傾向にある。

ただし、キャリア上のブランクを空けることなく転職したいという場合には、ガーデンリーブを交渉する方が多い。

7章 まとめ

以上のとおり、今回は、外資系の退職パッケージについて説明した。

退職パッケージは交渉次第で増額できることもある一方で、リスクもあり、適切な方針を立てて一貫した交渉をしていくことが成功の秘訣だ。

この記事が役に立ちましたら是非フォローしていただけますと幸いです。

参考

外資系の退職勧奨(リストラ)パッケージの相場と増額交渉の方法5つ【弁護士解説】|リーガレット

外資系の退職勧奨(リストラ)パッケージとは?相場と6つの交渉方法 | 外資系労働者特設サイトbyリバティ・ベル法律事務所

退職パッケージとは?外資系の退職勧奨パッケージ相場と交渉方法4つ | 労働弁護士コンパス

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集