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優しすぎる仮面

春生まれ。このポコっと温かくなる季節が恋しいはずが、ホロ苦い経験がぽろぽろこぼれてくる。思い出せば「木の芽時だから」と色んな職場で怪獣に食べれそうになってきた。

そう、怪獣。
怖いやつ、がおーとか言っちゃうやつ。

幾度となく無理難題の標的にされ、距離をおいて仕事をしようとしても相手は追いかけてわざわざ「がおー」を言いに来る。

いや、怪獣だからさ。
吠えちゃうんだって、仕方がないんだって。

私は年月を重ねむくむくと土の下であれこれ考えてきた。
そして2026年、怪獣との対面ターンがやってきてしまった。時は「木の芽時」。ハッキリ言って戦いたくない、それなのに相手は何度も何度も吠えて、何度も何度も追いかけてくる。これが吠えではなく「好きです」と言われるなら喜んで振り返りたいけれど、告白は誰もいない所でこっそり派なので結局、振り返られない。
どうでもいいけどさ。
怪獣が周りの人へ「ちもさんが優しすぎるから悪いのだ」と風潮しまくっていたのを地獄耳で聞いてしまった。いや、訂正します、けして私の耳は地獄耳ではない。怪獣は拡声器を使いまくる上に、拡声器のボリュームコントロールが壊れているのに怪獣は気づいていない。そもそも拡声器よりも地声が外に漏れている。

そしてついに時は来た。
怪獣VS優しすぎる仮面
知らんがな。

怪獣は沸騰したヤカンさながら湯気を出しながら「がおがお」いうので、黙れとは言わないが黙れに等しい「それって全員の責任だと思います」ビームを出してみた。

相手は一瞬怯んだ。そして頭を振り乱しながら悪あがきの「がお!」を連発、すぐにウソっぱちなのがわかったのでハラリと交わしながら「悪いですけど、こんな話している場合ではないので仕事に戻ります」というジャンピングキックを軽くかましてみた。

「がお」は追いかけて来なくなった。

いや私って。本当に優しくない。若い頃は黙って我慢ばかりしていたのに、冬眠している間にビームが出せるようになっていた。何年ぶりの怪獣との遭遇だろう、出来ればビームなんて出さずに穏やかに暮らしていたい。

ただそれだけなんだ。


何故かいつも怪獣の方が態度が大きくて、小芝居が上手い。まぁ、いっか私もそれなりに演じているし、相手を非難したって始まらない。いざとなればビームが出せるの分かったし、守りたいモノは守れた。冬眠明けなのにもう体力が底を尽きそうで、ふらふらねぐらに帰りたくなる。この文章を書いただけで1日分のビタミンを使い切ったそんな気分。
私は優しくないし、強くもない。それがやけに身に沁みるのだ。

春だし、次への一歩を踏み出そうかなぁ。

#フィクションみたいなもの
#なんのはなしですか


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